迷宮 01(1ー10層)
翌日、黄金郷達と別れ、私達は迷宮に向かう。
今回は私達だけで潜るのでセバスには留守番とエルフ達を任せる。
冒険者ギルドには向かわずに直接迷宮へ向かう。
定番のイベントをこなしたい気持ちも有るが、今回は諦めた。
この地で公爵家の人間に冒険者が絡むなんて、相手の気持ちが分かるので何も言い返せない。
むしろ公爵家に牙を向いた根性が凄いと思ってしまう位だ。
迷宮への道を塞ぐ門番に公爵家の証を見せ、驚く門番を横目に中に入る。
「薄暗いな…。」
「うぅぅ…。お化けが出るなんて…。」
アリスが怖がっている。
この迷宮はダンジョン型、迷路型と呼ばれる一番よくあるタイプのものだ。
モンスターは死霊型がメインで、お化けが嫌いなアリスが怖がっている。
「ワタシの独壇場ね!」
アリスが通路を駆け回る。
ただ道を進むだけじゃなく、感覚を確かめるように壁や天井を足場にして飛び跳ねている。
「ピンク!…ですねぇ。」
ジュリが突然呟く。分かっても見てみぬフリをする所だろうに…。
「え!?」
ティニーが顔を真っ赤にしてスカートを押さえる。
どうやら聞こえてしまったようだ。
「み、みみ見えたの?」
内股で私に向かって歩いてくる。
私は何も言って無いんだが…。
「少しな…。」
「迷いの森でも黄色い布が気になってましたのぉ。」
「なな何ですって!?ディノス!ずっと見つめていたの!?」
「少しな…。」
もうこれ以外言う事が出来ない。
ジュリを睨むが、ニッコリと微笑まれる。
「あらぁ、見られると言うのは女の喜びよ〜。見られないより良いでしょぉ?」
「た、確かに…。」
いつの間にかアリスとリサまで近寄っている…。
「そこでぇ、これで〜す!」
ジュリが三角の布きれを高く掲げる。
「…何よコレ?」
「これはですねぇ。何と古代王国でも珠玉の一品!伝説の勇者が愛して止まなかったと言われる『ぶるまぁ』ですぅ!」
「ぶるまぁ、ですか?」
リサが『ぶるまぁ』を不思議そうに見ている。
「そうですぅ。これを履けば見せても全く問題ありませんわ〜。一説によると見せる為に作られたとも言われてますぅ!」
「他にも『スク水』や『紐パン』など、沢山有りますよぉ。」
ジュリが興奮しながら次々と服を広げていく。
迷宮に入ったばかりだと言うのに、もう私は帰りたくなっていた…。
「こ、これが…古代王国の秘宝ですか…?」
「ボクも気になってたんです!でもこれが有れば…!」
「こんなに良いモノが有るなら教えてよ!」
3人が慎重に一つずつ吟味していく。
ここで止めると下着が見たいと思われてしまうし、私には見ている事しか出来なかった…。
「これで完璧ね!」
着替えたティニーが飛び跳ねている。
「今までより動きやすい気がします!」
アリスも同じように飛び跳ねている。
アリスとリサも下はロングスカートだ。ロングと言ってもスカートだからな…。
「ディノス様、どれがお好みでしょうか?」
リサに至っては私に選ばせようとしてくる始末だ。
「何でも良いぞ。」
「それでは…。」
一枚を選ぼうとした所、横からジュリが囁く。
「…のーぱ「やめい!」」
これ以上カオスを広げるのは止めて欲しい。
何とかリサに一枚選び、無事終える事が出来た。
誰が何を選んだかについては考え無いようにしよう…
「この変態が…。」
苦し紛れに呟くが、ジュリを喜ばせるだけだった。
「じゃあ今度こそ行こう!」
やっと探索再開だ。
再開というか開始だが…。
地図はセバスに用意して貰ったので最新のものを持っている。
古い情報だが下層まで載っている。
実はダンジョンについてはゲーム知識は殆ど無い。
ゲームでは自らがダンジョンに潜る事は無く、冒険者に依頼して探索を頼む形になっている。
結果報告として何を得られたか報告されるので、どのダンジョンで何が取れるか、どんな敵が出るかについては知っている。
後は隠し部屋が見つかったなどの情報くらいだ。
