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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山ルイ
チャプター2 プルス・ウルトラ、さらなる高みへ

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EP18 絶体絶命の大チャンス

「んじゃ、行こうか。誰が運転する?」

「私がするよ」リミが運転席へ座る。

「なら、私がナビゲーターだな」アーキーも助手席へ。

「なら、私らは後ろ乗ろうか」

「うん」


 僕がこの世界に訪れたときと同じ座順に、全員座った。


「もう刺すなよ? ラーキ」

「刺されるような真似しないでよ、アーキー」


 そんな冗談を言い合い、僕らは夕方から夜にかけるウィング・シティを駆け抜けていく。


 *


 廃工場。ウィング・シティではありふれた存在だ。資本主義の壊滅的な失敗は、こういう犯罪に使われるのがオチなのだろう。

 僕は工場の扉の隙間から、中でしっかり武器取引が行われているかを確認した。

 中には、十数人ほど、ブラッドハウンズの連中とその友好組織がいる。このままエネルギー操作で扉を吹き飛ばしても、警察は飛んでこないだろうが、大事なのはリミに授けた能力が作動するかどうかだ。

 というわけで、僕はリミの肩を叩く。


「これ、邪魔。やっちゃって」

「分かった」


 リミはあっさりした態度で答えた。

 そして、

 彼女は手のひらを鋼鉄の巨大な扉にぶつけた。ガコンッ!! という轟音が響き、同時に僕はデバイスに電源をつける。運動量を操作し、凄まじい速度で空をかけていく。


「な、なんだ!?」

「チクショウ!! あのアバズレを撃ち落とせ!!」


 しかし、これはただの囮だ。その証拠に、状況を理解したニーナやアーキー、リミが続々と武器を拾い始めている。それに、僕は向かってくる弾丸をすべて反射できる。銃弾は運動エネルギーを使って飛び跳ねる以上、それらを操れる僕の敵ではない。


「ぐあッ!?」

「チクショウ!! アイツ、弾が効かねェ!?」

「そうだよーん☆」


 僕は煽る。おそらく、能力者も配置しているはずだ。それを相手するのは他でもない僕であり、早く現れてくれないと正気度が下がってしまう。


「だいたい回収し終えたぞ!! もうズラがろう!!」


 そんなアーキーの声を聞くが、僕はまたもや殺気を感じ取っていた。それは、3人も同様のようだった。


「あーあ。てめェ、ここが誰のシマか分かっているのか?」


 スーツを着た黒髪オールバックの巨漢が、葉巻をへし折った。

 その刹那、

 彼は僕との間合いを一瞬で狭めた。


「てめェ、おれらのエネルギー操作を奪ったガキだろ?」

「だとしたら?」

「こうするだけだ」


 彼は、なにやら缶のようなものを僕の顔に投げてきた。当然反射できるし、くらったところで大したダメージが入るとも思えない。

 が、

 その瞬間、

 僕は、身体から力が抜けてしまった。地面へ落下し、その細い身体より鳴るミシミシ……という激痛に悶えた。


「ぐぁあああ!!」


 男が降りてくる。


「ソイツは、電磁パルスの小型版だ。デバイスを一時的に無効化できる。おい、まさか対策を考えていなかったとでも……!?」


 電磁パルス!? そんなものをくらえば、デバイスが動かなくなってしまう。まずい……。再起動まで、少なく見積もっても数分かかるぞ!?


「ラーキ!!」


 そこに、ギアを装着したばかりのリミが突入してくる。彼女は身体強化で男と応戦するが、結果は一目瞭然だった。


「ぐうッ!」


 リミは、足を掴まれ宙ぶらりんになる。そして腹部へ拳をねじ込まされ、口より血や唾を撒き散らした。


「このおれ〝マイキー〟に挑もうなんて、おこがましいな。ガキどもが」


 絶体絶命だ。警察が来ないのだから、手打ちにしてくれる存在もいない。

 クソッ、目が霞んできたぞ……。あばら骨が折れるのって、こんなに痛いのか……。クソッタレが──。



「おいおい、ブラッドハウンズの子犬ちゃん。女いたぶって楽しいか?」



 僕は霞んでいく目で、その低い声の主を見る。

 そこには、この街のプレイヤーのひとりである〝カルエ・キャベンディッシュ〟がいた。


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