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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山スバル
チャプター2 プルス・ウルトラ、さらなる高みへ

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EP24 一本勝負

「そ、そういうわけじゃ──」

「マルガレーテさん、模擬戦しようか。先に一本取ったほうが勝ちで」

「一本?」マルガレーテは怪訝な顔になる。

「これ以上やったら、本当にやべぇと思えば一本。自己申告制か、そうだな……リミかカルエさんが判断したら終わりということで」

「おうおう、分かったぞ。下の階降りようぜ」


 マルガレーテは指を、改造されて鉄音が鳴り響く指を、ゴキゴキと鳴らす。

 こうして、僕とマルガレーテの対決が始まる。


 *


 真っ白な空間だった。ただ、ところどころに血潮が無作為に放置されている。おそらく、マルガレーテかカルエが使った痕だろう。


「ねぇ、ここで誰か詰めたの?」

「フロンティアの幹部をシメたんだよ。アイツら、あたしが弱体化したからブラッドハウンズを追われたと思ってやがる」

「舐められたものだね」

「良く分かってるなぁ。そうだ、あたし自身は全く弱くなってねぇ。だが、馬鹿は早とちりしてこのあたしとカルエに挑んできやがる」

「首を柱にくくれば、フロンティアの示威行為になるだろうしね」

「で? おしゃべりはもう良いか?」

「うん」


 僕ははつらつとした声色と表情で答える。もしかしたらこのデバイスの殺戮具合に正気度を乗っ取られているのかもしれない。

 しかし、今はそんなことを考えている時間ではない。

 僕とマルガレーテは真っ白な部屋の地面に敷かれた、黒い線の上に立つ。


「んじゃ、あと5秒後にスタートだ。マル、ラーキ。カウントするぞ」


 カルエがそう言う。僕はあらかじめデバイスに電源をつけ、


「おけい」


 と間の抜けた口調で言う。


「5、4、3、2.1……スタート!!」


 カルエのカウントダウンとともに、僕は先手を取る。

 まず、僕の能力はエネルギー操作だ。その能力の中でも初歩的といえるエネルギーの波動を放つ。その場から動かず、右手より電気エネルギーを使った波を撃つ。

 が、この程度の小手調べでマルガレーテほどの女が慌てるわけもない。彼女はその場より動かず、そのまま波動が直撃した。

 そして、

 そこには、煙になったマルガレーテがいた。


「ラーキ──!!」

「口出しは駄目だぜ?」カルエは忠告する。


 煙そのものになったマルガレーテは、その軽さを活かして僕との間合いを狭める。煙の速度、更にどの煙にマルガレーテの本体が入っているか分からない以上、僕のすることは決まっている。


「へぇ……!!」


 マルガレーテは邪気あふれる笑顔を浮かべ、煙状態から人間形態へと戻る。

 僕は、エネルギーを操作してバリアを張った。なんのエネルギーかは関係ない。肝心なのは、マルガレーテが僕のデバイスに触れられないことだ。


「アハハハッ、やるなぁ!! 小娘!!」マルガレーテは大笑いした。「だがよぉ、バリアを張ってる間はなにもできねぇよなぁ!? 膠着(こうちゃく)に陥れば、困るのはオマエのほうじゃねぇか!?」


 痛いところを言い当てられた。そう、僕の能力はマルチタスクができない。バリアを張りながら、マルガレーテに有効打を与えられないのだ。

 それに、僕の能力は制限時間付き。10分使えば良いほうだろう。それ以上経過すると、サイコ・キラーという感情をほとんど失った殺人鬼になってしまう。

 では、この状況を打開するには?

 答えは簡単だ。基本に立ち返れば良い。

 僕は、バリアを解除した。青白い閃光が剥がされる頃、マルガレーテは飢えた猛獣のごとく、炎の槍を僕の元へ数発、数十発……いや、数百発放ってきた。


「さぁ、どう避ける!?」

「避ける? なんでそんな面倒な真似しなきゃならないのさ」


 その宣言どおり、僕はそこから一切動かなかった。


「ラーキ──!?」


 リミの悲鳴が聴こえる頃、僕は彼女に向けて親指を上に向けた。

 そして、

 炎の槍が、ことごとくマルガレーテの元へ戻っていった。


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