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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山ルイ
チャプター2 プルス・ウルトラ、さらなる高みへ

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EP9 天と地の間

 この街で生き抜くには、そして成功を収めるには、結局暴力に頼らざるを得ない。そんなこと、このゲーム世界? では当然の話だった。


「とはいえ、大ボスはまだ生きているだろうね」


 パラパラ……と瓦礫が舞い散る中、僕は再びデバイスの電源をつけようとした。

 その刹那、

 音が、ギターリフみたいな音が響いた。

 僕は咄嗟にエネルギー操作のデバイスをつけ、アーキーと敵の間合いに入る。


「え──」


 アーキーは未だ、なにが起きているのか分かっていない様子だった。それでも、時間は止まってくれない。僕は音というエネルギーを反射し、敵性にぶつける。

 が、

 敵の女幹部は、邪気あふれる笑みを浮かべながら、瓦礫を蹴り飛ばして僕らのほうへ向かってくる。


「おうおう、ヒトの家ぶっ壊してやがって。保険は適用されるのかね?」


 黒い髪に碧い目、身体には大量の改造が施されている。身長は見上げる必要があるほどだ。

 そんな敵幹部の女は、僕とアーキーを指差す。

 その瞬間、

 アーキーが音とともに吹き飛ばされた。


「音速、って知ってるか? まぁ知らんわけはないよな。中学とかで習う分野だ」敵女はケラケラと笑う。「で、オマエはなぜ立っていられる? 照準はしっかり合わせたぞ?」

「天と地の狭間はここで、そこではアンタの常識じゃ推し量れないことが起きるんだよ」

「へっ、そうかい。ならひとつだけ」


 僕は身構え、彼女との間合いを保つ。

 だが、

 エネルギーを操作できるはずの僕は、一瞬で間合いを狭めてきた彼女に蹴られる。


「あたしは音速そのもの。人間の動体視力でどうにかできると思うなよ?」


 嘘だろ、と僕はつぶやきそうになる。

 原作知識が正しければ、彼女は音を操作できるが音速で動くことはできなかった。やはりこの世界、ゲームの世界のように見えるが少し改変されている。それも、厄介なほうへ。

 とはいえ、もう考えている時間はない。この事態について考えられるとしたら、それは勝ったときだけだ。


「おらぁ!! さっきの大技はもう使えないのか!?」


 音速で僕に詰め寄る敵を、現状捉える方法がない。この感じだと、身体改造も施されているだろう。ならば、

 僕は、アーキーが囮になるのを覚悟でエネルギー操作を使う。僕自身も音、いや、光の速度であたりを駆け巡る。


「ラーキ!! どこ行ったのさ!?」

「本当だよ、わざわざ人質まで用意してさ……!!」


 アーキーが慌てふためくが、まだ敵を目で捉えられていない。捉えられればどうとでもできるが、それができない限りにはどうにもならない。


「ぐっう!!」


 アーキーの顔が歪む。彼女は腹部を抱え、その場に膝をついた。

 だが、それこそが僕の狙いだ。僕はアーキーの直ぐ側まで近づき、


「──!?」


 敵幹部を地面へ叩きつけた。


「な、にが──!!」


 ギアの使いすぎで正気度を失わないよう、僕はデバイスの電源を再び切る。

 そして、勝利宣言をしていく。


「アンタは音速で動き回れる。なら、この場所から音を一部抜いてしまえば良い。一瞬止まってくれて助かったよ。そうじゃないと、今の可動領域ではこんな芸当できなかったからね」

「クソッ……調子ぶっこいてんじゃねぇぞ!! ザコが!!」

「まだ暴れるつもりか? もうお得意の音速操作はできないぞ」

「まだあたしにぁ、身体改造があるんだよ!!」

「それがどうしたっていうんだ?」


 手のひらより、彼女はなにかビームらしき現象を放った。それは一直線に僕のもとへ向かっていく。それが無駄なあがきなのは、彼女も分かっているだろうに。

 またもやデバイスに電源をつけ、


「ぐ、ぉ……!!」


 向かってくるエネルギーの向きを変え、僕は彼女にそのままそっくり、エネルギー弾を返す。殺人はしたくないため、致命傷にならないように。


「ラーキ、すげぇな……」

「それより、大丈夫?」

「腹を殴られただけだよ。アイツ、本気で私を殺そうとしてなかったみてぇだ」


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