第8話 同棲! 新しい家族
リーザに締め上げられた僕は、サラに類が及ぶこと無い様に、自分でサラを誘い、リーザと合流しなかったと告げた。リーザは当日の朝か昼には僕らが迎えに来ることを期待してたみたいだが、一向に来ないので怒り心頭だったみたいです。
「全く……こういう事は、男の方から迎えに来るのが礼儀でしょうが。女性に自分で来させるなんて、マナーがなってないわよ」
「いや元から誘って無い……」
「ああ゛ん!?」
うわぁい、こっちの世界でも般若の面て見れるんだね。正直チビリそうだよ。
「あ、あの……落ち着いて……ね……?」
おっかなびっくりスーさんが仲裁に入ってくれる。スーさんの脇から、サラも心配そうにこっちを見てる。ありがとうスーさん……。
リーザは見覚えの無い闖入者に警戒しているのか、眉間に皺を作って、スーさんを上から下までジロジロ嘗め回すように見ている。
「誰よアンタ?」
「あーっと、この人はスーさん。ルリィ先生の知り合いで、これから村長さん宅にお連れする予定なんだ。怪しい人じゃないから落ち着いて」
リーザが棘のある口調でスーさんを威嚇するので、僕は慌てて二人の間に割って入り、リーザを宥める。
「…ふーーん。怪しい人、じゃないねぇ……」
「そうそう、怪しい人じゃないよ」
そもそも人じゃないし。『元』人だけど。
しかしリーザは剣呑な表情のまま、ビシッとスーさんの顔を指差す。
「じゃあ、なんでそんな変な仮面着けてるの? 最高に気持ち悪いんだけど」
失礼な、ルリィ先生が泣くぞ。「このデザインがまた芸術的だ!」とか言って褒めてたし。スーさんにこの仮面を着けて貰う時、予めこの質問は予測していたのでスーさんは淀みなく答える。
「これはね、お祭りの仮装として、フィアル君が持っていた仮面を借りたの。だけど、ちょっと場違いだったみたいね」
そう言って声と仕草ではにかみを表わすスーさん。よし、これで大丈夫なはず……
「へー、じゃあその仮面、取って」
あかんかった。
「あ! リーザ、あっちで珍しい人形劇やってるよ!」
「えっ!? どこどこ!! ねえ、フィアルどこでやってるの!?」
人形劇が好きなリーザの気をあさっての方向に逸らしたところで、僕はスーさんとサラの手を取って密やかに、しかし速やかにその場を離れた。
「あの……、リーザちゃんは放っておいていいの?」
「あのままじゃ、後でリーザ物凄く怒るよ……?」
「今は、これ以上の騒動が起きないようにするのが先決です。スーさんとルリィ先生が合流したら、謝って一緒に遊べば許してくれるよ……多分」
まあその前に、詫びとして関節技の二回か三回は要求されるだろうな。サラに被害が及ばないようにしなければ……。
僕はリーザの追跡を振り切るべく、人混みに紛れつつ遠回りに、村長さん宅まで進んで行った。途中、美味しそうな出店のお菓子や料理の匂いが漂ってきたり、面白そうな劇がチラチラ見えたが全部我慢だ。サラには気の毒だけど、一人にするとまたいじめっ子に絡まれるかも知れないんで、一緒に我慢してもらおう。文句も言わずに付いて来てくれるのが有り難い。
村長さん宅は、村の中心から少し外れた所にある。周りに家が無い野原の中にあるが、丈夫そうな石垣で囲まれている結構豪華な家だ。
この時間なら村長さんはもう家に帰っているはず。僕は門の鉄柵に手を掛け、ちゃんと開いている事を確認すると、後ろの二人を伴って中に入った。
「遅かったわねぇ。女の子を一人放って置くなんて、いい度胸してるじゃないの」
門を開けたら……、村長さん宅の玄関は怪獣に守られてました。玄関開けたら二秒でラスボスって、どんな無理ゲー?
