やっちゃった♪(テヘペロ)
おおおおおお…アパートだ。
ボロいな。なんと言うか今にも崩れそうだな。
しかしまぁ…ここに箱入り娘を叩き込むのは酷いな。ま、良いけど。どうせ魔法とかで生活改善出来るし。
「管理人さんとかに挨拶いるかな?」
確認してなかったな。と言うか髪の色、黒にしていると魔力をガリガリと削るんだよね…
早く挨拶済ませて部屋に行こう…って何も差し入れ?違う…確か…何だったっけ?まあ良いや。取り敢えず何か買っておこう。財布の中は…十二万。大金だなおい!
何か良い店は無いかな?
暫くアパートの近辺を歩いていると商店街に着いた。おお〜、中々な雰囲気ですな。
やっぱりこう言う時は甘味かな?と来るとクッキーとかかな?しかし、まさかあの大悪魔だった私が人間に供物を渡す立場になるとは…世も末だ。
で、と。お?良いの見っけ!
何々?特濃バターのバターサブレ?へぇ、これなら良さそうだな。
「スイマセーン!誰か居ますかー?」
「ホイホイ…ほっほっほっ?どうしたお嬢ちゃん?何かウチに用かね?」
「このバターサブレください」
「良いぞ…えっと…」
「シールには七百八十円って書いてありますよ?…見えないのなら老眼鏡かけては如何ですか?」
流石に缶に顔が付くか付かないか迄近づけるほど見えないなら仕事も大変だろう。…多分この辺りにも買い物に来るだろうし、治すか?と言うか若返らせるか?今回は出血サービスで特に何の見返りもなしにやるか。
「お爺さん」
「うん?どうした?」
「若返りたい?」
「突然どうした?そりゃ若返りたいさ」
「ちょっと手を出して」
「?…ほい」
お爺さんのゴワゴワした手を握る。その手から魔力を流し込み、魔法を行使する。…さて、どんな人…が…
「おお!凄いな!身体が軽いぞ⁉︎心なしか若返ったみたいだ…ってどうした嬢ちゃん?」
「ふゃっ⁉︎い、いいいいえ!何でも!そう、何でも無いです!」
び、びびった。イケメンじゃんお爺さん!怖っ!人間って年齢でああも変わるのか…
お爺さん…ではなくお兄さんに別れを告げてアパートへと戻る。次からは考えて使おう。目の前の老人が美男美女になるのを間近で見るのは心臓に悪い…
アパートの一階のプレートに「管理人室兼清白華菜の家」と書かれた部屋の前に立つ。何と言うか、はっちゃけたプレートだな。
ピンポーンとドアベルを鳴らす…が出て来ない。
あれ?今日は出掛けてるのか?
仕方がない…ん?何だこれ?
『私は鞍馬剡が来ると聞いたので隠遁します☆新しく住みに来ても部屋は無いよ♡
by清白華菜』
「…」
私は黙ってそのポストに入って居た書き置きを魔力を込めて燃やす。高温すぎて青を通り越し、白の炎…と言うか無色の炎が立ち上る。
…見つけたら地獄の触手沼に落としてr-18指定の罰ゲームを与えてやる…
ヌガァァォァァァ⁉︎ふざけんなあああああ!何なんだよマジで⁉︎死ぬわ!
…まさか退院その日からダンボール生活?ホームレスと一緒に過ごして…最後は内臓売られちゃう?それとも陵辱されてr-18エンド?
どれも嫌じゃぁぁぁぁぁぁ‼︎
「ん?どうした嬢ちゃん?家は?」
「さっきの…お爺さん」
諦めてベンチで体育座りしているとさっき若返らせたお爺さんが話しかけて来た。
何ですか?アレですか?うわーおニューのホームレスだー的なアレですか?
「どうしたんだ嬢ちゃん?家は?」
「そこのアパートだったんですけど…」
「けど?」
「入居拒否されました」
「は?」
「だから!入居拒否されたんですよ‼︎」
私が本気でそう大声を出す。するとお爺さんは私の前にしゃがむ。何ですか?
