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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山琉生
チャプター1 ようこそ、〝世界最悪の街〟ウィング・シティへ
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EP1 死亡、そして女ザコへの転生

 18歳未満の子どもは知らないかもしれないが、男には賢者モードというものがある。詳しく知りたいのなら、AIにでも尋ねれば良い。ともかく、みんな賢者モードを知っている前提で進めていく。

 早速だが、こうは思わないか? 『女ザコが主人公等に倒されることに興奮』しているのか、それとも『女ザコの気持ちになって倒されることに興奮』しているのか。もっと言うと、『主人公視点』か『女ザコ視点』か、ということだ。

 つまり、サディズムかマゾヒズムか、という話になる。中にはザコに分からせられて興奮するヒトもいるのだろうが、ちょっと趣旨がずれてしまう。

 というわけで、皆さんはこの二択をどう捉える? 『敵女をボコボコ』にしたい? それとも、『悪役女になってボコボコにされたい』かな? 

 で、僕の結論がこれだ。『やっぱり女ザコをリョナしたい』。よって、主人公側に感情移入しているわけだな。やはり、主人公側に分からせられて怯える顔が良い。勝てるはずの主人公サイドの誰かにやられ、歪んでいく表情を見たい。どうせだったら、串刺しにされたり射殺されたり爆死したり惨殺されたり唾液を垂らして無様に命乞いしたりしてほしい。

 とまぁ、怠惰な自分を曝け出して数分間、そんなことを考えていた。もう一度座り直して自分を慰めようとマウスを握ったとき、


 端的に言えば、僕は死んだ。


 ……いや、短すぎるか。正確には、自宅に押し入った闇バイトに刺されて死んだ。まさかただのアパートの一室に強盗が押し入るなんて、予想できないだろう? ブルブル震えていたら、金目のものが見つからないことに苛立った野郎にぶっ刺された。こんな最後、ふざけているよな。ふざけていなければ、多分異世界転生とやらのチャンスだ。


「──ラーキ、ラーキ。なにボーッとしてるの?」


 生まれたての子どものように揺さぶられ、僕は意識を取り戻す。ここはどこだ、と辺りを見渡してみて、僕は思わず叫びそうになった。


「ほら、今回のターゲットだよ。アルファって名前らしい」


 ここは……散々お世話になったゲームの世界だ。名前を『サイバーパンク2023』。あるアニメの派生ゲーム、グロイ描写もりもりの和ゲーで、18歳未満のお子様には到底見せられないような内容である。なにせ、このゲームは原作再現が素晴らしく、特に女ザコがボコボコにされるシーンが最高に良い。そういうゲームではないのに、プレイそっちのけで別の作業をした回数は数え切れない。下手なR18 同人ゲームより、よほど濃いものが出る。

 では、そんな世界で僕に与えられた役割は?


「……疲れてる? ほら、ちゃんと標的の顔見てよ」


 車の中で、僕はボーッとしている振りをして、バックミラーに目をやっていた。そこには、いかにもこれからボコボコにされますという、悪そうな女がいた。

 というわけで、現実? に戻ろう。


「あ、うん。ちょっと考え事していた」

「なにを考えるのさ」

「この仕事が終わったら、もう引退しようかなって」

「なに言ってるのさ。まだ〝ブラッドハウンズ〟に入って、3日しか経ってないのに」

「なら、余計に抜けやすいでしょ」


 ああ、これからこの子は爆散するのかな。それとも、射殺されるのかな? アルファっていうヤツはこのゲームの主人公。敵対する連中には一切容赦しない。アルファは様々な能力を手にすることができるけれど、ひとつ言えるのは、車から街並みを見ると、ここが主人公にとって始まりの街であり、同時に一番気持ち良く無双できる場所ということだ。


「もー、冗談言ってないで集中、集中!」

「あー、うん。そだね」


 適当に笑顔で返事する。

 冗談じゃあない。なんで僕が女ザコになって、主人公に気持ちよくなってもらわなきゃならない? しかもこんな二束三文のハンドガンで闘えと? 相手はもっと上等な拳銃と武器、あと〝ギア〟と呼ばれる能力を持っているぞ?

 さあ、ここからどうやって逃げるか。


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