玄関の扉に背を預けていたリーザは、ゆっくりと身を起すと獰猛な気配を隠そうともせずに、怒りと、これから僕に放たれるであろう憂さ晴らしの数々を想像してか、喜悦の色が混ざった顔で近づいて来る。
スーさん、サラ、骨は拾ってくれ。諦めの境地に達した僕が体の力を抜きかけた時、スーさんが僕の前に立ち塞がった。
獲物を狩る邪魔をされたリーザは、煩わしそうに腕を振るう。
「邪魔よ、どいて」
「待って、リーザちゃん。フィアル君は悪くないの。……本当は、別の事情で今この仮面を取ることが出来ないから、フィアル君が気を遣ってリーザちゃんと別れてくれたの。だから、本当に悪いのは私」
ああ、スーさん! 貴方は天使みたいな人だ……。しかし怒り心頭に達し、放射能火炎を吐きそうなリーザが、いつスーさんをバラバラにするかと考えると気が気でない。
「フシュゥゥゥ……」
うわっ、リーザの口から、蒸気機関みたいな音が出始めた!? これは……大暴れの前兆か! 止めようと急いで前に出ようとするが、それより早くリーザの雄叫びが響く。
「うるぁああああああ!!」
バラバラ殺人(骨)事件発生か!? 走馬灯のように新聞(無いけど)の見出しが、僕の頭を駆け抜けた瞬間だった。
「こらっ! リーザ何してる!?」
僕達の後ろから、救世主の声がリーザを押し止めてくれた。今まさに襲い掛からんと、体を撓めていたリーザは、急ブレーキを掛けられて、つんのめる。
「あわわわっ…!?」
そして、目の前に居たスーさんのローブの裾を掴み、そのまま倒れこむ。
ブチブチッ!
ローブを留めていた金具が引き千切れ、ハラリとローブが地に舞い降り、スーさんの姿が露になる。
「……!? キャアアアアアアア!!」
サラの悲鳴が木霊した。
◆◆◆
スーさんの姿を見られた直後、悲鳴を聞きつけた村長さんが出てきて、また混乱がありました。そんなこんなで今、僕は村長さん宅のリビングで、泣きじゃくるサラの背中を優しく撫でてます。
「ヒック……ヒック……」
「軟弱ねー。サラ、あんたも男なんだから、あれ位で泣くんじゃ無いわよ」
同じくリビングのソファーで、足をぶらぶらさせているリーザが呆れたように言ってきた。むしろ女の子なのに、サッパリ怯えた様子の無い君の精神が頑強過ぎると思う。ちゃんと事情を説明したら納得してくれたから、根が単純だと図太くなるんだろうか。
「フィアル、あんた今何か変な事考えてない?」
「な、何も?」
センサーでも付いてるのか、この娘は。乙女の勘はやはり侮れない。
視線を外すついでに、こっそりルリィ先生の知り合いさんに付けた盗聴器…、もといセンサーを通してイヤホンに聞こえてくる音声に耳を傾ける。
今ルリィ先生とスーさんは、ルリィ先生の知り合いと村長さんと一緒に書斎で話合いをしている。
ルリィ先生の知人はごつい体格はしていたが、純白のローブに身を包み、聖印を首から下げていたから、多分神官さんだと思う。
この国では武の神『バセム』が広く信仰されていて、神官さんが持っていたのもその聖印と同じだった。この世界にもいくつも神様が居るらしいが、詳しくはよく知らない。
何でまたルリィ先生は神官さんを呼んで来たんだろう? まさか御祓いじゃないよな?