「お前さん、ウチの孫としてウチに来ないか?若返らせて貰った礼もあるしな」
悪戯っぽく笑うお爺さん。辞めてくだい…私は一応中身は男の大悪魔なんです。ときめいてはならんのです…駄目だ、喋り方がイかれてきた。何せ目の前に古風なイケメンがいる。で、私は今現在絶賛JKだ。
この身体…鞍馬剡の本能か知らんがなんかこう…ときめくのだ。
駄目だ駄目だ‼︎小気になれ私!そう!私はバアル・ゼブル…魔の王たる私が靡いてはならん!てか蝿の王だろ⁉︎しっかりしろ私‼︎
「と言うか私を孫にするって…法律的に無理では?」
「じゃあ住み込みってのは?ウチの駄菓子屋の見習いとして」
「そんな見習い初めて聞きましたけど?」
懐石料理とかよ見習いとかならまだしも…駄菓子屋の見習いって…
「嫌そうだな?」
「そりゃ聞いたことも無い見習いをやらされそうでしかも相手が初対面の人なんて…信用出来ませんよ?」
私にだってそれ位の分別はある。
するとお爺さん…いや、お兄さんか?…お兄さんは私の前で盛大に溜息をすると…
「残念だな…なんと今なら三食風呂付、更には仕事用の着流しと私服用の作務衣と着流しも付いて来るのにな」
「!」
な、ななななな…なんですと⁉︎
「その上一人部屋プラス給料あり、家賃無しだ」
「入ります!雇ってくださいいい‼︎」
入りますぅ‼︎と叫ぶ。そんな美味しい物件だ…逃す手は無い!
「よしよし、いい子だ」
「にゅっ!」
頭を撫でられる。初めての経験で変な声が出る。
「よし!んじゃあ店…家に戻るか?」
「はい!」
やったやった!
しかし、私は油断して居た。さっきのお兄さんの言葉を聞いてなかったのだ。
で、家にて…何故か押し倒された。ちょっ…止めてくれ!マジで心臓が止まる!否、心臓が弾けてしまう!勿論、ドキドキと言うこの鼓動によってだが。
「な、何でしょうか?」
「1〜つ聞きないな…儂に何をした?」
「何って…御呪い?」
流石に魔法とか言えないだろ…てか、やっぱ気づきましたか。
どう言い訳しようかな?
なんてこった…言い訳が一つも浮かばねえ…
「正直に言え…儂に何をした?どう考えても、どう見ても今の儂、二十代じゃよな?」
「御呪いってこんな効果があったんですね!…ってすいませんすいません!待って!言うから!言うから‼︎言うからコブラツイスト掛けないでえぇぇぇぇ‼︎」
ネジ切れる!腰から二つに分裂しちゃううぅ‼︎
はぁ…はぁ…はぁ…死ぬかと思った。転生その日に死亡とか笑えないし…
「今から本当の事言いますけど、多分信じられませんよ?」
「よし、言え」
「魔法使って若返らせてみました」
「…」
「アダダダダ⁉︎だから言ったじゃ無いですか⁉︎信じられないって…アダダダダァァ‼︎頭から手を離して!爆ぜる!潰れるぅ‼︎中身出ちゃうううぅぅぅ‼︎」
頭割れるぅぅぅ‼︎何で一日で二回もこんな頭痛を味わわねばならんのだ⁉︎これは酷すぎるだろ⁉︎泣くぞ⁉︎と言うか既に軽く泣いてるぞ⁉︎
「…で、嬢ちゃんは何なんだ?」
「ぅぅぅ…手違いと言うか巻き添えというか…そんな感じでこの身体に宿った悪魔です…」
「それで、名前は?」
「身体の名前は鞍馬剡で、私本人の名前はバアル・ゼブルです」
「よりによってヴェルゼブブか…」
何だよそのリアクション…もうちょっと驚けよー。ていうか疑えよー。
「まぁ若返らせて貰って助かってるしいいか?じゃあバアル?いや、ヴェルゼブブ?うーん…剡?どう呼べば良い?」
「剡で」
「じゃあ剡、ほい」
「これは?」
見た所着流しと作務衣だが?
「ここで暮らすんじゃろ?ならそれは至福と仕事用として使え」
「え?追い出したりは?」
「こんなご時世に嬢ちゃん一人を外にほっぽり出すわけにはいかんじゃろ」
「じーさーん‼︎最高!爺さん最高です!もう一生ついて行きます!」
「大袈裟じゃな…」
やったぁ!家+服を入手したぜ!これであとは学校から許可を…許可を…
…許可忘れてたぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