番外編短編・異世界の夢
ラノベ作家・首村研一郎は、悩んでいた。ちょっとお色気な男性向けライトノベルを書いていたが、なかなか次の企画が通らない。ここは流行りの異世界転生ネタや悪役令嬢でも書くしか無いと思っていたが、思うようにオリジナルティあふれるネタも降りてこない。気分転換に「異世界メシマズ昆虫食村顛末記」というゲームをやっていると、気を失っていた。
気づくと、研一郎はルース・ドートリーという名前のカフェ店長に異世界転生していた。死ぬ直前にやったゲームに異世界転生していたようだった。
性別も女になって戸惑っていたが、仕事では昆虫食を作らなくてはならず、毎日死ぬ思いだった。異世界転生したはずだが、別に天国のような世界に行けたわけでは無いようだった。
そんな折、なぜか日本から異世界転移してきた萩野涼子という女子高生と日本食を作るようになり、あっという間に大盛況。涼子と日本食のお陰でチートな異世界ライフを謳歌していたが、突然満月が落ちてきて、この世界が滅んでしまった。
目覚めたら、首村研一郎として生き返っていた。死んだと思われる日付けと時間に帰って来たようで、全てが夢だったと悟る。
「しかし、昆虫食、異世界、日本食……」
急に頭が回り出し、昆虫食が根付く異世界でカフェを開く女性のライトノベルを思いついてしまった。思いっきりチートで溺愛描写も多いエンタメ作品を作りたい。
「よし。読んで貰った人に楽しんで貰えるといいな」
研一郎は希望を胸に宿し、新作の企画書を書き始めていた。