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1−3 主人公HOが(株)本田技術研究所の入試試験を受験する。ほんの2〜3分でATACのアイデアが

HOは、和歌山県立和歌山工業高校の3年になり、(株)本田技研工業の鈴鹿製作所に行こうと思っていたが、たまたまその年に初めて求人が来た(株)本田技術研究所に応募する事にした。

担任の先生は

担任「そんな所受けて受かるのか?

そこは、初めてこの学校に求人が来たのだぞ。」

HO「製作所よりも研究所に行きたいので、、まぁ成るように成るでしょう。」

と答えた。

結局、その年、和歌山県立和歌山工業高校からは、HOしか(株)本田技術研究所には応募しなかった。

書類選考が有ったのか無かったのか、入社試験の日時とかが送られてきた。



入社試験は、埼玉県和光市に有る当時の和光研究所で行われた、食堂で試験(書類テスト・多分出来合い)を受けた後に順番で小会議室で面接を受けた、面接官は二人で一人は事務屋ぽくてもうひとりは技術屋さんぽかった、通常の質疑応答の後に志望動機を聞かれた。

HO「単車が好きなので単車の設計、具体的に言うと長い事あまり発展していない足回りの設計がしたいです。

また、ホンダを選んだ理由はいくつか有る単車の会社のうち一番新しくて、また実力主義を標榜していてなおかつ、かの有名な本田宗一郎さんが作った会社だからです。」


技面「なるほど、、設計というのは難しい仕事ですが、どうして工業高校しか出てない君に設計が出来ると思いましたか?」


HO「ちょっと待って欲しいのですが、工業高校出は、アホウやと思ってらっしゃるのですか?」


技面「言い方が悪かったかもしれませんがこの会社には大学や高専を出た人間がほとんどですよ。」



HO「すいません、僕は学歴で実力が決まると思っていないので、、、

工業高校でも、例えば僕は機械科ですが、3年間の間ずっと、週の半分は機械の専門知識、、、

実際の加工方法とかを学んで、残りがいわゆる5教科でした、、、

だから、機械系の加工方法や材料・強度・機構・設計方法を、、、

高専出や大学出様よりはちょい落ちかも、知れませんが学んで来ています。

もちろん、たった3年間で詰め込んでいるので、、、

僕の学校では、

数学教師『この学校では、数学が普通高校と比べて途中までや、これはお前ら覚えておけよ。』

とか言われたのは覚えています。

ちなみに面接官さんは大学出ですか?」


技面「そんな事関係ありますか?」


HO「いえ、面接官さんに工業高校出は、アホウやと言われたので、面接官さんと対して変わらんぐらいの能力が有る所を見せたいのです、で、どの学歴でしょうか?」


技面「高専卒ですが、、。」


HO「どの専門でしょうか?」


技面「専門って何でしょうか?」


HO「高専だったら、機械科や電気科とか有りますよねそれを教えて頂けますか?」


技面「電気科です。」


HO「そうですか電気科ですか、、機械科なら機械関係の知識とか比べられると思ったのですが、、、」


技面「それよりも、君は立場を解っていますか?私達は、面接官で君は面接を受けている立場ですよね?」


HO「もちろん解っていますが、僕は、ゴマすりやご機嫌取りとかを排除して生きている者で、、学歴こそが実力を表していると勘違いしている人にはぜひ、その考え方を変えて頂かないと思いまして、また、ホンダは実力主義を標榜している会社でしょう?

そこで、面接官をやってらっしゃる限りこの会社でそれなりの立場が付いているはずですよね?」


技面「それはそうですが、、、。」


HO「僕がたまたま運が悪くて、実力と学歴を履き違えているような面接官に当たってしまったのかなと、、、面接官様がムカッときているのと同じ様に僕もムカッと来ています。

