第五十五話 さて、昼間勧められたプラントって、どんな機能……
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楽しんでいただければ幸いです。
割と豪華な夕食を終えて白うさぎ亭に戻った後、昼間のプラント機能を少し調べてみる事にした。
「さて、昼間勧められたプラントって、どんな機能……」
【プラントをご利用ですか?】
いや、反応早いって。呟いただけで、呼び出す前に脳内に画面表示するのはどうなのさ。
まあ調べたいこともあるから今回はいいけどね。実際に利用するとしたらどんな感じなのかって事だよな、あまり手を取られるのは困るし。
【プラント機能を使う場合、使用者の負担はありません】
負担はありませんって、そりゃ手間がかかったら誰も手を出さないだろうけど、農作業とかどうするの? ん? これ、鶏や牛なんかの家畜もアリなのか? という事は、家畜の世話なんかもあるんだよな?
【プラントでは人工生命体やオートメーションデバイスによる動植物の育成が行われます。家畜の搾乳や毛刈りなども定期的に行います。また、プラント内は時間の経過が異なる為、収穫量などは今お住いの世界とは異なります】
なるほど……。その乳や毛をファクトリーサービスで加工するって訳か。羊の毛からセーターとかマフラーが作られるって事だな。後は肉とか乳製品……。
問題は加工する手数料だけど。
【ファクトリーサービスの基本料金に加工手数料などが含まれています。指定が無い場合は原材料状態のまま保管されます。お任せいただきますと、様々な商品に加工して保管します。また、生産物を寿買で販売する事も可能です】
ヤバくね?
調合機能が無料だから嫌な予感はしてたけど、本気でこれ使ったらいろんな産業を簡単に潰せるよ? 塩の加工みたいに調合レベルだったらいいけど、製品に加工する機能は流石にヤバいだろ。しかもそれを寿買で売ったりすると、もうかなり危険なレベルにならない?
【※注意:別次元のハイパーテクノロジー系の商品は作成できません。軍事兵器の開発には許可が必要です】
作らねえよ!! 製品レベルがぶっ飛んでるだろ!! というか、軍事兵器も許可があれば作れるのかよ!!
【現在許可されている軍事兵器は、惑星破壊兵器プラネットブラスタークラスまでとなります】
ぜってぇに、作らねえよ!! 俺を何と戦わせるつもり? 普通に暮らしてたら惑星サイズの敵なんていねえよ!! そ・れ・に・惑星破壊兵器プラネットブラスターとやらは、十分にハイパーテクノロジーだ!!
……でも、冷静に考えたら緊急時用に麦とかは育ててた方がいいかもしれないのか。塩の一件もあるし頼みの綱の一つである穀倉地帯がいつまでも無事とは限らない。あそこに魔物が出現する可能性だってゼロじゃないんだ。
制作費用は各種植物育成プラントが種代込みで五百万円、畜産用育成プラントが家畜込みで一千万円か。よし、プラントを六基制作。四基は植物用で二つは畜産用。植物用は完成後に穀物、サトウキビ、木材用の木を栽培……。後はなんにしようかな?
