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転生令嬢は前世の心中相手に囚われたくない!  作者: 田鶴
第2章 前世を思い出す前
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9.ザンドラの心配

 ファーストキスで腰砕けになったアニカが立ち上がれるまで待っていたら、結構時間が経ってしまった。ウルフとアニカが孤児院の中に入っていった時には、アニカの母ゾニアはとっくに修道院の中にいた。


 アニカは、ウルフと付き合うようになったことを早速ザンドラに報告しようと2人きりで話せる所へ行った。


 「ねえ、ザンドラ!とうとうやったよ!ウルフと付き合うことになった!」


 アニカの顔は紅潮して、うれしさで目がきらきらしていた。


 「よかったねー!でもほんと、2人ともじれったかったよ。恋のキューピッド役をした私に感謝してよね!」


 「うん、ありがとう!ザンドラも付き合いたい人いたら私がキューピッドするよ!」


 「自分の恋もじれったかったアニカがキューピッドできるのぉ?」


 「うーん、やっぱできないかな?アハハハ――でも結婚相手探すなら、お母様の伝手でいいオトコ探せるかもよ?」


 「えっ、結婚?!付き合いたい人すらいないのに気が早いよ。第一、私まだ14歳だし。いくら15歳で成人って言っても最近じゃそんな歳で結婚する人なんてほとんどいないから」


 「まあ、そりゃそうだよね。冗談だよ」


 「アニカはウルフと将来結婚まで考えてるの?」


 「私は考えてなかったけど、うちか王都の他の商会に就職して出世してうちの両親を説得するから、それまで待っててってウルフに言われた」


 「出世っていったい何年待つの?!」


 「あ、それ、考えてなかった・・・でも出世のこと考えるのも気が早いんじゃない?」


 「今はまだいいけど、ウルフが就職する前には相談したほうがいいだろうね」


 「そうかもしれないけど・・・ザンドラってもう大人みたいだね」


 「アニカがふわふわしすぎなんだよー。私、両親いないから、15歳になって孤児院出なきゃいけなくなったら一人で生きてかなきゃいけないからね」


 「・・・そうか・・・ごめん・・・」


 「こっちこそゴメン。辛気臭くなっちゃったね。でもお節介かもしれないけど、ウルフが出世したいなら、別の商会に就職したほうがいいんじゃない?」


 「どうして?うちの商会、奨学生の就職枠だってあるんだよ」


 「だって、もしウルフがアニカの家の商会に就職して出世したら、ウルフの実力じゃなくてアニカのおかげって思われるんじゃない?そしたらウルフは針の筵になるんじゃないかな?」


 「うちの商会に僻む人はいないと思うけど、ウルフは確かに引け目に思うかも・・・」


 「そんなの裏で皆、なんて思ってるかわからないよ。それにアニカのお兄さんが後継ぎでしょ?義弟が出世するのは跡目争いになりそうでお兄さんもおもしろくないかもよ」


 「お兄様はそんな小さな人間じゃないし、うちの商会の人達は皆いい人だよ」


 「私はアニカのお兄さんも商会の人達も、よく知らないからわからないけど、人間に絶対はないからね」


 「うーん・・・せっかく付き合えてうれしかったんだけど、色々難しい問題があるんだね・・・」


 「ごめん、脅かし過ぎちゃったね。今は昔ほど身分制度が厳しくないけど、それでも伯爵令嬢のアニカと孤児のウルフじゃ、大きな障害があるから、心配なんだよ。でも2人には幸せになってもらいたいって思ってるからね」


 「ザンドラ、ありがとうっ!」


 アニカはうれしくなってザンドラにひしっと抱き着いた。

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