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転生令嬢は前世の心中相手に囚われたくない!  作者: 田鶴
第1章 前世の記憶(アニカ視点)
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1.前世の無理心中の記憶

 私-ディートリヒシュタイン伯爵令嬢アニカ-には、恋人に毒を盛られて無理心中させられたアンネとしての前世の記憶がある。前世の記憶が戻った14歳の頃は、単なる空想かと思ったけど、調べれば調べるほどリアルだった。


 記憶の中に出てくる『マクシミリアン王子廃嫡事件』とか『コーブルク公爵家嫡男無理心中事件』(本には『心中』って書いてあったけど、あれは『無理』心中だから!)は100年ぐらい前に本当にあったことだった。


 それから調べてみたら、無理心中したコーブルク公爵家嫡男ルドルフの婚約者『ゾフィー・フォン・コーブルク』や、彼女と結婚してコーブルク公爵家を継いだ『ラルフ・フォン・コーブルク』も私の前世の記憶の中に出てくるんだけど、実在した人物だった。


 私の前世アンネの人生はこんな感じだった。アンネはコーブルク公爵家で働く平民出身の侍女で、嫡男のルドルフと恋仲になった。ところが、彼には子供の頃からの婚約者ゾフィーがいた。


 ゾフィーは嫉妬に駆られてルドルフに媚薬を盛り、無理やり関係を持って妊娠。それを盾に結婚をルドルフに迫ったんだけど、ルドルフは断固拒否。


 ルドルフの両親は、ゾフィーと結婚してアンネは愛人にしておけばいいなんて、最低最悪のことをルドルフに提案したけど、それももちろんルドルフは却下。ルドルフは貴賤結婚しても爵位を継げるようにアンネをどこかの貴族の養女にしようとしたけど、両親がありとあらゆる伝手を使って阻止。


 アンネはゾフィーの妊娠を知ると、身を引くとルドルフに伝えたんだけど、ルドルフは別れを受け入れられなかった。


 絶望したルドルフは、別れる前の最後の記念と嘘をついて旅行にアンネを誘ったの。着たこともない高級なドレスを着せてもらって観劇して最高のデートを楽しんだ後、高級ホテルに泊まって夜が明けるまで愛し合った。なのにその後、ルドルフはアンネに毒を盛って殺して自殺しちゃったってわけ。


 この後の話はアンネが死んだ後だから、私の前世の記憶にはない。図書館で見つけた当時の下世話なゴシップ新聞や後世に出版された風俗史の本にいろいろ書いてあった。


 アンネが死んだ後、ルドルフも毒を飲んでアンネの遺体を抱きしめたまま自殺していたそうだ。でも情事の後で2人とも裸のまま死んでたことに新聞記事がすごい喰らいついていた。


 死んでも恥をかいたというオマケ付き!それを知ったときの恥ずかしさったらない!せめて美しく着飾って綺麗に死ぬ(でも殺されるのは嫌!)とか、最低限の配慮をルドルフはなんでしてくれなかったのか!多分、ルドルフはもう半ば気が狂ってたからなんだろうな。


 アンネの墓にお参りしてみたいけど、今やどこにあるのか、というかちゃんと墓石のある墓に埋葬されたのかすらわからない。ルドルフの墓は、まだ残っているはずだけど、コーブルク公爵家の墓地に埋葬されているらしいから、残念ながら私は立ち入りできない。


 転生したのが私だけだったら、こんな風にいろいろ考えているだけでよかったんだけど、今の世界にルドルフの転生者もいたらどうしようって怖かった。だってあのヤンデレの転生者だよ?今世でもヤンデレに違いない!そんなのには関わらないのが一番!なのに、なのに、よりによってこんな身近にー!!

本編『始まりは偽装デキ婚から』で心中してしまったルドルフとアンネも幸せにしたいってことで転生させました!


ゾフィー妊娠までの経緯がアニカの視点では、『始まりは偽装デキ婚から』に描かれているのとちょっと違います。『始まりは偽装デキ婚から』のほうが事実ですが、アニカがアンネとルドルフの不貞を無意識のうちに擁護してこういう認識になったというわけです。


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