修学旅行まであと一週間!?
-キーンコーンカーンコーン。
昼休み。
「ついにあと1週間だな。」
友人に声をかけられた、とても爽やかで、逆にそれが気持ち悪い。
「なにがだよ。」
俺は興味なさそうに答える。
すると友人は
「修学旅行に決まってんだろ、修・学・旅・行!」
と耳元で叫んだ。
「あー…うっせーな、そんくらい分かってるよ。」
「えーっと、どこ行くんだっけ?」
「はぁ?お前一週間前にそんな呑気なこと言ってんじゃねーよ!沖縄だよ、お・き・な・わ!」
…どうやらすごく楽しみらしい、俺はあんまり興味はない。
「沖縄かー、暑そうだなぁ…めんどくせぇ」
『めんどくせぇ』俺の口癖だ。
何となく言ってしまう、これのせいで人を怒らせる事も少なくない。
「おまっ、めんどくせーはねぇだろ!俺がこんなにも楽しみにしてんのによ!」
本当に楽しみだったようだ…。
「なっ!皆もそうだよなぁ!」
友人はクラスの連中に向かって呼びかける。
「おーっ!」
という声があちこちから上がる。
…わけもなく、「あはは…。」とかいう愛想笑いが返ってくるだけだった。
「どうやらお前だけみたいだな。」
絶句して固まっている友人に俺が言った。
その瞬間、タイミングを見計らったように教室後方のドアが勢い良く開かれる。
「ガタンッ」と音を立てる程だった。
「はぁ、やっぱり来たか…。」
「おーきたきた。」
俺と友人が同時に言った。
「ふふふ…。どうやら私の出番のようだねぇ。」
よく居るバカのような台詞を言いながら入ってきた奴、一応女子生徒なわけだが…。
名前は、大野真理。
男っぽい性格で学年でもそこそこ人気がある。
そのくせ俺なんかと絡みたがる変わったやつ。
「真!あんただけじゃないよ、私だってとっても楽しみさ!」
「なんたって私たち『真』の友達だもんね!」
「真理っ!」
目を輝かせて手を握り合う二人。
「『真』ってギャグかよ…。アホらし。」
言い忘れたが、友人とは前原真のことである。
名前以外特に気にしたことはないが、運動が出来てそこそこモテる。
…ただし「変態」
「ついてぇねぇよ…。」
俺はそんな言葉を吐き、机に伏せた。
しばらく二人が騒がしかったが、眠気には勝てなかった。
俺の名前は神田樹。
どこにでもいる普通の高校生で、頭がいいわけでもないし、運動が出来るわけもない。
これといって得意なこともない。
趣味はギターくらいのものだ。俺が生まれる前に死んだ父親の形見が古びたアコースティックギターだった。
母親に「父さんはね、ギターがすごく上手くて、私のために歌を作ってプレゼントしてくれた事もあるのよ。」
と照れながら言われ、小さいころの俺は「じゃあ僕もお母さんに歌をプレゼントしてあげる!」とか言って始めたのがきっかけだと思う。
人並みには出来るつもりだが『上手い』と威張れる程でもない。
でもいつか誰かのために歌を作ってプレゼント!
…みたいな事が出来ればいいと思っている。
遺伝なんだろうか。
初投稿となります、榊純です。
これからちまちま投稿していくので、お楽しみいただけたら幸いです。
自分も学生のとき、こんな経験をしたかったなぁ、と言う希望が詰まっています。