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古代の魔法使い

「もう一度言ってくれないか?」


ティニーの発言に驚き、再度確認してしまう。


「うーん…。やっぱり無理そう…。もう少し成長したらいけると思うわ!」


やはり答えは変わらず、驚愕の余りどうすれば良いか分からなくなる。


(そう言えば、原作の解放時とはティニーの年齢が大きく違う。原作以上に成長しているとは言え、無理な事が有るのも当然か…。)


しかし成長するまで待ってはいられない。

地下への道が開かれた状態だと他の誰かに解呪されてしまうかも知れないからだ。


これから私達が誰かに頼むにしても、ジュリが誰に恩義を感じるか分からない。

自分たちで全てやるのが一番確実なのだ。


私が悩んでいると、アリスが神の如き解決策を提示してくれた。


「ディノス様が力を貸すんじゃダメなんですか?」


何でも無い風に言ってくるが、全く気付かなかった。

私の『魔力操作』ならティニーの力を一時的に増大させる事も可能なはずだ。


「確かにディノス様なら出来そうですね。」


リサも今気付いたようだ。

今までは魔力を抜いたり弱体化の方にばかり意識を向けてしまっていたようだ。


「ティニー、負担は増えるが大丈夫か?」


「ディノスが一緒なら問題無いわ!」


ティニーも大丈夫なようだ。

負担が大きすぎるなら中断するが、まずは試してみるか。


「じゃぁ早速やりましょう!」


いきなりティニーが上着を脱ぎ出す。


「ティニー!?」


驚いて後ろから手を止める。抱きつくようになってしまった。


「自分で脱がしたいの?ディノスも男の子ね!」


「違う!何で服を脱ぐんだ!?」


「え?いつも脱いでるじゃない。」


本気で驚いているようだ。

以前から行なっている魔力調整の事を言ってるのだろう。


確かにその時は下着姿になっているが…。

アレは調整と言う、より緻密な制御が必要だからだ。


本来は調整でも下着になる必要も無いのだが、いつもの様に押し切られてしまっていた。


「脱がないで大丈夫だ。第一ここは賢者の塔だぞ?」


ボスしか出ない場所だが、絶対とは言い切れない。

装備を外すのは流石にマズいだろう。


「それもそっか…。」


何故か凄い落ち込んだ表情をしている。

色々と間違った構図の気がする。


「そう言うのはまた今度頼むよ。今は目の前の事に集中しよう。」


我ながらとんでもない事を約束している気がするが、解呪に失敗する訳にはいかないのだ。

未来の私に頑張って貰うしか有るまい。


「そうよね!やっぱり二人っきりじゃないとね!」


ティニーの勘違いが怖いが、訂正する事もできずに解呪に取り掛かる。


「じゃぁ行くわね!」


ティニーの肩に手を置いて魔力を同調させる。

普段から似たような事をやっているのでこの辺はお手の物だ。


そのままティニーに魔力を注いで行く。

ただ受け取るよりも繊細な作業だ。


「大丈夫よ!もっと来て!」


ティニーの言葉に従ってどんどん魔力を注ぐ。

同時にティニーの制御がうまくいくように調整も行っていく。


少しずつティニーの負担が大きくなっているが、もうすぐ終わりそうだ。


「このまま行くわ!ディノスお願い!!」


「ああ!」


部屋が光に包まれると同時に、氷が完全に溶ける。

ジュリは既に意識があるようで、自らの足で立っていた。


「お見事です。お二人の行為に胸の高まりが止まりません。」


(あ……、これはもしや……。)


「まさか永き時を経てあのような熱き交わりを見れるとは…。感無量です。」


(絶対アレだ……。)


わたくしもまだまだ未熟者なれど、皆様方の手助けとなれるよう頑張ります。いにしえより続く男女の深奥、我々で解き明かしてみせましょう!」


(変態だ……。)


