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T・D・War -救済の扉-【御題短編小説】

作者: ReKu

【御題】トイレのドア


お食事中の方は気分を害される可能性がありますのでご遠慮願います。


救いはないんですかっ!?

西山里奈は連休を使って中学の友人の安座間由香里の家に泊まりに来ていた。

昨晩金曜日は学校から帰宅しすぐに安座間家へ向かい、夕飯はの由香里の両親、そして兄の康介も交えて庭でバーベキューを行った。

五人は肉や野菜だけでなく烏賊や魚、帆立や牡蠣等も網で焼いて美味しくいただいた。


だが、それがいけなかった。


後に起こる惨劇など誰が想像などできただろうか・・・。


土曜日

里奈と由香里は映画館で映画を見た後、カラオケへ。

帰宅後五人で夕飯。

食事中、康介は見る者に不快感を与えるような笑みを浮かべながら里奈をずっと見つめてきていた。

昨晩もそうだったろうか?

あまり箸が進まず、小母さんに悪いと思いながらも少し残してしまう。

ふと由香里の食器を見ると彼女も少し料理を残していた。

由香里は康介に態度に対して不機嫌になっていた。

食事を終え、二階の由香里の部屋に戻ると会話の内容は自然と康介の話になった。

康介は里奈の兄と同じ高校に通っているが、最近高校に行かなくなりずっと部屋に引きこもっているらしい。

一年前里奈が見たときは康介は端整な顔立ちで痩せ気味の姿だったが、今は肥満といっても差し支えの無いほど太っていた。

さらに、部屋に引きこもってはアニメをみたりゲームばかりしているらしい。


一通り康介への不満を二人で言い合った後、学校の課題をして、二人で入浴した後就寝した。


日曜日 午前二時

急激な腹痛で里奈は目を覚ました。

由香里の布団を見れば、掛け布団を捲れ上がったままで由香里の姿は無かった。

この時間にいないとなれば喉の渇きを潤しにいったか、トイレのどちらかである。

里奈は腹痛を必死で我慢しながら由香里の戻りを待った。

・・・どれくらいたったのだろうか。

腹痛は激しさを増し、今すぐにでもトイレに駆け込みたい衝動に駆られる。

額には脂汗がにじみ出しはじめた。

時計を見れば目が覚めてから五分も経っていない。

このような時は時間が途轍もなく遅く感じる。


「さっさと退きなさいよ、このデブっ!」


階下から由香里の怒号が聞こえてくる。

何があったのだろうか?

里奈は布団から抜け出しゆっくりと立ち上がる。

明かりをつけて部屋から出るために歩きだすと、足元がフラフラとおぼつかない。

季節の変わり目、夏が終わり秋に移ろうとするころだろうか?

寒気も感じる、気分も悪い。


「康介!父さんの言うことが聴けないのか!!」


今度は小父さんの声だ。

トイレに行くついでに何が起きているのか確認しようとフラ付く足で里奈はゆっくりと階段を降りた。

あと、数段で階段を降り切るといったところで今度は小母さんのヒステリックな声が響いた。


「康介!どうして言うことを聴いてくれないの!?みんなトイレに行きたいのよっ!」


里奈は内心、しまった と思った。

恐る恐る階段の暗がりと手すりの陰に隠れて覗いてみると、康介がトイレのドアの前で仁王立ちしている。

康介に向かって左に小父さんと小母さん、階段側に右手に由香里が立っていた。

康介が左右に首を振る。


「三人でそろって俺の悪口いつも言ってんだろ、謝れよ!」


由香里の家で何があったかは知らないが康介はたいそうご立腹だった。


ギュルルルルッ!!!


一瞬、自分のお腹が鳴らした音かと里奈は慌てたが、どうやら康介のお腹の音らしい。

由香里も小父さんも小母さんも、三人ともへっぴり腰でお腹を押さえているようだ。

ということは今、安座間家にいる人間がお腹を壊している…?

これはまるで…。


「康介!貴方って子はっ!!」


里奈が一人考え込んでいると小母さんが康介に掴みかかっていった。

だが、康介は小母さんを、自分の母親をあろうことか突き飛ばしたのだ。


「きゃあっ!」

「母さん!大丈夫か!?」


小母さんが廊下に倒れこみ、小父さんが駆け寄ろうとした。


不快な音が鳴り響いた


小父さんが動きを止める。

小母さんは横たわりながら手で顔を覆って・・・泣いていた。


「こぉぉぉすけぇぇぇぇぇぇえええっ!!」


小父さんが康介の方を向き直ると、拳を振り上げ顔を真っ赤にして、走り寄っていく。

康介は位置を変えずに体の向きだけを小父さんの方へ向け飛び掛ってくる小父さんの拳を手で叩き、牽制した。

小父さんは間髪空けずに康介の頬を平手打ちした後寝巻きの胸倉を掴んだ。


「お前というやつは…お前というやつはっ、この親不孝者めぇっ!」


康介も負けじと小父さんの腕を掴み、押し倒そうとする。

じりじりと康介が小父さんを押し返し始める、が小父さんも必死で押し返す。

だが、二人の喧騒以外の音で流れが変わった。


不快な音が鳴り響いたのだ


力みすぎた小父さんが耐え切れなかったのだ。

あっ、という顔をした瞬間康介に突き飛ばされ壁に後頭部をぶつけ倒れこんでしまう。

安座間家の廊下に凄まじい異臭が立ち込める。

一体小父さんは夕飯の後何を食べたのだろうか?