今、神官さんは何かの魔法? でスーさんを精査しているようだった。
『……むぅ、これは……』
『どうだ、ガーレン?』
ガーレン神官の呻き声に、ルリィ先生が緊張した様子で声をかけている。ガーレンさんは、しばらくの間唸っていたが、少しずつ、自分にも言い聞かせるように話し始めた。
『まず…、ルリィが言ったように、このスケルトン……失礼、スーさんから死霊術の気配は無い。……本人の証言から、死霊術で生み出された事は確かみたいだが……』
『死霊術で操られているので無ければ、どうやってこのスーさんは動いているのですか?』
村長さんが不思議そうにそう言った。村長さんは結構学があるらしく、難しい魔法の話にも割とすんなり付いていっている。
『それなんだが……、擬似的な『復活』の神術と似たような状態になっている、のでは無いかと推測している』
『擬似的?』
『彼女からは聖浄な気配が溢れている。これは我々神官が神術を行使する際に発生するものだが、彼女は神術を使われた記憶は無いと言う。これも推測だが、彼女は元々かなり徳の高い聖女だったのではないかと考えている』
段々と早口になっていくガーレンさんを、落ち着かせるべくルリィ先生が割って入った。
『つまり、元々死霊術によってスケルトン化された彼女は、彼女自身の聖浄の気によって死霊術を打ち消し、あるいは飲み込んで、『復活』の神術と似たような効果で活動している。そういう事か?』
ルリィ先生の要約で頭がまとまったのか、ガーレンさんは落ち着いた雰囲気で肯定する。
『そうだな。『復活』ならば肉体も完全に再生されるはずだが、彼女は骨だけだ。完全に同一の状態では無いので断言は出来ないが……、これも神の悪戯というものだろうか』
溜息を吐く音と、聖印を握るような金属の擦れる音が聞こえる。話しを聞いていた村長がまとめに入った。
『専門的なところはそこら辺りでよしとしまして……、結論として、彼女は危険ですか?』
ガーレンさんが首を振ったようで、さっきとは異なる金属音が聞こえる。
『いえ、危険は無いでしょう。彼女を作った死霊術師との繋がりも感知出来ませんし、何よりこんな奇跡を起こせる方が危険なはずが無い!』
『あの……、私そこまで大した者では無いと思うんですが……』
スーさんの控えめな謙遜も聞こえてくる。何やらガーレンさんが熱くそれを否定しているが、もう聞いておかなくても大丈夫そうだし、音声を切ろう。
……何しろ目の前に不審な表情をしたリーザさんがいらっしゃるし。
「……フィアル、さっきから何そっぽ向いて耳押さえてんの? ちょっとよく見せなさい」
「な、な、何でもナイヨ? あっ、やめて! 居ないから! ここには何も居ないから!?」
リーザが耳を押さえる僕の腕を引き剥がそうとしてくるのを、某風の谷の姫様よろしく抵抗する。そしたらサラも加勢してくれた。
「フィアルをいじめちゃ駄目ー!」
「なっ!? 何すんのよサラ! 大体、あんたもさっきからフィアルにくっ付き過ぎなのよ!!」
僕とリーザの間にサラが割り込んでくれた隙に、耳のイヤホンをこっそり取り外して亜空間に収納しておく。
泣きはらして赤くなった眼で必死にリーザに食って掛かるサラ。リーザは普段大人しいサラの突然の反撃に、口撃はしたけれども攻撃は戸惑っているようだった。
サラは、ぽかぽかとダメージ0の駄々っ子パンチを繰り出しているが、これ以上放置していたらリーザも本格的な攻撃に移るかも知れない。時間稼ぎもして貰ったし、ここらで止めよう。
そう思っていたら、書斎のドアが開いて、中からルリィ先生達が出てきた。ルリィ先生は開口一番、僕らを叱る。
「こらっ! 村長さんの家で暴れるんじゃありません! お行儀良くしなさい」
ルリィ先生に睨まれた僕らは、揃ってソファーに座りなおしてごめんなさいする。ルリィ先生は僕達の殊勝な態度に満足したようだ。