ゲーム設定にこんなの無かったと思いながら、何とか意識を保つのに必死だった。




「えぇ?普通に仲間になるだけで良いのですかぁ?」


ジュリには誤解だと説明し一応納得はして貰った。

最初の口調は頑張って作っていたようで、今のゆったりとした喋り方が本来の喋り方だそうだ。


「でもぉ…。」


いつの間にか隣に来ていたリサを気にしているようだ。

あの時の発言の内容に皆が興味津々になってしまったのだ。


「……リサ。」


「い、いえ。何でも無いですよ?しかし、将来の事を考えると知っておいた方が…。」


「リサ。」


「……はい。」


何とかリサに納得して貰った。他の二人も何度も頷いているし大丈夫だろう。


「えっと……ジュリ、様?は何故目を瞑っているのですか?」


「ジュリで構いませんよぉ。これは魔眼を見せない為ですよ。」


アリスがジュリに質問している。

一応簡単に挨拶はしたものの、それ以外はこれからだ。


「魔眼ですか…?」


「はい。他にも色々有りますよぉ。」


ジュリは硬直の魔眼以外にも言霊、フェロモン、ドレインなどの能力を持っている。

五感に応じた能力で、味覚だけは開示されていなかった。

この性格を考えると、そっち方面だから説明出来なかったのかも知れない。


それ以外にも古代魔法にも通じ、既にSランクの実力がある。

セバスを抜かせば現状では一番強い存在となる。


「ん……?ディノス様、ちょっと見つめても宜しいですかぁ?」


「ああ。大丈夫だ。」


ジュリが目を見てくる。

魔眼は制御可能との事で、目を合わせても全く影響は無かった。

目を瞑るのは制御するより楽だからと、魔眼保持者が誰かを見るのはトラブルが起き易いからだと言う話だ。


「なるほど〜。中々数奇な人生を歩んでいるようですねぇ。」


余り見透かされる感じは無かったが、何か感じる所があったのだろうか。

改めて『普通に』仲間になる事を了承して貰い、無事目的は達成できた。


「では、申し訳ありませんがお休みさせて頂きますねぇ。あ!ねや事でしたらいつでもお呼び下さいね〜!」


そう言ってベットに潜って行った。

今は賢者の塔の前で野営中だ。


(睡眠好きと言う設定だったが、こっちは正しいみたいだな。)


設定で間違っていた事など殆ど無いが、ジュリの性格は詐欺のような気がする。

おっとりした淑女という性格だった気がするが…。


(考えても仕方ないか。)


そう気分を切り替えた。

普通に仲間になってくれたし大丈夫だろう。


「賢者の塔の未発見の部屋を発見し、いにしえの魔道士を復活させるとは…。ディノス様と居ると物語の登場人物にでもなった気がしてきます。」


セバスがミルクを淹れながら呟く。


「お爺様、ディノス様なら当然かと。」

「ボク達のあるじ様だしね!」

「ディノスは救世主になる男だからね!」


3人が自分の事のように誇ってくれるのが気恥ずかしいながらも嬉しい。

特にティニーは白都の事も有るだろうに…。


神託ではまだ当分先と言われたとの事だ。

強くならなければいけないのは結局同じだし、お互い頑張るしか無い。


「ありがとう。明日からは公爵領に戻り、迷いの森へ行こうと思っている。」


『迷いの森』と名のつく森は各地に有るが、公爵領の中なら一つしか無い。

次はそこでリサの剣を手に入れる。

今度はそこまで手間はかからないはずだ。


「迷いの森ですか…。あの辺りは今封鎖されてるはずですぞ。」


セバスの発言に驚く。


「封鎖?何があったんだ?」


「何でも毒ガスが漏れてるとの事です…。」


(何か怪しい気がするな…。)


公爵家がわざわざ封鎖なんてするだろうか。

何かある気がする。


「セバス、細心の注意を払って調べてみてくれないか?」


母上の事が有るので公爵家を刺激したく無いが、こういう策謀に一族は絡んで無いと思う。

裏が有るなら部下がやっているはずだ。

セバスなら調べられるだろう。


「畏まりました。」


セバスも少し気になったんだろう。

辺りは真っ暗だというのに、すぐに行動に移ってくれた。


セバスに感謝しつつ果報を待つ事にした。

誤字脱字報告ありがとうございます。

面白ければブックマーク、評価お願いします。


第二章初めに『人物紹介』の話を挿し込む為に1話ずつずらします。

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