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3頁

 平手の音が響き渡り、女が床に倒れた。

「俺のやることに口を出すんじゃねえ!」

 男が、殴り倒した女を睨み下ろす。

「やめてよ、パパ」

 二人の間に、年端としはもいかない少年が割り込んできた。

「うるせえ!」

 逆上した男が、その少年の頬を乱暴に叩いた。少年の軽い体は、たちまち、床に飛ばされた。

「やめて!」

 女が悲鳴をあげ、少年の体に覆いかぶさった。

 すると男は、酒臭い歯をきだしにして、再び腕を振り上げた。

 乾いた音が何度も響く。

「お金は、渡すから……」

 平手の応酬にいながら、女は切れ切れに言った。

「なら、さっさと出せ!」

 最後に男の足が、女の腹を蹴った。あまりの激痛に、女はその場でうずくまり、声を殺しながらうめいた。

 それでも女は何とか立ち上がると、戸棚の奥から数枚の紙幣を取りだし、男に差しだす。

 男はそれを引ったくると、悪態を吐きながら部屋を出ていった。

 やがて女は、力尽きたように床の上に座り込んだ。

「ママ……」

 少年が、不安そうに女の腕に触れた。

「大丈夫よ、パッセ。ママは大丈夫」

 女は悲しげな笑みを浮かべ、赤くなった少年の頬に手を伸ばした。

「パパはね、ちょっと苛々してるだけなの。すぐに元のパパに戻るから、心配しないで」

「ママ……」

 少年は、どんな顔をしていいのか判らなかった。

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