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時の眠り

ーーーディノス視点ーーー



「どう言う事!?何で黙ってたの!?何故あの呪いからは神の力を感じるの!!?」


ティニーが詰め寄って来る。

彼女からすれば神は信じるべき対象だ。

混乱するのも仕方ないだろう。


「落ち着け。あの呪いは『時の眠り』と言う、時魔法による封印だ。」


ティニーなら気付くと思っていた。

出来れば近づけたく無かったが、それが不可能というのも分かっていた。


「時の眠り……?時魔法……?神話の世界です、ぞ……。」


セバスが言葉を繋ぐ。段々と掠れていき最後の言葉は殆ど聞き取れなかった。

時魔法、お伽話の魔法であり、使える者は神々かそれに近い存在のみだ。

ゲームの設定を元にするならば邪神がかけた可能性が最も高いのだ。


この世界において邪神は最大のタブーだ。

時魔法の事を話すと色々とややこしくなるので、出来れば黙っていたかった。


もっと詳しく!とティニーが目で訴えている。

仕方なく話を続ける。


「母上を狙う可能性が有るとすれば邪神だろうな。」


「邪神!?」


ティニーが大声を上げる。リサやアリスも驚いてるようだ。


「お、お待ち下さい!何故邪神が出てくるのですか?!そもそも何故時魔法だと分かったのですか!?」


セバスが待ったをかけてくる。

誰も分からない時魔法を知ってるとなれば疑問に思うのは当然か。

正直ゲーム知識による所が大きいから説明が難しいんだが…。


「時魔法というのは推測だ。私が母上の魔力を操作しようとした所、眠っている母上の存在自体が感じられなかった。この世界から切り離されていると考え、古文書を漁ったのだ。」


時の眠りという言葉自体はお伽話にも登場する。


「邪神と言ったのは単に消去法だ。母上が善神の怒りを買うなど考えられんからな。」


「確かに…しかし、それでは…あの闇はまさか…。」


セバスが気になる事を呟いたので聞いてみると、私が生まれる際に屋敷が闇に包まれていたらしい。


(やはり、この世界でも生贄に捧げようとしたのか…。)


その話を聞いて確信してしまった。

恐らくはゲーム世界と同じように生贄の儀式は執り行われたのだろう。

しかし何らかの奇跡が起こって私たちは助かったのだ。


「もしかしたらヌルドは邪神を召喚しようとしていたのかもな。」


核心をついてみる

セバスの前で言うのは少し危険だが、契約魔法も有るし大丈夫だろう。


「まさか!当主ヌルド様が!?いくら力を信奉しているとは言え、とても狂信者とは言えませんぞ!?」


邪神を召喚すれば世界は滅びる。

この世界の常識だし、召喚しようとしているのは一部の狂信者だけだ。


「戦いたいんじゃないか?邪神と。」


私の言葉に皆が黙り込む。

可能性は有ると思っているのだろう。

実際ゲーム世界ではこの理由だった。


最も勝てるとも思っておらず、生涯最後の相手に最強を求めただけらしい。

後の事も何も考えず、ただ欲望のままに生きる。

本当に迷惑な人間だ。


「有り得そうね!」


ティニーが大声で叫ぶが、顔は真っ青だ。

リサは震えるアリスを抱きしめている。


決して止められない存在が世界を終わらそうとしているのだ。

死刑宣告を受けるのに近いかも知れない。


「す、すぐに王家へ…!……ッウ!」


王家へと連絡しようとした所、契約魔法の制約にかかりうずくまる。

私がこの展開まで読んでいたと気付いたのだろう、何故と言う顔でこちらを見てくる。


「力押しで止めようとしても強制召喚されるだけだぞ。10年前に殆どの準備は終えてる筈だ。」


ヌルドは完全な状態の邪神と戦いたいからこれほど時間をかけてるのだ。

自らが攻められれば面倒になって適当な召喚をするかも知れない。


と言うか、実際にゲームのバッドエンドの幾つかはソレだ。

例え不完全な復活でも王国を滅ぼすのは容易い。

後は邪神召喚に失敗しても近隣諸国に王国が滅ぼされたり、逆に長男アイズが大帝国を築いたりと散々な結果だ。


「そんな……。」


「ディノス様。ディノス様には何かお考えが有るのでは無いでしょうか?」


セバスが落ち込んでると、アリスを落ち着けたリサが声をかけて来た。

流石に長い付き合いだから分かるようだ。


「ああ、話は単純だ。結局はヌルドが満足する相手が居れば良いだけだ。」


私の言葉に皆が呆然とする。いや、リサだけは微笑んでいるようだ。


「同じ血族と戦っても満たされないと聞いた事が有りますが…マイハ様の血を引くディノス様ならあるいは…。」


「挑まれれば絶対にヌルドは受ける。最悪の場合は戦ってる間に儀式に必要な物を奪うだけでも良いんだ。」


セバスの呟きに返す。

邪神の復活さえ防ぐ事が出来れば後は逃げても良いのだ。

逃げる事自体が至難の技になるだろうが、倒すよりは断然楽だ。


「ディノス様の御心のままに。」

「ボクも早く強くなってお助けします!」

「そうと決まれば特訓ね!!」


皆の元気が戻る。

早速訓練場に向かうティニーを引き止めた。


「時の眠りについても話しておくよ。」


そう言って簡単な自論を展開する。

時魔法なら時魔法を分かる人物に尋ねれば良いという話だ。


「今すぐは無理だが、将来的には世界樹を目指したいと思っている。」


世界樹で手に入るアイテムによって時の眠りは解呪できる。

管理者のハイエルフは亜神クラスの存在だしちょうど良いだろう。


「ふふふ……世界樹とは…。まるでお伽話の世界に紛れ込んだようです…。」


セバスが少し壊れている。

そう言えば世界樹も伝説の存在だったのを忘れてた。


「よし!ティニーの希望通り訓練に行こうか!」


誤魔化すように大声で告げる。

体を動かせば細かい事は忘れるだろう。


訓練場に行くとツァンが居た。

以前の暴走の後に矯正を終えたようで最近は大人しい。

そう言えばティニーが来てからは初めて会うのかも知れない。


「へぇ!貴方!中々の筋肉してるわね!」


「ほう!私の筋肉が分かるとは!娘!中々の目を持っているな!」


ティニーがツァンを見つけると目を輝かせて近づいて行った。

脳筋娘という設定だが、筋肉自体に興味が有るとは…。


「ワタシも鍛えたいのだけど、祖国では禁止されてたのよね。少し教えてくれないかしら!」


話しながらティニーがポーズを決めている。

筋肉を強調するような格好だが、ティニーがやる分には可愛いものだ。


(これは…マズい。すぐに止めないと。)


新たなマッチョ誕生の予感に背筋が寒くなり、急いでティニーの元へと駆け寄る。


「リサ、アリス!二人も手伝って!」


「「はい!」」


二人の協力を得て何とか最悪の事態は避けられたようだ。

ツァンは一人になっても筋肉と叫んでいた所、セバスに連れて行かれてしまった。

流石に哀れなので後で助けに行くつもりだ。


ティニーには過剰な筋肉をつけないように注意して、何とか事なきを得るのだった。

19話から21話の話について。

若干の憂鬱展開が有りますので、嫌いな方は21話から読んで下さい。

簡単な粗筋も置いておきます。


誤字脱字報告ありがとうございます。


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