表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生令嬢は前世の心中相手に囚われたくない!  作者: 田鶴
第2章 前世を思い出す前
5/23

5.もやもやの正体

 アニカの側仕えがかなわなかったウルフは、他の孤児院の子供達と同じように、孤児院から義務教育の幼年学校に通った。


 モニカは同じ屋根の下に住む利点を最大限に使って、チャンスがあればいつでもウルフにべったりだった。でもウルフにとってモニカは孤児院に一緒に住んでいる子供以上の存在ではなかった。それどころか、いつもべたべたしてくるモニカが段々苦痛になってきていた。


 ある日、母親と孤児院に来ていたアニカはキョロキョロと辺りを見回してウルフを探していた。


 (あ、いた、いた!)


 「ウル・・・」


 視線の先にはウルフとモニカがいた。ウルフは気が付かなかったが、モニカはアニカに気付いて、すぐにウルフの腕をとってにっとしながらアニカを見た。それを見たアニカはびっくりしてしまって何も言えなくなってしまった。


 ウルフがようやくモニカから解放された時、アニカはもう帰宅しなければならない時間になっていた。


 「アニカ!」


 「お母様がもう帰るって。私も行かなきゃ。次はゆっくり話そうね」


 「うん、ごめん・・・」


 「どうして謝るの?」


 「アニカと話せなかったから」


 「じゃあ、今度話せるようにしてくれたらいいよ」


 その日、結局アニカがウルフと話せたのはそれだけだった。


 だが、その後もアニカが孤児院に遊びに来る度に、モニカがウルフにべったりでろくに2人で話せなくて悶々としていた。口下手なウルフはアニカを好きなことをアニカに言えず、アニカもプライドと照れが邪魔してモニカがウルフにべたべたするのが嫌とウルフに伝えられず、2人の仲は進展しなかった。モニカにとっては、正に敵失、ラッキー!だった。


 ウルフは義務教育の幼年学校を規定通り12歳で卒業し、ディートリヒシュタイン伯爵家の奨学金を得て商業学校に入学した。奨学生はディートリヒシュタイン商会に最優先に入社できるが、ウルフは、それが無理だったら首都のどこかの商会で働くことを目標にしていた。


 ウルフとアニカにとって運の悪いことに-モニカにとっては幸運だったけど-モニカも成績がよくて伯爵家の奨学金をもらえることになり、同じ学校に入った。


 アニカは上流階級や富裕層の子弟が通う私立のエスカレーター式幼年学校から内部進学した。アニカは、ウルフとモニカが同じ孤児院に住んで同じ学校に通うことにもやもやしていたが、これまた照れとプライドが邪魔してウルフに不安を訴えられなかった。

ブックマークありがとうございます。

「小説家になろう 勝手にランキング」に参加しています。こちらもよろしければ応援お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