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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山ルイ
チャプター2 プルス・ウルトラ、さらなる高みへ

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EP10 ヒトの心を失った街

「それは良かった。じゃ、帰ろうか」


 僕らはフロンティアの女幹部の無力化という手みあげを持って、レイ・ウォーカーの元へ向かう。


 *


「やぁ、勝ったようだな」

「まぁね」

「殺してはいないようだが、アイツもこれで詰みだな。この混乱に乗じて、おれは金稼ぎでもするよ」


 だろうな、と僕は思った。レイ・ウォーカーは利己的な情報屋であり、彼の依頼には常にカネがちらついている。


「で、私らはアンタの提供した隠れ家に住んで良いのか?」

「ああ、構わんよ。大丈夫、ブラッドハウンズも追跡できない場所にある」

「ありがとう」


 レイの邪魔をしても仕方ないので、モニターに向かってなにか仕組んでいる彼を背に、僕はニーナへ連絡を取る。


「もしもし」

『……大丈夫だった?』

「私を誰だと思っているのさ」

『良かった! ラーキ、この家めちゃ広いよ!! 高級ホテルみたい!!』

「そりゃあ良かった。位置情報を送ってくれない?」

『良いよ~』


 スマホに家の場所が送られてきた。確かに、ブラッドハウンズやフロンティアといった組織がシマにしていないところである。そこへ至る道すらも。


「分かった。そっちへ向かう」

『待ってるよ~』


 ニーナとの通話を切って、僕は深夜のウィング・シティを歩く。口からは自ずと白い息が出てきて、ヒリヒリと手がかじかむ。高層マンションやビルが建ち並ぶ街は、ヒトの心なんてとうになくしているように見えた。

 そんな街の歩道を歩いていると、

 車が、猛スピードで突撃してきた。


「……、」


 僕は無言でデバイスをつけ、反射モードに設定した。

 歩道棚をも破壊するほどの速度だが、エネルギー操作の前でこの速度は通用しない。

 そして、

 僕は、手を差し出し車の前面をへこませ、運転席よりエアーバッグが出てくるのを確認する。


「フロンティア、か」


 宇宙をイメージしたという明るい青色の車を見て、僕はそう確信する。


「まぁ良いや。ここで引き下がるなら、なにもしないよ」


 同時に忠告も忘れない。無駄な殺生はしたくない。

 が、彼らは外から出てきてしまった。もう立っているのがやっとなのに。


「クソがァ!!」


 そんな中、

 僕に向けて銃弾の嵐が吹き荒れた。しかし当然反射できるため、気にすることもない。強いて言えば、反射する位置を少しずらさないと殺人になってしまうだけだ。


「てめェ、なんの能力で……!!」

「答える義理、ある?」


 ピュン、ピュン、と弾丸が明後日の方向へ向かうのを見て、さすがにアサルトライフルでは叶わないと思ったか、身体改造をしていそうなモブがこちらに向かって猪突猛進してきた。

 さりとて、この程度で怯むわけもない。


「ご、はぁ……!?」


 僕はか細い手で、突進してきた彼の腹部に触れた。人間の身体には微量な電気が流れている。それを少し弄くって、いや、だいぶ操って彼を無力化した。

 ビリビリ、と帯電する男を見たフロンティアの連中は、さすがに恐れをなしたか一目散に逃げていった。


「全く、正気度が下がっちゃうじゃないか」


 時間経過で回復するとはいえ、あまり連戦し過ぎるとサイコ・キラーになってしまう。感情の乏しい殺人鬼に成り下がったとき、僕の異世界生活は終わる。残された制限時間はおおよそ6分ほどだろうか。

 とはいえ、逃げ惑うフロンティアの連中を殺してやろうとは思わなかったので、あまり正気度は下がっていないようだ。


「さて、帰りますか。とんだ水をさされたけども」


 そうつぶやき、デバイスの電源を落とそうとしたとき、

 殺気、を覚えた。歩道橋の上から。


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