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転生令嬢は前世の心中相手に囚われたくない!  作者: 田鶴
第3章 前世を思い出した後
14/23

14.私は前世を思い出した!(アニカ視点)

 (・・・ん?誰かが私の上に載っている?)


 『あぁ・・・ああぁ・・・あぁっ・・・ルドルフ様っ』


 『あああっ・・・いくっ・・・アンネっ・・・あ、愛してるっ・・・うっ・・・うううっ』


 金髪碧眼の超イケメンがアンネ―『私』―に愛をささやきながら私の中で達した――


 (んんん?私の恋人は『ルドルフ様』で私の名前は『アンネ』???)


 夢の中の『私』は今の私に髪の色とか顔の造りとか結構似ていた――巨乳は似てなかったけど――いや、ゴホン。そこは重要じゃない。いや、重要?!


 とにかく『ルドルフ様』はすごいイケメンだった。なんだか見たことがあるような気がしたんだけど、そんなイケメンを見て忘れるはずがないから気のせいかも。思い出そうとして必死に考えたけど、考えれば考えるほど『ルドルフ様』の顔がぼやけてはっきり思い出せない。


 夢の中で『私』は喉が渇いて『ルドルフ様』がくれた水差しの水を飲んだ――その途端、血を吐いて『私』は死んだ!!


 『がはっ!・・・ぐほっ!・・・ど、どう・・・がはっ、ぐふっ・・・しっ・・・て・・・?』


 『僕は君以外と結婚しない。だから一緒に逝こう。来世で一緒になれるよ』


 (・・・そう、だから今世で貴方と一緒になる!)


 「――んなわけなーい!この人殺しぃぃぃ!!」


 私は悪夢から覚めてがばっと起き上がった・・・ら、全身が痛い!!


 私の叫び声を聞いて、家政婦のハイディさんが私の部屋に飛び込んで来た。ハイディさんは私のシッターをしてくれた縁で、家事の他にも私の看病もしてくれる。


 ちなみに侍女なんて職業は今や風前の灯で、我が家にもいない。裕福な家庭では家政婦に家事をやってもらうけど、服を着るのも入浴するのも今時の女性は1人で当たり前にできるから侍女は必要ない。せいぜい王族女性に『女官』と言われる側仕えの女性がいるぐらいだ。


 「ああ、お嬢様!やっとお目覚めになりましたね!すぐに旦那様方をお呼びします」


 「ちょっと待って!やっと目が覚めたってどういうこと?」


 「お嬢様は、階段から落ちて3日間、意識不明だったんですよ」


 (ああー、最近読んだ転生令嬢物語でよくありがちな階段落ちで前世を思い出す展開?!)


 そう思った途端、ルドルフとアンネの思い出がガーッと頭の中に流れ込んできた。


 (何これ?!ルドルフの婚約者が妊娠したから身を引こうとしたのに無理心中させられた?!っていうか、アンネっていう恋人がいながら、ルドルフは婚約者ともヤることヤッたわけ?!)


 (・・・んじゃない、婚約者がルドルフに媚薬盛って迫ったんだ!婚約者のゾフィーって、サッ、サイテー!)


 そんな前世のことを考えていたら、涙でぐしゃぐしゃになったアツイ両親と兄も私の部屋に飛び込んできて、私を抱きしめて号泣し始めた。


 そんなこんなで前世のことを全部思い出した私は14歳になっていた。

アニカの前世のアンネとその恋人ルドルフは、『始まりは偽装デキ婚から』で無理心中してしまっています:

https://ncode.syosetu.com/n5795hx/


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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