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2ndLife  作者: 亜暮 霊璽
1/5

誰か代わってください。


目が覚めた。ここはどこだ?俺は誰だ


俺は…俺?そう、俺だ。俺は何だ?


…ああ、そうそう。俺は悪魔だったな。俺は確か何かに引き寄せられる感覚に襲われて…地獄を抜けたのか?


悪魔…悪魔悪魔。


ん?蝿?何だこの!ええいうろちょろと鬱陶しい!ん?


蝿?…蝿…はは…思い出したぞ。


悪魔…そう、私はバアル・ゼブル…蝿の王にして暴食を司る大罪ヴェルゼブブだ。


くくくくく…どうやら現世(うつつよ)に出たようだな…クフ…ククク…カッカッカッカッ‼︎


どうやってこの世を地獄にしてやろう?ああ!考えただけでもゾクゾクする!


しかし眩しいな…今はいつだ?騎士達に取り付けたらまた何か乱世でも引き起こして…眩しい?


何か違和感を感じ、上を見る。白い天井。雰囲気からして教会では無さそうだな…


白い天井。見たことのない照明。松明じゃないよな?


横を見ると見たことのない箱が。な、何だこれは⁉︎こんな物があるのか⁉︎何を表してるんだこの線は⁉︎…ENN KURAMA?…えん くらま?名前か?


…は?え?私にこの機械は繋がれているのか?え?でも私は悪魔…実体など無いし、何より私の名前はバアル・ゼブルだ。クラマとやらじゃあ無い。


「大丈夫ですか鞍馬さん⁉︎…鞍馬さん⁉︎起きましたか⁉︎」


突然横の布を開けられる。そこには白い服を着た女が焦った様子でいた。何だこいつ?私の供物か?


「ここはどこだ?」

「ここは都立病院ですよ」

「と、とりつびょういん?」


とりつびょういんとは?何だ?一体何事なんだ⁉︎というか、“くらま”とは誰だ?


「それより鞍馬さん…髪の色と目の色が変わってますけど…?」

「髪と目?」


髪と目だと?何を言っている。私は元々白髪だし、目は元々深緋色だ。


って姿が見えているのか⁉︎えぇぇぇぇ⁉︎あれぇ⁉︎どうしてだ⁉︎召喚された時は基本蝿の魔物の姿を使っている…つまりは召喚されたら俺は蝿の魔物の姿をしている筈…


しかしこの女は俺の姿に関してまるで人間の様に扱う。どういう事だ⁉︎


で、横の机っぽい台の上に置いてある髪を見ると其処には黒髪の少女の絵が置いてあった。


しかし、さっきからどうも肩が重い…って、は?何だこれ?胸が…デカイ。あれ?俺は悪魔で、男…だよな?あれ?


「ほら鞍馬さん!見てくださいよ!髪と目の色!ね!」


そしてその女が持ってきた鏡を見て更に顔を引攣らせた。其処には白の髪に深緋色の瞳の少女(・・)がいた。…は⁉︎と言うことはまさか…ぎゃあああああああああああっ!無い!何で無い⁉︎えぇぇぇぇえぇぇぇぇええ‼︎⁉︎


男の象徴たるアレが、無ぁぁぁぁぁぁい⁉︎何でだ⁉︎えぇぇぇぇ⁉︎うおえええ⁉︎うお……うおぇっ…うえっ…


「く、鞍馬さん?大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫じゃ…ぐぁぁ⁉︎」


イッテエエエエエエエエ⁉︎何だよ⁉︎マジで何なんだよ⁉︎私が何をしたってん…したな。けどこんな仕打ちを受けるような事をした覚えは…あるな。そもそも悪魔だし…


ヤベェ…否定する言葉が欠片も浮かばねぇ…じゃなくて!


何なんだ今のは⁉︎頭がもげそうな程痛くなったと思ったら途端に様々な景色が見えた…景色?


この景色は記憶?何だこれは?産まれる前の胎内の時からの記憶…そこから…うわ…何で飛び降りる?それじゃ死ねな…………………………え?


「く、鞍馬さん?どうしたんですか?何でそんなに冷や汗かいて真っ青になってるんですか?」

「か、看護師(・・・)

「はい?」

「何でそんなに慌てていたんですか?」


まずは確認だ…そう、これはアレだ。何か悪い夢だ。


「貴女が叫ぶからよ…入院して半年間も寝ていたのに急に何かに憑かれたように叫び出すから慌てて見に来たのよ」

「確か私が飛んだのは…」

「高校一年の夏休みね…もうそんな事しないでね?」


あゝ…何となく私がこうなったのが分かった気がする。


この鞍馬という小娘…死ぬ前にこの世を盛大に呪って死にやがった。けど、余りにも呪いが強過ぎたから死ねなかった。正確には魂を潰してまでの呪いに負けて、身体だけ生き残ってしまった。


で、恐らく見兼ねた神様とやらが何か強い悪魔を入れて上手くエネルギーにさせてその呪いを消そうとした。


けど、今度は私みたいな半端なく強過ぎる悪魔が来ちまったもんだから身体の中に残っていた呪いが上手く馴染んでしまってこの体に新しい魂として…て、定着してしまった…


うがぁぁぁぁ‼︎コンのクソガキャァァァァァ‼︎死ぬなら一人で逝けよ!何で私を巻き込む⁉︎ふざけるな!