「…お兄ちゃん」


弱弱しい声で由香里が口を開いた。


「お願い、もう悪口言わないから。トイレにいかせて・・・」


由香里の方を振り向いた康介の顔は下種な笑みを浮かべていた。

由香里は肩を震わせ、涙ぐみながら言葉を続けた。


「ぐすっ・・・でも、お兄ちゃんも、えぐっ、昔に戻ってよ・・・」


康介は笑みを浮かべたまま由香里の顔を覗き込むように首をかしげる。


「私の、ヒック、自慢の、えぐ、自慢だったお兄ちゃ・・・ヒッグ、戻ってよぉ」


康介の顔から笑みが消えた。

悲しそうな、落ち込んだような顔で、由香里の横に移動して優しく背中を二、三度叩く。

促されるようにトイレへゆっくり歩を進める由香里。

涙でグシャグシャになった顔を両手でぬぐいながらも


「ごめんね、お兄ちゃん。ごめんなさい」


と康介に今までの態度を謝罪していた。

こうなってしまっては自分もトイレにいきたいとは言い出せない。

我慢をするか、近くのコンビニへ行くか・・・。

里奈が迷っていたときだった。

ぱぁん!と威勢の良い音がしたのだ。

ハッっとして里奈が顔を上げると、康介が思い切り由香里のお尻を平手で叩いた所だった。

破裂したかのような平手打ちの音に続いて由香里の寝巻きに染みが広がったかと思うと。


不快な音が鳴り響いた


濁流が由香里の体から噴出したのだった。

由香里はその場にへたり込むと大声を上げて泣き出てしまった。

康介はというと、少し決まりが悪そうな顔で、しばらく由香里を見下ろしていたがトイレの方に向き直った。

許せなかった。

里奈は階段の下にあった小さめの箒を思い出し、すぐに移動し箒を逆に掴むとトイレへヨタヨタと歩く康介に向かって走っていた。

獲物を駆るときは静かに素早く、威嚇と気合の為に声をあげるのであれば攻撃範囲に相手が入ってからだ。


「うわぁぁあああああっ!!」


声を上げるとビクリと康介の動きが止まる。

里奈はその隙を逃さない。

箒のもち手の先を康介の尻穴に力いっぱい突き刺した。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーッ!!!!」


康介の絶叫の後に、彼の尻から不快な勝利のファンファーレが鳴り響く。

脱糞し続けながら廊下を転げまわる康介。

そんな康介を見下ろすことも泣く、由香里を慰めることもせず里奈はトイレのドアに手を掛けた。


ごめんね、由香里。でも私ももう我慢の限界なの。


ドアノブをまわすとガチャリと音がする。

勢いよくドアを開くと、トイレの窓が取り外されており、見知らぬ中年が窓から身を乗り出していた。

目と目とがあった。


「きゃぁぁああああああああっ!!」


里奈が叫ぶ。


「うぉおおおおおっ!!?!?!」


中年がつられて驚いて叫ぶ。

さらに里奈が絶望的な顔で叫ぶ。


「ああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!」


ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!


「うぇあっ!いええ!?あいっ、ええええええええええええっ!!!」

困惑した中年も叫んだ…。


午前 八時

西山家 食卓


『次のニュースです。今朝○○市内で集団食中毒がありました。』


博信はテレビを見ながら朝食のパンにかじりついていた。


『食中毒にあったのは○○市在住の安座間氏宅で、バーベキューで食した牡蠣から新型ノロウィルスが発見されました。ノロウィルスは潜伏期間は最短一日で、激しい腹痛、嘔吐、寒気などに・・・』


「母さーん、これって里奈が泊まりにいってる康介んちのことじゃない?」

「えー、そんなことはそうそうあるはずないでしょ?それより今日はどうするの?お昼は家で食べるの?」


『今朝午前二時半頃、安座間家に窃盗で侵入しようとした 無職 本山忠勝容疑者でしたが、住宅内の山惨状を目の当たりにし、逮捕覚悟で119番に通報下との事です。・・・現場からの中継です。』


「どうすっかなぁ、お金ないしなぁ」

「じゃあ、家で食べる?お昼はカレーよ?」


『ああっ、今、安座間家から患者が救急隊員に助けられながらでてきました。』


「母さんっ!あれ里奈だよ!!」


『○○テレビです。大丈夫ですか!?今のお気持ちを一言!!』

『いやぁぁぁぁぁあっ!!撮らないでぇぇぇぇ!!!ぁぁぁぁあああああああ!!』

『ビチチュブブブリュリュリュリュリュ!!』


           -ブツン-


「…カレーは無しね」

「あっ、はい…」




ヽ( ・∀・)ノ● ウンコー


執筆時間 約三時間


自己評価

 こ れ は ひ ど い


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