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賢者の塔

「あれが賢者の塔か…。」


馬車の2階に登って遠くを見る。

荒野にポツンと高い塔が建っている。

周囲には何も無いようだ。


「塔というだけあって高いですね。」


リサも一緒になって塔を見ている。

かなり高く見える。5層くらいだった気がするが…。

巨大な敵も出現したから一層一層が高いのかも知れない。


「ボクの剣でディノス様の敵を蹴散らしますよ!」


アリスが無手で剣を振る真似をする。可愛い仕草だが、その手の動きは高速だった。


「楽しみね!」


ティニーもじっとしてられないようで掌底を突き出す。

衝撃波が発生し、遠くにいた魔物が驚いて逃げている。



塔に着くと早速準備を進める。

いつ盗賊が来ても対応できる様にしてある為準備は一瞬だ。


塔は結構古びた感じで、場所によっては欠けている部分もある。

冒険者達も誰一人居らず、忘れられた遺跡という感じだ。


「では、まずは私が入ります。」


リサが先導する。

リサはセバスから盗賊関連の指導も受けており、罠の発見を任せると決めてある。

正規の盗賊よりは劣るが、探知魔法を併用する事で補えるだろう。


リサを先頭にして中に入ると、1フロア丸ごと一つの部屋になっていた。

ここは一層毎に中ボスが存在しており、倒すと宝物を手に入れる事が出来る。

全て倒した後に1階を調べると地下への通路が開くという仕組みだ。


「出て来たようですな…。では私は見学致します。」


セバスが後ろに下がる。

今回の旅ではセバスはお守り役だ。


まずは定番の巨大ゴーレムが現れた。

ここの敵は強くないのでアリス一人に任せる事にした。


「アリス!任せたぞ!」


「はい!任されました!」


元気よく返事をして先頭に躍り出る。

そのまま両手に剣を構えて突進する。


まだ成長しきってないアリスは短めの剣を二つ使っている。

数打ちではあるが性能は中々のものだ。


雷属性を身にまとったアリスをゴーレムは全く捉える事が出来ていない。

剣からもバチバチと紫電が舞っている。切れ味は十分だ。


そのまま連撃で足を切り崩し、倒れた所で核を破壊した。

問題点として言えば遠距離攻撃が弱い事だが、これもすぐに解決するだろう。


「お疲れ様。」


労いの言葉をかける。

思った通り大して強く無いようだ。

攻略情報は通用しそうだと安心する。


地面から宝箱が浮かび上がり、箱を開けるとポーションが入っていた。

どういう仕組みか知らないが凄いな。

3人も初めて見るようで驚いている。


セバスを見ると笑顔で頷いている。

恐らくは普通の事なのだろうな。


次の階層に進むと、10体ほどの鎧が立っていた。

全身を金属鎧で包み、顔も面具で隠されている。

唯一覗ける瞳は赤く発光しているようだ。


「生身の相手じゃ無いみたいだな。ティニー、頼めるか?」


「任せて!!」


言った瞬間に姿を消した。

ティニーの残像が見える度に鎧が吹き飛んでいる。既に戦闘に入っているようだ。


1分も経たずにティニーは戻って来た。


「弱すぎるわね!」


ご不満のようなのでなだめながら先を進む。

宝箱にはマナポーションが入っていた。


次の層は巨大なライオンのゴーレムだ。

凝った造形で、ミニチュアのサイズが有るなら欲しい位の出来栄えだ。


リサを見るとこちらを期待するように見ていた。

頷くと、目を輝かせて姿を消す。


小太刀をベースに魔力で刀身を伸ばしている。

漆黒の濃密な魔力だ。制御も完全に出来ているようだ。


そのまま呆気なく一刀両断にする。


(この位の敵じゃ相手にならないか…。)