僕としては学歴=実力と思っているような面接官さんを変えて頂きたいですが、どうでしょうか?」


技面「よくそこまで言えますね、、、。」


HO「僕としては何一つおかしいことは言っているつもりは無いのですが、、、。

僕の様な、ゴマすりやご機嫌取りを排除している人間がホンダという会社の社風とか似合わないのなら、さっさと落とせば良いですやん。」


技面「それで良いのですか?」


HO「実力主義やと標榜している会社の実態がそんな物ならしかたないですね、、、。

帰ったら、ホンダって本当は実力主義のじの字もない会社やったって言って腹立てとけば良いだけの話ですからね。」


技面「そこまで言うのなら、実力が有る所を見せて下さい。

有るのならばね?」


HO「はい、なんか好きな単車に関わる、役に立ちそうなアイデアを出せば良いですか?」


技面「出せるのならばね、、、そんな事出来るの思いませんが。」


HO「はい、2〜3分時間を下さい。」

面接官は時間を待たずに続けた。

技面「、、、出来ないでしょう、どうするのですか?」


HO「2から3分黙って置いて下さい。」

HOは面接官を遮って一生懸命考えた。

技面「、、、、」


HO「こんなのはどうですか、、、4ストのエンジンと違って、2ストのエンジンって排気管の膨張係数が」エンジンの性格に影響を与えますよね?」


技面「そうなんですか、私はさっきも言った様に電気屋なのでちょっと解ら無いです。」


HO「まぁ、解る様に説明出来るかも知れませんので、聞いてて下さい。」


技面「解った。」


HO「2ストのエンジンの場合、シリンダーの中で爆発してそれがピストンを押し下げてピストンが下がり切る途中で排気側と吸気側とが開いて燃えたガスを混合気が追い出す様に動きます、排気側バルブから、出すぎてしまった混合気をシリンダーに押し戻す様なタイミングで燃えたガスが途中で速度が遅くなると一番効率が良いわけです。

その効率がいい排気側の形(膨張率)というのはそのエンジンの回転数毎にある程度決まる訳ですね。

ここまでは良いですか?」


技面「燃えたガスが途中で遅くなるとかの所が解らないよ。」


HO「太さが一定のホースを考えて下さい、そこにポンと一瞬の空気が入ったとすると出口まで一定の速度になります、

しかし、途中でホースの太さが太くなるとその太くなり方に合わして速度が遅くなりますよね。

ここまでは良いですか?」


技面「まぁまぁ。」


HO「だから、2ストの排気管は途中で太くなったりしているのです。

でも、その太くなり方は特定のエンジン回転数域に合わせているので違う回転数域では、あんまり効率が良くないわけです、それで、ここからがアイデアの本質ですが、その排気管の途中に小部屋を作ってその小部屋の入口に一定の回転数以上だと閉じるバルブを付ければ、高回転時にも、低回転時もそこそこの性能を出すことが出来ますよね。

ここまでは良いですか?」


技面「そのバルブはどうやって動かすのだ?」


HO「フルメカなら、遠心クラッチとかの様に一定回転数で遠心力を利用する、電気を利用するならエンジン回転数に合わせて電磁バルブとかにすればよいだけでしょう。

なにか問題ですか?」


技面「その小部屋の大きさとかはどうやって決めるのだ?」


HO「そんな事トライアンドエラーとかでやれば良いだけでしょう?

それか、もしこの公式を解けば解ると言うのなら誰かに解いてもらえば良いだけでしょうが。」


技面「その計算をすることが大事だろうが。」


HO「そんな計算ごときは、得意なヤツにやって貰えば良いだけですよね?

僕は、計算が得意なヤツに計算をしてもらえば良いとしか思ってませんが、それよりもこういったアイデアを出す事が一番大事だと思っています。

そんな風に、取っ掛かりに成るアイデアを出してそのアイデア通りに動くのか確認をしながら進む、これが研究や開発ではないのですか?

で、ちなみにこれを

ATAC

A:オートマティック

T:トルク

A:アンプ(増幅)

C:チャンパー(排気経路)

とかの名前をつけてモトクロッサーにで゛も乗せれば値打ちあると思いませんか。

もちろん、僕は英語を上手に使えませんので、、、

トルクの名詞系とかの具体的な名前(綴り)は判りませんが。

増幅は、アンプでは、無くてアンプフーリャとかでしたっけ?

まちがっていたら、、登録や公開する前に直して下さいな。」


技面「なんでモトクロッサーなんだ?」


HO「モトクロッサーが一番中低速や高速全域を使うからです、ロードなら高速だけあれば良いし、トライアルなら低速重視でしょう。」


技面「それはそうかもな、、、。」


HO「すっごいづぼらな言い方すると、これで僕の能力を見せられたと思いますが?

どうでしょう、学歴=実力ですか、、、僕は高専出の面接官さんより実力が無いですか?」


技面「でもな、それって前から考えてあったのと違うのか?」


HO「そんな事言うのなら、今から、何でも考えないと答えが出せない質問してくださいよ。

分野は何でも良いですよ、でも、プロ野球の打順みたいな事を聞かれても知りませんよ、

どうぞ、何でも記憶ではなくて考えないと駄目な問題を出して下さい。

数学とかの単純な問題ではなくてもっと高度な問題を、

これで、面接官さんとの能力差をはっきり出来ると思いますよ。」


技面「それをすると、わしが君に負けるということになるんだな?

だったら、質問しない、わしには損しか無いからな。」


HO「ホンダって会社は、実力主義なのですか?

たまたま質の低い面接官に当たっただけでしょうか?

事務屋の面接官さん、なんとかして頂けませんか?」


技面「、、、、。」

事面「、、、、。」


HO「もう、面接終わってもらえませんか?

