第零章 〜懐旧の地 小樽にて〜
初投稿です!
あと、投稿もマイペースになってしまうのでご注意ください!
ピピピピ ピピピピ ピピピピ ピピピピ
俺は毎朝この鬱陶しい音に起こされる。
「ん、もう6時半か……」
とショボショボする目を無理矢理こじ開け、スマホの時刻を確認する。
「ふぁ〜。布団から出たくない。」
と愚痴を漏らしつつも
冬の小樽の朝の寒さを噛み締めながら渋々布団から出る。
次に階段を降りた先の洗面所へ向かい、
今にも凍りつきそうな水で顔を洗い、丁寧に歯を磨く。
そしたら未だに働き盛りの銀行員の母さんが
出勤前に出してくれたであろう
冷たいご飯と目玉焼き、そしてコーンスープを食べる。
(父さんも兄貴も役所勤めで生活は十分潤っているんだから
仕事なんか辞めて温かい飯を作るのに専念してくれりゃあいいのに)
と二浪で大学に受かった俺が言ったら激昴しそうな事を
心の奥底に仕舞いつつ仕方なく食べる。
そしたら道民なのに寒さに弱い俺は保熱性能があるタイツと
極暖のダウンを着て、ロシア帽をかぶり、
重い体を外へと動かし、無駄に遠い大学へと向かう。
外へ出ると一面銀世界。
道外に住んでいる奴らはこれを素敵とか、いいなとか
ほざいているが決してそんなことは無い。
これのせいで地面はツルツルになり
交通網に打撃を与え、歩行するにも滑らないように
注意して歩かなければならなくとても辛い。
ツルッ
「あいた!」
言った瞬間にこれだもんほんと嫌。
こうしている間にも大学へ到着。
そして直ぐに講義室へ向かい講義の開始時間を待つ。
この間陽キャだったら友人とのおしゃべりに必死になるが、俺は違う。
「……ふっ」
ただ一生懸命スマホに向かいSNS上の知り合いと話し合う。
コミュ障という訳では無いが
大学に気の合う人がいない俺はそうしている。
いや、悲しいかなそうする事しか出来ないのだ。
途中他の女子大生からの冷たい視線が背中に刺さるが気にしない。
気にしたら負けだ。
そして始まる一日3コマ90分の退屈で眠ってしまいそうな講義
(と言っても週二のロシア語の講義は別だが)。
必修科目の時間が早かったりするで
早く帰れるのが不幸中の幸いだろうか。
そして放課後、唯一の楽しみである近くのロシア雑貨店に
新しい商品が入っていないか確認を行う。
「今日は、うん、いつもと変わらぬいい品揃えだ。」
こうして確認を終えると私は家に帰り一日を終える……
そう、いつもならそんな味気ない時間が過ぎるはずだった。
味気のない人生がこのまま続くはずだった。
ドンッ
(あ、肩ぶつけちゃった。謝んねぇと……ぉ!?)
なんと、俺と衝突し
俺の人生を変えたのは金髪にピアス付けたバリバリのヤンキーだった。
「あ〜ん!? 何ぶつかっとんじゃ〜!?」
何もここで一言「すいません」の謝罪の一言や、
警察への通報等で済ませれば俺の味気ない人生は続いていただろう。
しかし腰が抜けてしまったヘタレな俺は
「ひぎゃ〜〜〜〜!!!」
と男としてあまりにも恥ずかしい叫び声を出しながら
咄嗟にその場から裏路地へと逃げ出してしまった。
勿論謝りもせず逃げ出した俺に対しそのヤンキーは怒り狂い
「ヴぉい!! 逃げるんじゃ〜ね〜よ〜〜!!!」
と喚き散らしながら必死に追いかけてくる。
(ヤバい! 殺される!)
俺はその恐怖の余り逃げる事しか考えられなかった。
ただ自分の命を守ろうとなって必死に逃げた。
その行為は逆に自分の命を脅かすことになるとは知らずに
ツルッ
(あっ)
その瞬間、頭に強い痛みを感じ
映像がプツッと切れたかのように周りが真っ暗になった。