「うん、それでいい。お話はもう終わったし、落ち着いたならもうお祭りに行ってもいいぞ?」
おっと、その前に確認しておかねば。
「あの、先生。スーさんはどうなるんですか?」
心配そうな僕を気遣ってか、ルリィ先生は明るい笑顔を向けてくれた。
「大丈夫。村長さんから、スーさんが村人として住む許可を頂いた。今日の村祭りの最後に、皆の前で発表するそうだ」
暴動起こりませんか、それ? もっと少しずつ認知させていった方が……。
より一層心配顔になった僕に、ガーレンさんが補足してくれる。
「私が一緒に立って説明しよう。何、考えがある。…君達にも協力して欲しいんだが?」
キョトン顔の僕らに、ガーレンさんが説明を始めた……。
◆◆◆
その後、至って普通に祭りは進行して行きました。僕らは最後の発表前まで自由行動だったので、いつものように、サラとリーザを含めた三人でお祭りを楽しんだ。
何だかサラとリーザの間で、微妙な鍔迫り合いの気配を感じていたけど気のせいかなぁ? 二人ともやたらと僕の手を引っ張って、あっちに行こうこっちに行こうと誘ってくる。大岡裁きの子どもみたいに両者にぐいぐい引っ張られるもんだから、痛くて仕方ない。
泣いてはいないが、勘弁してと叫んでも二人は互いを非難するばかりで離してくれない。もうどっちが本物のお母さんでもいいから早く解放して……。
そんな事を繰り返していたら、あっという間に時間は過ぎ、遂に祭りの終わりになった。もう日はとっくに落ち、松明の照明が広場を照らす中、村長さんが終了の宣言の為に広場の壇上に上がった。その後ろにはローブを着直したスーさん、ルリィ先生、そしてガーレン神官が居た。
村長さんは若干緊張した面持ちで、一つ咳払いすると、大きな声で話し出す。
「皆さん、祭りは楽しまれたでしょうか? 偉大なるルーパウス一世の活躍を詩や演劇によって学べたでしょうか? 名残惜しいでしょうが、祭りの終了の時刻となりました」
村人達は満足してる人が半分、残念そうな人が半分くらい居た。皆村長の演説に耳を傾け、その背後に居る三人を不思議そうに見ている。
「今日は皆さんにお知らせがあります。今日、私はルリィさんの推薦の元、一人の人物を村人として村に迎え入れることを決定しました」
続く村長の言葉に、村人達が不思議そうな顔を示す。まあ突然の話だし、無理はないな。
村長さんはルリィ先生達を促す。ルリィ先生が一番前に進み出て、その後ろに残り二人が続く。ルリィ先生は朗々と村人達に語り始めた。
「皆さん、先日の死霊術師の騒動は覚えてらっしゃるでしょうか? 私は、村の自警団の人達と一緒に彼の者を追い払いました」
見える範囲の村人達は頷いたり、お礼の言葉を返している。知らない人は居ないようだ。
「私はあの事件の後も、村の近辺を探索し、その結果一人の犠牲者を見つけました。彼女は死霊術の実験台にされた結果、骸骨の姿のまま蘇らされてしまった死者です」
途端にざわざわと周囲が騒がしくなってきた。村人達も、ルリィ先生の後ろに控えるローブを着た人物が、件の犠牲者と気付いたのだろう。
「今回、私は知人の『バセム』の神官ガーレンに調査を依頼しました。その結果、彼女は危険な存在では無く、むしろ聖なる存在であると分かりました。恐らく彼女は『聖女』であったと考えられます。私は彼女の意志を聞き、この村で生活したいとの希望を叶えてあげたいと思い、村長と相談したのです」
そこでガーレンさんが進み出て、ルリィ先生の話に証言を付け加える。
「戦神『バセム』の信徒、ガーレンです。私は彼女が聖なる存在であると神に誓います。私は神官として、聖女様の意向には神の御意思も関わると考えています。故に、私も彼女が村に居住する事を望むならば、それを叶えて差し上げたい」
それに続いてスーさんも出てくる。ガーレンさんは、目深に被ったスーさんのフードに、恭しく手を伸ばすと、そっとそれを後ろにずらした。
カッ!!
