脱出
とある町のお姫様の冒険談。
episode1 脱出
太陽の日差しで雪が解け新たな芽が出てくる頃
東の国グリッドはいつにも増して忙しない。
そう、明日は即位継承の日なのだ。
長女であるエレナが正式に王女様と認められる日だ。
しかし、エレナは王女になんか興味がなかった。
街の人の評判は最高、周りからの評価も高い。
王女になるべくして産まれてきたとまで言われているが
当の本人は興味が無い。
そんなことよりも街をでて魔物を倒し世界中を巡りたいと
考えて日々を過ごしてきた。
もちろん王族に産まれたからそれなりには振舞ってきたが、、
明日を迎えれば王女としての生活が始まってしまう。
「そんなのは嫌だ」エレナは呟いた。
そしてあろうことが国を脱出することを考えた。
もうじき日が沈み、夜がくる、そして朝を迎えたら
王女としての生活が始まる。ここを出なければエレナは決意した。
そうと決まれば早かった。
常日頃から冒険を夢みていたエレナはいつその時が来てもいいように荷物をまとめていた。
まさか本当に来るとは周りは思ってもいなかっただろう。
お城は常に見回りが2人1組でいる。門にも門番がいる。
明日のために城内が忙しなくて助かった。
みんな総出で準備している。見回りもだ。
お城からは抜け出せるだろう。ただどうやって門を抜けるかだがここもすんなり城を出ていく馬車に潜り込んで抜け出せた。
エレナは思った。『神が味方してくれている』と。
だがここから始まる冒険はエレナの想像を遥かに上回るとは
まだ誰も知らない。