時間の無駄でしょう、、、。」


技面「、、、。」


HOは、小会議室を出て、食堂にいる別の事務屋さんらしき人に頼んでみた。

HO「面接官の質が悪過ぎて次に進まんのでなんとかして下さい。」

その事務屋さんは、HOがいた小会議室に確認に行きこう言った。

偉事「まだ面接、終わって無いと言ってるけれど、、、。」

HO「僕としては、あの技術屋の面接官と話することはもう無いです。」

HOは、埒が明かないので、技術屋の面接官を連れてきて、

HO「どんな分野の問題でも良いから、質問をして下さいな。」

技面「、、、。」

別の事務屋さんが言った。

偉事「技術屋の面接官が怒っているから、、、。」

HO「そうしたら、僕が土下座でもしておきますよ。」

と、HOは土下座をした。

そうすると、同じ受験している奴らが

受験者「何なんだ、前なんでそんな事しているのだ。」

とかの、助け舟の様な事してくれる奴らが居たけれど、

HO「これは、わしの個人的な事なので、、、

黙ってみておいてくれ。」

と、説明してから、、、

HO「試験と面接は受けました、工業高校出はアホウやと言われたので、実力の有る所を見せましたよ、単にそこの技術屋の面接官が、プライドだけが高くてそれに見合う実力が無いだけの話で、実力主義を標榜しているホンダがゴマすりやご機嫌取りだけで過ごしている社員だけで成り立っているのは、解ってしまったので後は、僕の合否ははホンダっていう会社が決める事ですので、お好きにどうぞ。

但し、正式な合否の書類だけはちゃんと送ってくださいね。

よろしくおねがいします。」


HOは、帰った。

プンプン、怒りながら新幹線に乗って帰った。


2週間経っても合否が送られて来ないので高校の先生がどうなったのかと、確認してきた。

HOは仕方が無いので(株)本田技術研究所に電話して確認した。

HO「合否の正式な書類を送って下さいね、学校にも報告しないと駄目なので、、、

落ちたのなら次の受験先を先生に探してもらわないと、、、なので

よろしくおねがいします。」


3〜4日後、合格通知が来た、、、、HOはびっくりしたが安堵はした、、、

HO「次の受験先は探さなくて良いや。」

ちなみに後で解ったことだが、

昭和57(1982)年11月15日にATAC機構付きのホンダMTX125Rが発売されている。

昭和58(1983)年10月01日にATAC機構付きのCR125R/250Rが発売されている。

余談であるが、HOはこのアイデアに対して何の対価(たったの500円玉一つも)も本田技術研究所から頂いていない。


HOは、入社する為に昭和56(1981)年3月末頃に和光研究所に集合した、、、

そこには、たくさんの多分同期の奴らが居た、、、

そのなかに、目立つ奴が居た、お母さんと来ていてお母さんが涙ぐんでいた。

HOは、気になったので話しかけた。

HO「お母さんが泣いてるね、、、。」

そいつは、恥ずかしそうにうなずいた。

その後、そいつは、話し掛けてきた。

同期「すいません、あなたは研究所入社ですか?」

HO「はい、そうですが何か?」

同期「僕は浜松製作所を受験したのに此処研究所に配属されてしまいました、、、。」

HO「なるほど、それはきっと優秀だと判断されてこっちに配属されたのだろうね。」

同期「優秀かどうかは、、、

それよりも、僕は浜松に住みたかったので、、」

HO「あっ実家に居てたかったの?」

同期「うん」

HO「ありゃりゃ、、、。

そうなんだ、、、。

僕が言うてみようか、、、、役に立つとは思わないけれど、、、。」


HOは、事務屋さんに聞いてみた。

HO「この子が浜松製作所に入りたかったのに、研究所に配属されたってどうなってるのでしょうか?

もう間に合いませんか?」


事務屋さんに怒られた。

事屋「お前には、関係ないやろう。」


HO「それはそうですが、知ってしまったので、おせっかいついでに、、、。」


事屋「もう変えられないぞ、」


HO「そうなんですか、、、

この会社の人事って連中は、働く場所が全然変わってしまう時に本人の意志確認しないのですか?」


事屋「なんでしないと駄目なのだ?」


HO「仮に、僕が鈴鹿製作所を受験して研究所に配属されたら、喜ぶでしょうが、、、

例えば、実家に田畑とか有って休みの日には農作業したいとかって人もいるでしょう。

そういう人にとって、実家から通えない研究所に配属されたら、、、辞めちまう確率が高いでしょう。

浜松製作所に配属されたら、機嫌よく定年まで働いて呉れてたのかも知れんのに、、、。

本人の意志確認なんて、たった電話一本で済むでしょう?

浜松が悪いのか、研究所が悪いのか、、、。

僕には判りませんが?」


事屋「ここはそういう会社なんだ。」


HO「少なくとも、この会社の事務屋は、腐ってますね。」

HOの意識の中に事務屋も腐っていると刷り込まれてしまった。


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