これで何かあっても大量の食料が確保できるぜ。何事もないに越した事は無いけど、備えあればなんとやらだ。食料不足で大飢饉発生とかは絶対に避けたいしな。
【全プラントをリンクさせますか? リンクさせた場合、各プラントで必要な物を生産する事が可能です。また、ファクトリーサービスとリンクさせると、製品作成能力が向上します】
ああ、畜糞から肥料を作ったり、プラントで余剰に生産した農作物なんかを餌にするのか……。
リンクを承認。全プラントをリンクさせてくれ。ファクトリーサービスは四つだけリンク。
【リンク機能を作動させます。同プラント内で育成可能な家畜や作物は統合されました。余剰スペースには最大効率で育成可能な物を配置します。また、ファクトリーサービスとリンクした事で生産能力が向上しました】
なんかまたヤバい機能に足を突っ込んだ気がする……。
もうしばらくお任せでいいだろ、これ。好きにやらせておけばある程度は食料が溜まるだろうしな。育成状況はひと月後くらいに確認すりゃいい。
【お任せ設定を受理しました。余剰在庫の放出、寿買での販売を行います】
これで金貨とかの残高は日本円に換算して約四億……。というか、今回のプラント作成費用も含めてだけど、一億円以上寿買で使ってるのも恐ろしい話だ。金貨や大銀貨の状態でもかなり持ってるけど、そろそろこの世界に銀とか金を還元する為に地銀買って彫刻でも作った方がいいかもしれないな。
【彫刻も調合機能で対応しております。現在の地金と地銀の価格……】
してるのかよ。というか、地金や地銀の値段出すのもはえぇよ!! ……彫刻に加工する手数料は無料なのか。純粋に金や銀の価格なんだな。
「ソウマ、またアイテムボックスの中で何か探しておるのか?」
「ん? ああ、ヴィルナか。ちょっとな」
「料理の材料もある事じゃし、いろいろ詰め込んでおるんじゃな」
「マッアサイアで買った海産物も結構あるぞ。いろいろありすぎて悩むくらいに」
ハマグリのような貝とかはこっちの世界の方が大ぶりで美味しかったんだよな。全部が全部元の世界の方が優れてるって訳でもないし、こっちの世界にしかない食材とかもあるだろうからいろいろ楽しみではあるんだよね。
「ソウマの料理はいろいろ楽しみなのじゃ。手間な物が多いじゃろうから悪いと思ってはおるのじゃが。わらわは食べるだけじゃしな」
「別に気にしてないよ。それに、簡単な料理でも美味しい物は多いぞ。牛バラ肉を塩コショウで炒めて隠し味にウスターソースほんの少し入れるだけでもかなり旨いし、市販の焼き肉のたれで焼いてもいい」
焼き肉のたれで焼いた肉をチシャで巻いたりしてもおいしいし、簡単でも美味しい料理も結構ある。
手間をかけた方が美味しい場合もあるけど、蟹みたいに手間をかけた方がまずくなるんじゃないかって食材もあるしな。
「そう言ってもらえると嬉しいのじゃが。明日は商人ギルドに行くから家の修繕はお預けじゃな」
「白うさぎ亭にわざわざ伝言を頼んでくるくらいだし、塩の件とかいろいろ話し合いたいんだろう。一応いろいろ用意しておくけど」
晩飯を向こうで済ませたから風呂と寝る目的で白うさぎ亭に戻ってきたら、受付でリタから明日商人ギルドに来て欲しいって言われたんだよな。
俺が商人ギルドに塩を売るのは他国との塩の貿易交渉が終わるまでって話だったけど、塩食いの討伐が完了したからその必要もなくなった訳で、そのあたりの確認もしたいんだろう。
「それじゃとあの家に住むのはもう少し先になりそうじゃな」
「みえる部分の修繕はある程度終わったし、明後日から住んでもいいと思うぞ」
割と綺麗に修復できたと思うけど、流石に明日は無理だからな。
一応寝室にベッドなんかは運び込んでるし、生活に必要な物は揃えてるけどね。
「そうすると、あそこを拠点にできるのじゃな!! 風呂をどうするかなのじゃが……」
「ここの風呂を利用するか、大衆浴場だろうな。割と近くにあったし」
片道五分も歩けば割と大きめの大衆浴場があったし、白うさぎ亭からもかなり近い。戻るのが面倒だったらそのままここに泊まってもいいし。
あの借家、内装が少しぼろかったけど立地条件はかなり良かったんだよな……。誰にも借りられずに残ってたのは、絶対にキッチンのデカさだと思う。
「そうじゃな……。では、今日はそのあたりを気にせずに済むという事じゃな」
「昨日までと違ってそこまでホコリまみれじゃないけどね。いや~初日はホントに酷かった、窓全開で大掃除&殺虫剤使用とできる事を全力でしたからな」
「あの殺虫剤とか言うものはやめて欲しいのじゃ。匂いが好かぬのでな」
「流石に住み始めたらあのレベルの奴は使わないよ。虫除けくらいはするけどね」
家の周りに撒くタイプと、吊るしたりする奴な。何度も言うけど、虫と仲良くする気は欠片も無いから。
「さて、話がそれたみたいじゃが、この後なにをするかわかっておってそうしておるのじゃろ?」
「そんな事は無いぞ。なにをしたいのかはわかって……、分かったから、無言で俺をそっちの部屋に引き摺って行こうとするんじゃな……」
うん、抵抗するだけ無駄なのは知ってた。
魔法で強化してるんだろうけど、やっぱりヴィルナの力ってすごいよな~。
……傷薬、たくさん作っといてよかった。
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