聖女ティニー
『女神の雫』が手に入った事で、早速世界樹へと向かう。
正室の魔王化についてはセバスに探って貰う事にした。
昔の伝手を頼ると言ってたから、ある程度の情報は入るだろう。
その間に色々と準備を進める。
まずはティニーを聖女にする事だ。
「あら〜。来たわね〜。こっちの準備も出来てるわよ〜。」
リュミドラの案内に従って移動すると、世界樹の中にある泉に着いた。
世界樹の葉から採れる朝露を集めた泉で、勇者や聖女の修行の場だ。
(ゲームでもあったな…。精神統一して自分と向き合う場所だとか…。確か、薄い羽衣をまとって……。)
そう考えた所で停止する。
少し先にティニーの姿が見えたからだ。
「……。」
声をかけられずに止まってしまう。
薄い羽衣をつけて水の中に居るから、全て見えてしまっている。
小さい頃は一緒に風呂に入った事もあったが、大きくなってから見るのは初めてだ。
(……成長したな。)
ふとそんな事を思ってしまった。
男なら仕方無い事だろう。
「…楽しんでくれたみたいね〜。二人とも、ディノスが来たわよ〜。」
リュミドラの言葉を聞いて、ティニーと母上が目を開ける。
母上も一緒に居たが、流石にそちらは見ないようにしておいた。
「ディノ…。……きゃあ!!……ディノス!?目を瞑りなさい!」
「ディー!。っきゃ。ティニーちゃん!?」
ティニーが母上に抱きついた所で目を閉じた。
…後姿も危険だったと言っておこう。
「もう!ちゃんと言ってくれれば見せてあげるのに!マイハ様の裸まで見て!」
「大丈夫よー。ちゃんとティニーちゃんに釘付けだったから。」
目を閉じてる間に二人は泉から上がったようだ。
魔法で服も乾燥させている。
「ディノス、良いわよ。…この格好は修行中の正装なの。だから絶対マイハ様を見ちゃダメよ!?」
「そんなー。ティニーちゃんばっかりズルいわよー。」
ティニーを見ると、確かに中々扇情的な格好だ。
大人しく従っておこう。
「リュミドラ。『女神の雫』を持ってきたぞ。」
「確かに、『女神の雫』ね。これだけあれば十分足りるわよ〜。二人の準備も終わっているから、後は雫を使うだけね。」
リュミドラに雫を渡す。
どうやらすぐに使えるようだ。
「二人は泉の中央まで歩いてきて〜。水面歩行をかけたから水の上を歩けるわよ〜。」
「「はい。」」
二人が手を繋いで中央に歩いて行く。
(あれは…。中央に、水の祭壇?)
いつの間にか祈りを捧げる祭壇が出来上がっている。
周囲の水よりも濃い青色をしてあり、細部まではっきり見える。
二人が連なって膝立ちになり、祈りを捧げる。
(これは…いつか見た光だな。今度は神の存在も感じられる。)
公都の教会で、母上が祈りを捧げた時に見た光景だ。
今もこの空間の天井から光が降り注いでいる。
(力を測るのは…流石に不敬過ぎるか。ティニーや母上が祈りを捧げる神だ。私も素直に祈ろう。)
強大な力を持ちながらも暖かい存在だ。
大人しくしておこう。
ティニーが『女神の雫』を飲むと、光がティニーに収束していく。
やがて全ての光がティニー中に吸い込まれ、儀式は終了した。
「お疲れ様〜。これでティニーちゃんは正式な聖女よ〜。」
リュミドラの言う通り、ティニーからは暖かい光が感じられる。
これが聖女の力なんだろう。
「本当!?…ですか!?」
「うんうん。おめでとう〜。」
「…やっっっっっっっったああああーーー!!!!」
ティニーが飛び上がって喜ぶ。
(あ…。そんな高く飛んだら…。)
「「きゃあ!!」」
ティニーの着地と同時に、祭壇が傾いて二人が水の中に落ちる。
水面歩行でも耐えられない衝撃だったんだろう。
「アハハハ!!マイハ様、ごめんなさい!」
「アハハ!ティニーちゃん!おめでとう!」
二人仲良くはしゃいでいるし、問題無いだろう。
「ティニー、おめでとう。」
「ディノス!ありがとう!!」
ティニーが戻って来た時に声をかけると、思いっきり抱きつかれた。
私も水に濡れてしまったが、同時に喜びも伝わってきた。
リサ達も自分の事のように祝ってくれている。
「ディ。ティニーちゃんを故郷に連れていってあげたらどう?折角だし、大司教様とも会ってくると良いわ。」
母上が私とティニーを見て言ってくる。
…微妙にティニーに意味ありげな目線を送っているが、何かあるんだろうか。
「そうですね。私もずっと挨拶出来ていませんし、行ってきますね。」
「そ、そうね!お爺様や国に報告しないとね!ね!?」
リサ達も深く頷いているし、大丈夫そうだな。
私は白都に転移出来ないが、ティニーが転移石を使って移動する。
一度行けば今後は私の魔法で簡単に行けるようになる。
皆に見送られて、白都へと移動した。
「おおーー。凄いな。城じゃ無くて大聖堂が街の中心部か。真っ白な壁に色とりどりのステンドガラスが光って、見てるだけで飽きないな。」
「そうでしょ!?ここがワタシの故郷よ!王都よりは小さいけど、美しさなら負けないわ!」
聖堂だけじゃ無く、周囲の建物の壁も白い。
流石は白都と呼ばれる都だ。
(ゲームでは廃墟だったからな…。骸骨の軍勢が居たから白くはあったが…。)
この美しさとは比べものにならない。
「入って入って!人に見つからないで入れる道知ってるから!」
ティニーに案内されて大聖堂に入るが、何故黙って入るんだろうか…。
大司教の手紙にあった通り、聖国ではかなりお転婆なようだ。
「お爺様!帰ったわ!今日はディノスも一緒よ!!」
「ティニー!?いつも言ってるだろう!ノックをしなさい!……失礼。その方が、婿殿か。」
「そうなの!それでマイハ様も完全復帰して、聖女の力を頂いたわ!今日からワタシが聖女なの!!」
「……今、なんと?」
「ワタシは聖女よ!それも、ちゃんと神様に認められたわ!!『ディノスを支えなさい。』ってちゃんと頼まれたんだから!!」
「なんと!!それはめでたい!!すぐに聖国中に広げなければ!!!異界門の話が知らされてからと言うもの、国中が沈んでいたのじゃ!!」
大司教が興奮して席を立つ。
もはや私の事は忘れていそうだ。
「大司教様、もし宜しければ城壁の作成も致します。王国や皇国での実績も有ります。少々地力を使いますが、それ以上の効果は期待出来るかと。」
「ディノスは王国で噂になってる『神の使い』なのよ!!皇国でも噂が広がってるらしいわ!!」
私の言葉をティニーが補足してくれる。
「王国の情報は知っておったが、まさか皇国のもそうじゃったとは…。本当に有り難い!是非お願いする!!」
異界門の情報を知った後、『神の使い』がいつ現れて良いように防衛計画を練っていたらしい。
後で資料を渡すと言われた。
「あの調子だとパレードね!!皆が居ないのは残念だけど、婚約パレードは二人っきりでやりましょう!?」
「…ああ。そうだな。」
パレードなんて柄じゃ無いが、ティニーがこんなに喜んでいるんだ。
今までずっと故郷から離れていたんだし、大司教様に協力して盛大なものにして見せよう。
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