表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/108

村人

 (しん)の巫女は、元々人間じゃったんじゃよ。ただの村娘じゃったんじゃ。

 じゃが、人のために動くことが大好きな。健気な少女じゃった。


 人をしっかりと見ており、村の人達と沢山話し。楽しく日々を過ごしていた。本当に、心優しく可愛い娘じゃったよ。


 じゃが、村が大好きな娘は、忽然と姿を消した。

 最後に見たのは笑顔で村の外へと出る姿。いつものように、畑に野菜を取りに行く。そう言い残し、そのまま姿を消したんじゃ。


 村の人達は探した。村の中や外。隅々まで。それでも、見つけることが出来んかった。

 数ヶ月、探し続けた村人は、諦め始めていたんじゃ。


 もう、戻っては来ない。もう、忘れよう。

 そう、思っていたんじゃが、村の子供達は大泣き。

 色んな人の心に、傷を付けてしまった村娘。


 娘が居なくなって二年の月日が経ったある日。なぜか、村人の前に突然姿を現したんじゃ。


 服はいなくなってしまった日のまま。髪は少し伸びており、胸あたりだった黒髪が腰までになっておった。

 肌には土などがついていたが、怪我などはない。

 地面に仰向けで倒れ込み、気を失っていたのを村長が見つけ、無事保護したんじゃ。


 娘を見つけてから、更に月日が流れた。ずっと眠り続けている娘を心配し、村人が代わる代わる毎日村長の家へと向かっていたのじゃよ。


 そして、娘は目を覚ます。虚ろな瞳を周りへと向け体を起こしたんじゃ。

 看病していた村人は、娘が目覚ましたことにより号泣。抱きしめ、存在を何度も確認していた。


 目を覚まし、体を動かせるようになった娘は、また笑顔を村の人達に送ることができるようになった。じゃが、村人に送ることができるようになったのは、笑顔だけではなかった。


『祈り』


 娘が村人のためにできることが増えたんじゃ。

 両手を胸辺りで組み、目を閉じ祈る。これにより、子供の傷は治り枯渇していた水も雨により潤すことが出来た。

 天気を操り人の傷や不調も治すことが出来る。


 娘は笑顔だけでなく、村人の祈り(願い)も届けることが出来た。

 しかし、その力の代償はとてつもなく大きい。


 使えば使うだけ。祈れば祈るだけ、娘の体は細くなり肌は白くなる。

 どんどん食べ物も喉を通らなくなり、目は虚ろになってきた。それでも、祈ることを辞めない娘。

 村の人達は心配になり止めたんじゃ。何度も、何度も止めたんじゃ。それでも、辞めなかった。そのせいで、娘はとうとう倒れてしまい寝たきりとなる。


 娘は自分の最後を悟ったかのように、付き人に言ったんじゃ。


『私の祈り(願い)が届きますように』


 その言葉を最後に、笑顔を残し娘は──瞳を閉じた。


ここまで読んでいただきありがとうございます

次回も読んでいただけると嬉しいです


出来れば評価などよろしくお願いいたします(*´∇`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