「後鞍馬さん?」

「え?」

「これ。はいバンダナ」


バンダナ?何で?


「これを何に使えと?」

「良く見てほら」


よく鏡を覗き込むと額の真ん中に俺特有の紋章…蝿を具象化させた紋章が黒々と刻印されていた。


マジで何でこうなる畜生‼︎コンチクショウめが‼︎


「何かしらこれ?痣にしては濃過ぎるし…」

「あ、あはは…な、何なんでしょうね?ば、バンダナありがたく使わせて貰いますね?あはは…」


ふ・ざ・け・ん・な‼︎何でこうなるんだよ‼︎


この姿で魔法とか使ってみろ!普通にバケモン扱いだろうが!


は?悪魔ならそれ位良いじゃ無いか?


馬鹿野郎‼︎俺はこの体に転生(・・)しちまったんだぞ⁉︎てことは…死んだら普通に死ぬ。


いやじゃボケ!死にたかねえよ!


「じゃあ院長に報告してくるから動かないでね?」

「…」


と、兎に角落ち着こう。あ、ベッド下に鞄が…中身は?


白のワイシャツ、下着、黒のスキニージーンズ、極め付けに黒の革靴…


女の格好じゃねえよ!どこのリーマンだよ⁉︎女子高生だろ⁉︎もっと色っぽいの着ろよ!


って何々…?


ん?あれ?おかしいな?転生の影響かな?文字が間違って見える。


『お前は勘当だ。安い下宿を取っておいた。そこで暮らせ。一応仕送りはしておいてやる。病院はなるべく…というか起きたら出て行け。金がかかる。起きないのならそのまま死ね』


んだとコラアァァ‼︎あぁ⁉︎喧嘩売っとんのかコラ⁉︎


悪魔舐めんなよ?くそったれ!


ま、目覚めたのならとっとと出て行こう。服は…こうか?


うん、後は髪だな。色は…魔法でチョチョイっと。目の色は…変えれねー。前髪で隠して誤魔化すか。どうせ学校では悪目立ちしない様に陰キャラを通す気だし。


何と私の転生した鞍馬剡は良いとこの所謂お嬢様なんだが…何とテンプレの悪役令嬢という奴だったんだよ。しかも超高飛車で自分の考えが全てだと思い込んでいると来た。


で、何でそんなお嬢様が投身自殺なんてしようとしたのは更に阿呆らしい。


何と自分の好きな男に徹底的に断罪されたからだ。馬鹿だな。悪い事するなら徹底的に証拠は消すだろ?何であんなに露骨にやるかな?


「鞍馬さん…院長から事後経過を視る為に残って…って何してるの⁉︎あれ⁉︎髪の色は⁉︎」

「何って…着替えですよ。あ、バンダナは前髪であの痣隠せたのでやっぱり返します。ありがとうございました。髪の色はほって置いたらまた黒くなりました…不思議ですね?」

「ふ、不思議で済むかしら…でも、勿体無いわね…そんなに美人なのに顔隠しちゃうなんて」

「良いですよ別に。見せびらかしても得なんてありませんし」


全く。私は別に顔の造形なんてあまり興味ないんだよ。どうせ死んだら肉の塊だ。そこに美醜なんて存在しない。


さてさて荷物も纏めたし。


「看護師さん、退院するんで手続きお願いして良いですか?」

「話聞いていた⁉︎もうしばらくここに入院して貰うのよ⁉︎」

「家に連絡してみてください。多分一発で許可が出ると思いますよ?」


私がそう言うと看護師さんはまたパタパタと走って出て行った。忙しそうだねぇ…


ベットを魔法で淡々と畳んで行く。シーツも剥いで…と。


身体は臭くないんだな。てっきり風呂に入ってないから臭いと思ったが、毎日拭いてくれたのだろう、かなり綺麗だ。


「く、鞍馬さん…院長から許可が出たわ…家からも」

「そうですか…ではお世話になりました」


私はそう行って出て行った。髪は邪魔なので背後で纏めている。勿論ゴム紐などなかったので、魔力を紐状にして編み込んで作った物だが。


「くぁ…眠いな」


まずはメモ通りのアパートまで行きますか。


バイトも探さなきゃな…面倒くさ。

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