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作者: ゆーき

勇者様ー!勇者様ー!


そんな声援が聞こえる中僕は魔王退治をするために、3人のお供と勇者としての旅を始めた。





なぜ僕が旅に出ることになったのかというと、正直僕にもわからない。

ただの村人Bに過ぎなかった僕の家を突然王の使いが訪ねてきて、これから王城に向かうからさっさと馬車に乗れとだけ言われた。

どういうことかわからなかったけど、逆らえる訳がないので素直にしたがったんだ。

そうしたら、いつのまにか王と直接話すことになっていた。

すごく混乱していたけど、謁見の間という所につれていかれて呆然としていたら、本当に信じがたいことを言われたんだ。


「お前は勇者に選ばれた。よってここに住み、1ヶ月後の旅立ちに備えて訓練を行え。ともに行く人選は此方で強いものを選ぶ。いいな。」


これだけである。

きっと、こんな村人に伝えれることではないのだろう。

だが、もっとちゃんと説明だけはしてもらいたかった。




それからしばらくして、ともに旅に出かける人を紹介するのでまた、謁見の間に来いとのお達しがあった。

そこで、行わされていた訓練を中断し、指定の場まで行くことにした。

そこに待っていたのは王と、件のメンバーと思われる3人だった。


「紹介しよう。そなたからみて左から、勇者の盾となるアルバート、」


「アルバートと申します。勇者様の盾となるため、騎士団で訓練を受けてきました。よろしくお願いします。」


「魔法使いであるリリア、」


「リリアです、勇者様。我が家は殲滅系統の魔法を主に扱う家系ですので必ずや勇者様の役にたたせていただきます。」


「聖女であるエレノーネだ。」


「エレノーネですわ。気軽にエレとお呼びくださいね、勇者様。」


アルバート、リリア、エレは明らかに貴族だとわかってしまった。

どうして自分だったのかもわからないのにこんなメンバーでやっていけるのか心配だ。








そして、出発の日が迫ってきたある日の午後。

勇者達が魔王を退治する旅に出るといった旨が国中に伝えられた。

国民は勇者様が魔王を退治してくれると知り、とても喜んでいた。


しかし、その勇者は伝えられた内容を聞き、衝撃を受けていた。

自分から言うのは言いにくい、そもそも知っているのかと聞くのは畏れ多すぎる。

だが、少しだけ持っていた希望はほとんど潰えたといって良いだろう。

どんな形であれ久しぶりに呼んで貰えるかもしれないなど思うのではなかったと考えていた。












どうして選ばれたのかは未だにわかっていないが、勇者の名に恥じないような力をみにつけてしまっていた。

なので、魔王の城までトントン拍子で進んできてしまった。

ここまで来たからにはしっかり魔王を退治し、生き残りたいと思った。

そして、遂に勇者達4人は魔王と戦いはじめたのだった。




それから4人は魔王相手に互角に戦った。

どちらが先に体力が無くなるか、戦いの内容はそれだけに絞られた。

やはり、4人という数の有利は大きかったようだ。

段々勇者が魔王を押しはじめていた。

魔王は敗けを悟り、勇者に尋ねた。


「我が敗ける日が来るとはな。勇者、おぬしに敬意をはらって聞こう、名をなんという?」


その一言は勇者には大きすぎた。

様々な感情が渦巻き、勇者の頭の中は空っぽになった。

しかし、状況はそれを許してくれなかった。

勇者が固まっているうちに、魔王は倒れていた。

他ならぬ自分の手によって、魔王は倒れていた。

勇者はどうすれば良いのかわからなかった。

だが、本能がそうしろと叫んだのか、勇者は魔王の元に近づいた。

そして、魔王に向かって話しかけた。


「僕の名前は―――」

「勇者様が7日後に魔王退治の旅に出掛けます。大通りを通って国の外へ出るので是非一目見に来てください。勇者様方は、勇者様、盾であるアルバート様、魔法使いであるリリア様、聖女であるエレノーネ様です。それぞれこの名前で声援を送っていただきたいです。」といった情報が王城から伝わってきました。とても喜ばしいことです。皆さん、勇者様のお姿を見に、是非出掛けましょう。


(以上、当時の新聞の転載)

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