今回のミッション
一同揃って小会議が始まる。
カダル大佐は、席を立った。
そして、掛けられたスクリーンへの画像表示を部下に指示する。
「では、これを見ていただきたい」
スクリーンには、大きな日本地図の一部がパッと映し出された。
その一部、太平洋上には舟型の印とバツ印に矢印が付いている。
「和歌山県より北に約300kmの海上に、我が軍の新型戦艦<常盤山>が駐留し、演習をしているのは皆もご存じの事だろう」
ホルスウィンドの隊員達は、みなその言葉に頷いた。
……石刀名中尉を覗いてはであるが。
「この位置より南約200kmに、<MAMY>の襲来を確認した。数は2000でM2、M3の存在もあり得る。奴らは富士山に向けて北上中だが。進路が近いため、当戦艦はこれらと交戦する事になる可能性が高い。そこで、我々は急きょ、それの援軍に向うことになった。出来れば奴らが戦艦に辿り着く前に交戦して撃破したいと思っている」
「大佐!」ヒルダが挙手をした。
「なんだね? サイトー中尉」
「戦艦はその場を離脱する事は出来ないんでしょうか。新造艦の推進力はかなりのものと聞いているんですが……」
「流石は、我が隊のエース。良いところに気付いたな。そう、実はな戦艦のエンジンにトラブルが生じたんだ。移動は不可能ではないが速度が出ないらしく、離脱するまでに<MAMY>に追い付かれる危険性が高い。よって、我々の援護は必要だろう。勿論、他の基地からも援軍は行くだろうが、我々精鋭部隊<ホルスウィンド>は比較的現地に近い位置、G県K基地に居るのだから目的地に着くのもかなり早くできる。任されて然るべきと言ったところだろうな」
「なるほど、運航に問題が生じているわけですか。では、一刻も早く援護に向わねばなりませんね」
「その通りだ。この会議の後には私も含め即座に現地に向う事になる。武装の事は既にドックに言って、海上戦闘用の武装に換装してもらっているところだ。30分くらいで完了すると言っていたから、おそらくもう完了している事だろう」
カダル大佐は、皆を見回した。
隊員はみな、準備は出来ているという顔つきだ。
……石刀名中尉を除いては。
「みんな特にM2には気をつけてくれ。あれは、水中から攻撃を仕掛けてくるからな。あまり低空での戦闘はしないように、エリアルトーピードで仕留めるように。では、皆の健闘を祈る」
大佐が話を終えると、一同敬礼した。
石刀名中尉もさすがにこれは従ったが、内心は面倒くさいと思っていた。