「「「おおおおおおおっ!!??」」」
スーさんの顔が露になった途端、スーさんの頭蓋骨から後光が射し、広場一体を明るくする。その光は柔らかで、見る者の心を癒すような、心地よいものだった。
これはガーレンさんの神術で、『属性暴露』と言う術だ。その人の持つ善性や悪性を一般人にも眼に見える形で顕現する。こんだけ光が強いって事は、相当徳が高い証拠だそうだ。
「なんて穏やかな光なんじゃあ!」
「骸骨なのに、ちっとも怖くない……。むしろ神々しいぞ!」
「ありがたや、ありがたや……」
村人達は最初面食らったみたいだが、スーさんの放つ光を目の当たりにして、警戒心を徐々に解いていく。拝みだすお爺ちゃんも居た。
ガーレンさんはダメ押しとばかりに宣言する。
「さあ、この中で誰か、この方と握手したい方はいらっしゃいませんか!? 安全は保障します。聖女様と触れ合える機会なんてそうはありませんぞ」
おっと仕事の時間だ。僕は村人達の間をすり抜けるようにして、スーさんに近づいていく。スーさんの後光で大分恐怖心は消えているとは言え、まだ村人達は尻込みしている。そこで僕がサクラとなって先に触れれば、もっと恐怖も消えるだろう。
進み出た僕の背に、村人達の心配そうな視線を感じる。大丈夫、うちの妹なんか十回以上スーさんと触れ合ってるんだ。……我ながらチャレンジャーだったと思う。
でも、僕は自分の勘を素直に信じれた。これもあの神様の采配かも知れない。
壇の前まで来た僕の前に、スーさんがそっと降りてきた。村人さんが心配して動く気配を感じるが、僕は躊躇わず手を出す。
「初めまして聖女様。僕と握手して下さい」
「…はい、喜んで」
スーさんの手が優しく僕の手を包んだ。骨だけのはずなのに、人の温かさを感じた。
「聖女様、私とも握手して下さい!」
「あの……、僕とも……」
リーザとサラも後に続いてくれた。スーさんは二人共しっかり握手を交わしてくれる。さっきまで怯えていたサラも、スーさんと握手すると不思議と落ち着いたようで、ちょっと笑ってくれた。
臆病なサラがスーさんと握手して笑顔を見せた事で、村人達の感情もかなり和らいだようだ。
「お、おらもお願いしますだ!」
「私も!」
「わしも!!」
次々と先を争ってスーさんに群がる村人達。スーさんはその一人一人に丁寧に対応していた。
こうして、スーさんは村に受け入れられたのだった。
◆◆◆
「……フィアル君、起きて。朝だよ」
まどろみから少しずつ覚醒していく感覚があり、そっと目を開ける。そこには人の頭蓋骨があった。
「……おはようございます、スーさん。わざわざ起こしにきて頂いてすいません」
「気にしないで。私、居候だし。さあ、早く起きないとエレナさんが怒るよ」
「あい」
スーさんはうちに住む事になりました。あの祭りの後、是非自宅に聖女様をお迎えしたい、と言う村人達が多数表れたものの、当のご本人の意思によって我が家に住まわれる事になりました。
偶に村の老人とかが、うちに訪問してきてスーさんを拝んだり、握手してもらったりしに来ます。……腰痛が治ったり、お肌の調子が良くなるんだと。温泉か。
ロイ父ちゃんはルリィ先生を通して知ってたから文句は無し。エレナ母ちゃんは最初戸惑ってたけど、二日目には慣れた。
ネージュはおうちの中にスーさんが居るのでご機嫌。兄と一緒に居る時より機嫌いいかも知れない。くぅっ、兄など要らぬと申すか!(泣) こんなに苦しいなら、悲しいなら……、これ以上は止めよう。
まあ、風変わりだけども優しいお姉ちゃんが出来たみたいで、僕は嬉しいかな。僕は部屋から出て行くスーさんを見送って、ベッドからもぞもぞと出て行く。
ピピピッ
ん? メールが来たみたいだ。誰だろう…って朱美さんしかいないか。朝も早くから何じゃろな~…。
件名:『泥棒猫の気配がする』
朱美さん、嗅覚するどいっすね……。でも居るのは聖スケルトンさんだけです。
僕は『気のせいだよ』との返信メールを一分以内に送るべく、眠い目を擦りながら指を走らせるのだった。
無駄に変な設定作ったせいで、微妙だったスーさんの立ち位置を整理しました。次回こそは、変身ヒーローで悪役を倒す話を書こうと思います。いえ書きます!
題して、『第9話 襲来! 魔改造ゴーレム!』。気長にお待ち下さい。