リサを褒めて、4層の敵は私が瞬殺した。

火魔法を試してみたが威力が強過ぎて塔にまで被害が出てしまった。


「特殊フィールドでは普通、構造物に干渉出来ないのですが…。」


セバスが驚いているが、壊した事は内緒にする様に頼んでおいた。



最後の5層に来るとヒュドラが待ち構えているのが見える。

ヒュドラと言っても塔に居るのはかなり弱い個体だ。


「誰かやりたい人いる?」


「ボクがやります!ボクが!」

「ワタシが瞬殺してあげるわよ!」


アリスとティニーが揃って手を上げる。

リサを見ると、「御心のままに。」といつもの台詞を言ってくる。


「じゃあ二人にお願いするよ。」


言いながら二人に補助魔法をかける。

敵の攻撃力だけは強いから保険みたいなものだ。


嬉しそうに返事をしたと思ったら、二人の姿が掻き消える。

ティニーの掌底でヒュドラの巨体が吹き飛び、そのまま着地する前にアリスが首をはねる。


アリスが喜びの表情を浮かべているので注意しておく。


「アリス!まだ終わって無いぞ!」


その言葉と同時に敵が尻尾を振り払い、アリスを吹き飛ばす。

何とか防御は間に合ったみたいだな…。


「やったわね!?」


敵の反撃にティニーが怒り、聖魔法を込めた掌底を突き放つ。

今度は吹き飛ばなかったが、体が光ってから消滅していく。


「調子に乗るからよ!」


ティニーが髪をかきあげてアリスの所へ向かう。

怪我は無いようで二人ですぐに戻って来た。


「ごめんなさい…。」


アリスが涙目で謝ってくるが、頭を撫でて慰めておく。

意外とドジっ子なので凡ミスに注意した方が良さそうだ。


宝箱からは劣化したエリクサーが出て来た。3層と4層は解毒薬とハイポーションだ。


「強い敵は居ませんでしたね。」


アリスを撫でながらリサが声をかけてくる。反対からはティニーもアリスを撫でていた。

中々のマスコットぶりだ。


「そうだな。他に何か無いか調べてみようか。」


各自5層を見て回る。

5層は中央の広間の他に研究室や私室が何部屋か有り、一人になるにはちょうど良い。


皆とうまく別れ、研究所のギミックを作動させる。

簡単な仕掛けだったのですぐに分かった。


(ここで得たアイテムを全て捨てる、か。確かに冒険者には難しいかもな。)


他にもギミック自体が現れる条件がいくつか有る。

長い間解かれないだけあって、知らなければ絶対分からない方法だ。


少し経つと塔自体が軋む音がする。


「ディノス様!?」


広場の方で皆が呼ぶ声がする。すぐ行かなくては。


「下の方で音がするな。」


平然を装って発言する。

ティニーが「ん?」って顔をしているが、何かおかしい事を言っただろうか…。


「ともかく行ってみよう。」


とは言え押し通すしか無いと思い、急いで1層に降りる。


「これは…。」


1層に降りるとセバスが驚いている。

広場の中央に地下への階段が現れているからだ。


「隠し通路、かな?リサ、先導してくれ。」


逸る気持ちを抑えて一つ一つこなして行く。

ようやく会えると思うと感無量だ。



地下には真っ暗な空間が広がっており、下まで降りきると明かりがついた。

そして広場の中央には氷漬けの美女が圧倒的な存在感を放っていた。


まさかの展開に皆は驚いているようだ。


紫色の長髪を三つ編みのように束ねており、古代ギリシャの女神のような布をまとっている。

目を瞑ってはいるものの、神々しさすら感じる美貌だ。何よりものその…。


「スイカですか…。」


アリスが半目で呟く。

あの可愛いマスコットがやさぐれているような雰囲気を出している。


「これは……私以上ですね…。」


「グヌヌ…。ワタシだって成長してるんだからね!?」


皆の視線が一点に集中している。

ティニー、聞いてないから私を指差して変な事を言わないで欲しい…。


「……賢者の塔で氷漬けの美女、ですか。」


セバスが呆れたように私を見てくるが、何故私が呆れられているんだろうか…。


「そうみたいだな…。ティニー、解放できるか?」


深く突っ込んではいけないと思い、ティニーに仕事を頼む。

これで念願の3強が勢揃いだ。


「これは…、ワタシにはちょっと無理そう……。」


だがしかし、ティニーからの思ってもみない返答に固まってしまうのだった。

平日は20時頃投稿します。


誤字脱字報告ありがとうございます。


面白ければブックマーク、評価お願いします。


第二章初めに『人物紹介』の話を挿し込む為に1話ずつずらします。

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