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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山ルイ
チャプター2 プルス・ウルトラ、さらなる高みへ

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EP13 〝そういう〟関係

 結局のところ、精神力の強さがそのまま正気度へと直結するのだ。メンタルが強ければ強いほど、使えるギアや身体改造も増えてくる。


「つっても、みんなが〝仮想現実〟にいる間は無防備だし、僕はちょっと起きているよ。んじゃ、行ってきて」

「あ、ああ」アーキーはそう答えた。

「そうだね……」リミも同様だ。


 ふたりはメガネみたいなVR装置を装着し、あちらの世界へ入り込んでいった。ただ、なぜかニーナは装置をつけようとしない。


「どうしたの?」

「ラーキ、貴方一体何者?」

「え?」

「貴方は言っちゃ悪いけど、そんなに頭の良い子じゃなかった。でも今のラーキは万事すべてうまく運んでる。まるで誰かと入れ替わったみたいに。だからもう一度聞く。貴方は、一体何者?」


 僕は氷の入ったウィスキーを呑み、


「さぁ。それ知ったところで、ニーナに得あるの?」


 淡々と答える。


「……ないよ」

「なら、この話はもうおしまい。でしょ?」

「うん……」


 なにやら口惜しそうだが、気にするほどでもない。確かニーナは僕を親友だと言って、動きをあわせてくれた。それでも、正体を明かしたところで彼女になにか得があるとも思えない。今のところ、すべてうまく行っているのだから。


「んじゃ、あれつけて」

「もうひとつ良い?」

「なにさ」

「あのフロンティアの幹部から奪ったギア、一体なんなのさ」

「これ? パソコンで解析するしかないね。まぁ、フロンティアの幹部格のギアだし、結構良いものが入っているんじゃない?」

「それって誰にあげるの?」

「ニーナにあげるよ。身体改造しなきゃギアは埋め込めないから。まずそれしなくちゃ、だけどね」

「……、やっぱり貴方何者なの?」

「そんなに気になる?」

「気になる」


 僕は深い溜め息をつき、グラスの向こうからウィング・シティの景色を眺めつつ、


「んじゃ、教えてあげるよ」


 これ以上連携を乱したくないので、ニーナだけに正体を明かすことにした。


「私は転生して、この街に来た。それに加えて、どうもこの世界は昔やったゲームと似通っていてさ。だからこのギアも獲得できたわけ」


 僕は骨伝導イヤホンみたいなギアを指差す。驚愕に染まり、僕を覗き込んでくるニーナを大して気にすることもなく、


「といっても、ここはゲームの世界じゃない。限りなくその世界に寄せた、異世界ってところかな。その気になればウィング・シティから出ることもできるだろうし」

「……じゃあ、私の知ってるラーキは?」

「さぁ。もしかしたら、人格が統合されたのかもね。私は人殺しや暴力沙汰なんて大嫌いだけど、不思議とそれに抵抗感があんまりない。要するに、君の目の前にいるラーキは、半分が元のラーキ、残りが別世界からやってきた者ってところ」僕は一旦言葉を区切る。これ以上話しても仕方ない。「このことは他言無用で頼むよ。さて、ニーナ。〝仮想現実〟に行っておいで。せっかく奪ったギアも、これじゃただのSDカードと変わらないよ?」


 ニーナはこくりと頷いた。僕は立ち上がり、ニーナへVR装置を渡す。


「ファンタジーの世界とSF世界が選べるんだってさ。ふたりともファンタジー選んだみたいだけど、ニーナはどうするの?」

「なら、SFへ行くよ」

「おけい」

「……ねえ、ラーキ」

「質問が多いなぁ。まぁ良いけどさ」

「私のこと、好き?」

「友だちとして? それとも、一蓮托生の盟友?」

「……、分かった。ちょっと行ってくる」


 彼女は設定を済ませて、少しすねたような表情で〝仮想現実〟へと潜り込んだ。


「ありゃあ、僕とニーナは元々そういう関係だったのかも」


 僕はそうつぶやき、小腹を満たすべく冷凍ピザを電子レンジに入れた。


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