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火防女003 エル2

懐かしい夢を見た、ほんの数ヶ月前のことなのにもう何年も前のことのように感じる。


「確か…吹雪の中で力尽きて……」


状況を把握しようとベッドから起き上がろうとする


「ッ!!!!ウぁっ!?!?」


途端に両手両足の指先に激痛が走る

あまりの痛さに悲鳴をあげてしまう。

痛みを堪えつつ自分の指先を見ると指一本一本に丁寧に包帯が巻き付けられていた。

少し薬くさいのでなにかの薬を塗り込んであるのかも知れない。


なんとかベッドから起き上がり周りを見渡す。

清潔なシーツと整えられたベッド、部屋が冷えないように焚きつけられた暖炉、自分が寝てるベッドの横には鉄球付きの杖が立てかけられている。

こぢんまりとした部屋だが綺麗に清掃も行き届いている

状況を見るにきっと自分は誰かに助けられたのだ

お礼を言わなければとベッドから立ち上がろうとしたら再びの激痛


「んぎぃ!!!!!!」


痛みに足が崩れ落ちドタドタバタンと派手にすっ転ぶ

倒れる時に横腹を景気良く打ち付けたのか鈍痛が脇腹を襲う


「くっ・・・・・ぐぉぉぉぉ・・・・。」


指先の激痛と脇腹の鈍痛を唇を噛み締めながら耐える。

すると扉の外からドタドタと誰かが駆け寄ってくる音が聞こえた。

バタンとドアが開かれると金髪の修道服を着た青年が飛び込んできた


「よかった、目を覚ました・・・んで・・・すね?」


青年は最初視線をベッドに向けていたが、喋るにつれその視線が下へと下がっていく

その視線の先には横腹を打ち付けて苦悶の表情で身悶えている私がいる


「(し、死にたい・・・。)」


初対面の男性にこんな情けない姿を晒すことになるなんて

羞恥で顔から火がでそうだ。

しかもよくよく見ると私は下着姿ではないか

羞恥と情けなさで涙がでてくる…


「まだ動いてはいけません、しばらくは絶対安静ですよ」


こちらの気持ちを汲み取ってくれたのか

青年は私の方を極力みないように抱き起こしベッドへ戻してくれる。

胸元に毛布を抱き寄せながら青年の様子を伺う

15~18ぐらいに見える青年は綺麗な金髪を肩口で切りそろえ

黒い修道服を身にまとい柔和な笑顔をこちらに向けていた。

顔立ちは非常に整っていて所謂美青年というやつだった。


「助けていただいて・・・・ありがとうございます」


先程の醜態もあって目を合わせて言えなかったが

青年は気にした様子もなくニッコリと笑う


「この猛吹雪の中倒れていたので見つけた時は肝が冷えましたよ。

あなたは3日寝込んでいたのですが、どこか痛い場所や違和感のある場所はありますか?」


「いえ、指先がひどく痛みますがそれ以外は・・・・・

ご迷惑をおかけしました。このご恩は必ずお返しします。」


ぺこりと頭を下げてお礼を言うと

青年は少し困ったように眉を下げて手を振る


「あなたのような子供から見返りをもらうわけにはいきません。

あなたが助かったのはきっと龍神様の思し召しです。」


そういうと青年は手を組み祈り始める

修道服を着ていたのでそうだろうなと思っていたが

この人は神父様らしかった、私の生まれ育った村には

教会がなかったので少し物珍しかった。


「僕の名前はアレン、龍神教の神父です。

久しぶりのお客様で少しワクワクしています、よろしくお願いしますね。」


青年・・・・アレンさんはそう自己紹介するとパチリとウィンクをする

美青年のアレンさんにそんなことされると思わずドキッとしてしまう。


「わ、私の名前はエルです。よろしくお願いしますアレンさん」


握手をしようと手を差し出すが

指先の包帯に気づいて咄嗟に手を引いてしまう。

こんな手で握手なんかしたら先程の悶絶地獄の再来だ。

気を悪くしただろうかとアレンさんの顔色を伺うが

アレンさんは小さくクスクスと笑っている。


「握手は手が治ってから改めてしましょう」

「は、はい・・・すいません」




ようやく主人公ズの名前がでてきました。


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