第九十三話 とりあえず増築完了!! 寝室に繋がる廊下をそのまま壁ぶち抜いて延長!! サウナ室付きの浴室セット~!!
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楽しんでいただければ幸いです。
家に戻った俺はさっそく浴室の増築作業に入った訳なんだが……。
家に帰って寿買を脳内に表示させた瞬間、お勧め商品の数が凄い事になっていた。
【自宅がまるでスーパー銭湯、浴室三点セットがお得!!】
これは普通の湯船とサウナと水風呂がセットになってるらしいけど、ヴィルナが間違って水風呂に入ったら浴室を叩き壊されそうだしな……。
夏場は水風呂もいいけど、流石にこれから冬だしね。
【自宅で温泉気分!! 十種類の温泉を再現可能な魔石セット!! 特殊浴槽付き!!】
これは面白そうだなって思ったけど、増築分の面積が自宅の倍以上ってどうなんだ? 風呂の方がでかい家なんて却下に決まってるだろ!! 風呂屋始める訳じゃないんだぞ!!
【豪華なキッチンもありますし、温泉宿に改装しては? 母屋の改築も可能です】
大却下!! こいつ、俺の家をなんだと思ってやがるんだ? 確かに、幾らでも客は来るだろうけどな。温泉も魅力的だけど日持ちしない料理やデザートが山ほどあるし。
いろいろ検討した結果、下水不要の浴室を増築する事にした。以前ヴィルナにあげた洗濯機と同じようなシステムらしい。異世界の技術ってほんと凄いよな……。って、ここもその異世界だよ!!
「とりあえず増築完了!! 寝室に繋がる廊下をそのまま壁ぶち抜いて延長!! サウナ室付きの浴室セット~!!」
「おおおっ!! 凄いのじゃ!! これで白うさぎ亭や大衆浴場まで行かなくてもいいのじゃ」
「あっちはあっちで雰囲気とかがいいんだけどね。銭湯とかって特別感あるし」
温泉とかもそうだけど、家風呂とは違ってなんとなくテンションが上がったりするしね。この世界に来てからは白うさぎ亭の風呂がほとんど家風呂みたいなものだった気はするけど。
「掃除とかはどうするのじゃ?」
「誰も入らない時間にこのボタンを押すと、オートで掃除してくれるらしい。オーバーテクノロジーというか、相変わらず恐ろしい技術だよ」
「便利なのはいい事なのじゃ。これでこの冬は家から出なくていいのじゃ」
「本気で家から出ないつもりか? たまには外に出るのもいいと思うんだけどな」
「聖魔族は元々寒さに弱いのじゃ!! 元々聖域の結界内で過ごすことが多い種族じゃし、外部の環境に適応しておらぬのじゃ」
種族特性を持ち出されると確認しようがないな。
そういう理由だったら仕方がないのか?
「でも、緊急とかの依頼は受けるからな」
「分かったのじゃ♪」
本当に分かってるのか? というか、ヴィルナって時々猫っぽいというか子供っぽい一面があるんだよな。
……色々考えるとヤバくなる可能性もあるし、この問題は考えない様にしよう。
「それじゃあ俺はアイテムボックスでいろいろ確認する事があるからしばらく自室に籠るぞ」
「おやつ……」
「ロールケーキとイチゴのショートケーキを渡しておくよ。これでいいか?」
「ありがとうなのじゃ!!」
よく今まで生きて来れたな……。というか、俺と出会った時にあれだけ痩せてたのも納得だ。
ただ、ヴィルナがいなかったら先日の聖域の構築も禍々しい魔素の浄化もできなかった訳で、この辺りがヤバい状態になってたのも間違いないんだよね。
◇◇◇
さて、この際だから確認したいことがいろいろあるんだよな。
さっき増築時に確認した時、残高に異常な数字が表示されてたんだけど、俺がチャージした以上の金額だったよな?
【余剰分の在庫を売却した事による利益です。許可は以前いただきました】
ほほう、余剰在庫で百億以上売上を上げたって言いたいのかな?