賢者の塔のような特殊施設とは別枠の扱いとなっている。
緊張しながらも通路を進むが、敵と遭遇する事も無くどんどん進んでいく。
やっと出会えたと思ったらスケルトン一匹だった。
「ボクが行きます!」
アリスが手を挙げたのでそのまま任せたら、一撃で崩れて行った。
「…中層までは最短距離を進もう。」
私の言葉に反対する者は居なく、足早に進んで行く事になった。
「丸一日かけて10層か。今日は切り上げよう。」
このダンジョンは一度潜った場所までならショートカットが可能なので一旦帰る事にする。
死霊系と言うだけあってスケルトン、ゴースト、ゾンビなど有名所が多かった。
10層までだと全く手応えが無く、ボスでも一撃だった。
この迷宮は全50層なので、30層くらいまでは楽勝かも知れない。
一応迷宮自体の難度はS以上なので、Sランクのチームでないとクリアは出来ない。
私達のチームランクは…概算だとA+からS-くらいの気がする。
チームランクは個人のランクと違って測れないので大体の感覚となる。
更に私はギルド職員でも無いからいい加減だ。
個人のランクとしては私とリサがAランク、アリスとティニーがBランクだ。
いつの間にかAランクだった事に驚いたが、入学までにSランクと考えると遅い位だろう。
夕食は昨日に引き続き皆で食事だ。
黄金郷達も当分の間は日帰りで慣らすと言っている。
「美味し美味しー!」
「美味ーー!」
獣人娘達も喜んでいるようだ。
口の周りが凄い事になってる。
私が見ている事に気づいたようで、銀狼娘と金狐娘がコソコソ内緒話している。
すぐに二人して立ち上がり、私の所に歩いて来た。
「ディ様なら良いよー!」
「特別ー!舐めて良いよー!」
「…?」
何を言ってるのか分からずに固まっていると、天人娘と闇人娘が慌ててやって来た。
「何やってるんだ!?」
「やりすぎだぞ!」
二人は分かったみたいだけど、常識人の二人がここまで青くなるとは…。
「何を言ってたんですか?」
アリスも気になったようで質問している。
「それは…。」
「今日は無礼講よ!誰も気にしないわ!」
言い淀む天人娘にティニーが追い討ちをかける。
「ええと…獣人族の子供達は顔についた食べ残しを舐め合ったりしてるんです…。ですから…。」
最後までは言い切れなかったみたいだ。
(顔についた食べ残しって…食べカスと言った方が…。)
つまり獣人娘達は口の周りのソースを舐めて良いと言ってたらしい。
アリスを見て拭いて貰おうとするが…。
世界の真実を見つけたみたいな顔をして、うちの3人娘が口周りを汚し始めている…。
「私は舐めないぞ…。」
私が否定すると項垂れてしまったようだ…。
「私は大丈夫だから、綺麗にしてやるな。」
3人が使い物にならないので私が拭いていく。
「しょんなー。」
「がびーん。」
舐めて貰え無くて悲しそうな顔をしているので、私の料理を口に放り込んでやった。
正解だったようで至福の顔をしている。
何故か魔人娘と亜人娘達が後ろに列を作っているが、食べさせないとマズいだろうか…。
目を瞑ったまま待ち続ける雪女と夢魔娘に根負けして一口ずつ与えていく。
モジモジしながら期待の目を向けていた天人娘と堂々とおねだりしてきた闇人娘にも同様に与える。
「皆には今日はお預けだ。」
その後ろにちゃっかり並んでいるうちの子達に声をかける。
ジュリもしっかり並んでいた。
「そんな!?」
「ボク悪い子?!」
「何でよ!」
「ハァハァ…。」
一人を除き悲しがっているが、ここは心を鬼にしておこう。
黄金郷が一口ずつ分けてるし大丈夫だろう。
一言も喋らなかったエルフ娘達も少しだけ微笑んでいる。
あの娘達が笑ってくれるなら良しとするか…。
先日の分含めて今日は多めに投稿します。
誤字脱字報告ありがとうございます。
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