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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山スバル
チャプター2 プルス・ウルトラ、さらなる高みへ

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EP11 逃げるは恥だが役に立つ

 なぜ殺気を覚えたかは分からない。普通、人間にそんなものを察知できる力はないからだ。

 それでも、僕は歩道橋の上よりなにか剣呑(けんのん)な雰囲気を覚えた。


「なぁ、あたしの同僚を痛めつけたの、オマエ?」


 ウェーブのかかった茶髪の女がそこにいた。僕は彼女を見上げながら、


「だとしたら?」

「生かしておくわけにはいかないよな」

「だろうね」


 彼女は車の残骸に降り立った。コイツ、明らかに先ほどのザコとは違う。おそらくフロンティアの幹部級だろう。


「アイツは良いヤツでさ。カネのねぇ子分を自分の家に住まわせてたんだ」

「へぇ、腐れ外道にも慈悲はあるんだ」

「腐れ外道はどっちだ? オマエが殺りたかったのはアイツだけだろ? それにも関わらず、他の子分までひでぇ目にあわせやがって」

「クズにはお似合いでしょ」

「ハハッ、そうだな」


 彼女は一呼吸置き、


「ぶち殺す」


 こうして、またもやフロンティアの幹部との対決が始まった。

 制限時間は残り6分程度。それ以内に決められないと、サイコ・キラーになってしまう。僕はデバイスの電源をつけ、速攻で相手を倒すべく、

 地面を蹴って月よりエネルギーを集める。


「なるほど、なるほど。そのデバイスで能力を使ってるんだな」


 だが、彼女は眉一つ動かさない。これからなにが起きるか、そしてどう勝つか見えているかのように。


「だがよォ、デバイスをぶっ壊してしまえばオマエはなにもできねぇよなぁ!?」


 コンマ単位の時間で彼女は、

 僕の首元まで詰め寄った。

 このままでは首を折られる、いや、デバイスを壊されてしまう。なんとか防御姿勢をとろうとするが、もはや人間の動体視力では反応しきれない──。

 そんなとき、

 バシュッ、と銃弾が聴こえた。

 どこから撃たれた? 僕は撃たれていないため、おそらく味方の射撃だ。


「ラーキ!! 人間ひとりじゃ生きていけないよ!」


 金髪のセミロングヘアでタレ目の女ザコ、ニーナが地上にいた。彼女は拳銃を持っていて、なんとか幹部の足に銃弾を当てたようだ。


「──てめぇ!!」

「おい、目の前に集中しろよ」


 僕は集まった月の光のエネルギーを、彼女にぶつける。

 そのときには、勝敗はついていた。


「ぐぉお!?」


 地面に着陸し、僕はデバイスの電源を切る。

 莫大なエネルギーの塊をぶつけられた所為で、敵幹部は呼吸するのがやっとのようだった。

 そんな中、僕の元にニーナが駆け寄ってくる。


「なんで、異変に気がついたの?」

「だって、私らのヤサあそこだよ?」すぐ近くのタワーマンションを指さしてくる。「あそこね。嫌でも見えちゃうし、爆発音もしたもん」

「なるほど……。さて」


 僕は一旦溜め息をつき、肩で息をしている敵幹部に告げる。悶える表情が良いな、とか別のことも考えつつ。


「オマエがどこの誰だか知らないけど、私らの邪魔をするなら相応のケジメをつけないといけない。意味、分かるか?」

「し、らねぇよ、アバズレェ!!」

「なら知っておけよ。ギアを差し出せ」

「……は?」

「オマエ、なにかギアを持っているだろ。それを渡せば、ここで見逃してやる」

「いや、始末しないの? ラーキ」

「殺しは好きじゃない。それに、君らへもギアが必要でしょ?」

「え、でも、ギアなんてつけたら正気度が鬼下がりしちゃうよ」

「大丈夫、ギアによる正気度低下を抑える方法も知っているんだ」

「どういうこと?」

「あとで話す。で、早く決めろ」僕はニーナから銃を借りる。「コイツは安物で弾もまっすぐ飛ばないけど、この距離だったら外すこともない」


 ギアを失うのは、実質的な死を意味する。そんなのは、僕も敵女幹部も分かっている。この戦国時代のような街で、特別な力をなくしてしまえば、遅かれ早かれ死に至るのだ。

 とはいえ、街から尻尾巻いて逃げれば良い話でもある。逃げることは悪ではない。その腹つもりがあるか否かだ。


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