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アリスの悩み 01

ーーーアリス視点ーーー



「父上!アリスを聖女様の二の舞にするおつもりですか?!」


「違うと言っているだろう!そのマイハ様からの願いなのだぞ!!」


今日も父上と兄上の言い争う声が聞こえる。

少し前に綺麗な手紙が届いてから、オウチはずっと変な感じだ。

手紙を受け取った時は皆悲しんでいたけど、少し経ったら父上と母上はいつもの様子に戻ったみたい。

兄上だけはずっと悲しそうにしていた。


「我がニムド家はマイハ様には多大なる恩義がある!あの方は信頼に値するお方だ!」


ニムドの家名は外では使っちゃいけないと言われている言葉。

父上達はその内使えるようになると笑っていたのを思い出す。


「聖女様は呪いに侵されていると聞きます!あの公爵家の呪いですぞ!?」


「もはや決まった事だ!!」


父上が大声で叫んだ。そろそろお話が終わりそうだ。

ベットから抜け出していたのがバレたら叱られる!急いで部屋に戻らないと!


(公爵様の所に行くのかなぁ…。)


布団の中でぼんやりと考える。

兄上は悪い人達だと言っていた。

父上は信頼できる人だと言っていた。

どちらを信じれば良いか分からず、モヤモヤした気持ちのまま眠りに就く。



「悪い魔王は倒したぞー!」


次の日、近所の子達とチャンバラごっこをして遊ぶ。

母上はもっとおしとやかにしなさいと言うけど、父上達は喜んでいる。

ニムド家復興の為には女子供も強くなくてはダメなのだ!


「アリス様ー。もうちょっと手加減してくれよー。」


ボクより二歳上の子が声をかけて来る。

この子の家はニムド家が没落してからも忠義を尽くしてくれる大切な家臣だ!

ボクがしっかりと鍛えてあげなくては!


「うん!次はもうちょっと優しくしてあげるよ!」


そう言って早速次の勇者ごっこを始める。

皆大声を出しているけどそんなに嬉しかったのかな?


限界まで遊んで家に帰ると、父上から話が有ると呼ばれた。

兄上は顔にアザを作っているし、また喧嘩したのかな…。


「アリス、お前はディノス様に仕える事が決まった。」


父上のお話は少し難しい言葉があったけど、何とか理解出来た!

ボクは公爵様の家に仕えるのでは無く、聖女様の息子のディノス様に仕えるんだって!


(ボクと同い年かー。どんな子だろう?)


「聞いているか?アリス、絶対にマイハ様とディノス様以外に気を許してはいかんからな。」


ディノス様の事を考えていると、父上が真剣な顔で言ってきた。

怒られるのかと思って驚いてしまった…。


「分かりました!」


「父上!せめて見送りには私が!」


精一杯返事をすると、兄上が突然大声で話し始めた。

折角ボクが褒められる所だったのに…。


「ならん!お前が行っても無駄死にするだけだ。」


「公爵家の方々とは事を構えません!」


「はぁ……。あの街はAランク以上の猛者どもがあふれている…。法を守っている人間も少ない。正義感の強いお前では必ず揉めるだろう。」


父上の言葉に兄上が驚いている。

悪い子なのに捕まらないのかな?


「アリス、マイハ様の提示してくれた厚遇は破格のものだ。公爵家子息と同等の教育、従士としての専門教育、更にアリスが望めばいつでも従士見習いを辞めて良いと言う…。」


美味しい料理とふかふかのお布団、広いお風呂も有るんだって!

凄い凄い!


「そのまま仕える事を望むなら、ディノス様が成人した後は士爵待遇で迎えるとの事だ。ただ、この場合は戦場を駆け回る可能性が有るから強制はしないとも仰っていた。」


「そこまで…?父上、条件が良すぎでは無いですか?」


「何度も言ってただろう!それだけマイハ様はアリスを気遣ってくれてるのだ!」


「父上!ディノス様は良い子なのですか!?」


もう一回聞いてみる。

良い子なら迷う事なんて無い!


「ああ、私も確認しに行くが、マイハ様が保証してくれている。絶対に良い子だ。」


「はい!なら行きます!!」


今度はちゃんと褒めて貰えた!

嬉しい気持ちでぐっすり眠れそう!



「アリス様!頑張って下さい!!」

「お兄様は私たちが支えますから安心して下さい!」


出発の日、家臣の子達が見送ってくれる。

初めて乗る豪華な馬車から手を振ってお別れを告げる。

寂しいけど頑張らないと!


折角の旅立ちなのに、兄上は駄々をこねて父上に気絶させられてしまった。

もうお別れを済ませたとは言え、ちゃんとお見送りして欲しかったな。


「では、向かいましょうか。御者は私が担当します。」


大きな体の人が馬車を動かしてくれるみたい。

ツァンさん?って言うらしいけど、元気な方だ。


初めて家の外で眠るけど、驚きの連続!

座り心地の良い馬車の椅子、豪華な食事、ふかふかの寝袋、魔物が現れてもツァンさんが簡単に倒していた!


ディノス様達の居る街にはあっという間について、大きな通りを進んでいく。

ゴミ一つ落ちてない綺麗な道だけど、何か怖い…。


父上にしがみ付いてなんとかやり過ごした。

終わってみると恥ずかしい事をしてしまった気がするけど、父上もボクと離れるのが寂しいと思うし、ちょうど良かったかな!


「ようこそいらっしゃいました。マイハ様はお眠りですので、私から色々と説明致します。」


白髪の執事の人が色々お話をしてくれる。

何でもディノス様の誕生日が近いので、マイハ様が目を覚ました時にお祝いをするんだって!

しかも!そこでボクを紹介してくれるって!

凄いロマンチック!お誕生会なんて5歳の時以来!


「マイハ様のご容態は…。」


「お身体は健康です。ですが呪いの方は…。」


父上が難しい顔をしている。

マイハ様は悪い魔王によって呪いをかけられてしまったみたい…。

凄い悲しいから、精一杯ディノス様を支えないといけないんだ。


ディノス様には内緒なので他の家人の人達と挨拶をしていく。

使用人の方以外は教育係の人ばかりみたいで、ボクが教わる方々だと思って緊張しちゃった。


「貴方がアリスですね。新しくディノス様の付き人になると言う…。」


最後に凄い綺麗なお姉さんに挨拶をする。

黒い髪に黒い瞳、まるで伝説の勇者様みたいな方だ!


「はい!アリスです!」


元気よく返事をする。


「元気が良いのは素晴らしいですね。ディノス様の為にお互い頑張りましょう。」


「はい!」


リサさんからも褒められた!

頭を撫でて飴をくれる女神のような女性だ!


父上が頭を押さえているけど、熱があるのかな?

明日は13時、19時、22時頃に投稿します。


誤字脱字報告ありがとうございます。


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