昨日はまだ普通の数値だったから、僅か一日の売り上げだろ?
【一日の売り上げというよりは、この世界基準時間で昨日から余剰在庫の販売を開始しました。売り上げが加算されたのが数時間前になります。プラントの一つを南国仕様に変更し、天然ゴムなどを不足している世界で販売しています。また、珈琲豆などの販売も好調です】
知らないうちに知らない商品が増えてるんだけど? あ、何だこの高級繊維って?
【最高品質の毛をもつ異世界の特殊な羊の飼育や、多彩な色の繭を作る蚕を育てる養蚕等を行っています。また、綿花などの栽培も始めました】
……それであまりに手広くし過ぎて先日のプラントを追加って話になったのか?
肝心の小麦は今でもアイテムボックス内に数千万トンあるし、収納方法もニ十五キロ入りの袋を四十袋詰めた小型コンテナにしてくれてるし、扱いやすいんだけどさ。
【小麦もそろそろ販売したいのですが。十分な在庫は確保できていると思われます】
そんなに売れるのか? というか、俺が売る必要か……。何か秘密があるんだろ? 俺が売らなきゃいけないような。
【異世界への販売は、ワールドリンカー経由で行われています。ワールドリンカーにはすべての世界の商品をお届けできますが、他の世界に販売するにはワールドリンカーのアイテムボックスなどを経由する必要があります】
知らない単語が出てきた。ワールドリンカーってなんだよ。
【世界のハブのような存在です。世界を無計画に繋げると世界崩壊の危険がある為、ワールドリンカーの持つ力を使って異世界の接続を行っています】
なるほど、その一人が俺って訳ね。ついでに俺のプラントで商売始めている感じか。
【おおむねその通りです。この機会にプラントの増設などをお勧めします】
金が増える分には問題ないし、俺が暴走しなきゃ済む話だからいいとして、あとどのくらいプラントが必要なんだ? あれひとつで北海道の半分くらいの面積って話だよな?
【プラントごとでしか環境を変更できませんので、特殊な環境用にもう二つほど用意していただければ……】
南国とか小麦とかに適した気候の他にもいろいろあるんだろうしな。規模はでかいけど温室栽培みたいなものか。
各種植物育成プラントを四つと畜産用育成プラントを二つ追加しておくよ。合計で四千万円だけど、十分すぎる利益が出るし、その農作物とか使って別の世界に供給する必要があるんだろうしな。
【ご理解感謝します】
で、商人ギルドで言ってた無人小惑星の開発権っていくらだ?
【五十億円です】
は?
【無人小惑星の開発権はひとつ五十億円からになります。産出される鉱石類は分かりませんが、高確率で鉄や銀などは産出されると思われます。事前調査では多数の鉱石が確認されました】
ああ、それで余剰在庫を急いで売り始めたのか。それとも、余剰在庫の販売利益がでかかったから、この機会に薦めてきたかのどっちかか?
【長期的には絶対に黒字化します。なお、この小惑星は動物や植物の育成に向きませんので、鉱石などの採取専用となります】
農産物の生産に使えないのは環境の問題なんだろうな。しかし……五十億円か。
でも、これがあればほとんどの物を自給できるようになる。原油というか石油関係の商品は無理だけど、こいつの場合そのうちそのあたりも薦めてくるだろう。
「それも契約。元々の資金はそっちで稼いでくれた額だし、常識の範囲内で運用を任せてもいいんだけど」
【了承しました。常識の範囲内で運用します】
こいつの常識ってのが一番信用できない気がするんだけど、多分ほかの世界で必要な物を俺に代わりに作らせたりしてるんだろう。
世界平和に使ってくれるんだったら、多少の事は目を瞑るよ。
【世界平和の協力ありがとうございます。入荷待ちの商品の探索は急がせております】
入荷待ち商品? 俺が頼んだ本当の特撮系と……、ああ、詳しい名前は忘れたけどエリクサーか何かの材料で世界樹の実か何かか。
大抵のものは揃ってるから、あまり探してもらう商品もないしね。
読んでいただきましてありがとうございます。