犬猿の仲?
石刀名中尉の元にヒルダ中佐がやってきて、緊急招集の事を告げる。
2人は会議室へ向かう事になった。
「あんたねー! こんな時に、何居留守なんか使って! 一体どういう神経してるのよ!?」
「別に。私の神経は一般常識のそれとは違うんだよ。大体、いつものことじゃん!」
「いつもの事だからって、いつもやって良いわけじゃないの! このバカメガネ!」
「言ったな! このツンデエレ野郎め!」
会議室に向かう途中、2人は周りに構わず堂々と口論を繰り広げた。石刀名中尉と、ヒルダ中佐の仲はこの基地内でもかなり有名だ。会うたびに喧嘩をしているような錯覚を覚えるくらいに2人の会話はいつもこんな調子である。
「まったく、私はあんたよりずっと上の中佐なんだから、ちょっとは敬いなさいよね!」
「悪いけど、こっちはそう言うの興味無いんでね」
「興味無いって……あんたは軍の人間でしょうが!? そんなに身分の差がどうでもいいって言うなら、ココなんて辞めてそれらしい平等な付き合いができる職にでも就いたらいいんじゃないの?」
「やだね。大体、私がいなかったら戦況変わっちゃうよ? 一応ウチの主力なんだからぁ? 人命尊重戦果尊重! 二ヒヒ~」
「くっ……こいつ、本当に性格ねじ曲がってるわ!」
ヒルダはプクーっと口を膨らませた。
変人石刀名中尉を相手にすると、大概はこうやってふくれっ面をする羽目になっていた。
そして、当の石刀名中尉はそれを面白そうに眺める。
「アハハ~曲がってこそ人生なのだよ! ……んで、今回は何があったわけ?」
「それは、後々聞く事になるわよ」
「ちぇー、勿体ぶって。どうせ、MAMY絡みでしょ?」
「そうよ」
「イヒヒ、やっぱそれしか無いもんね~」
「ったく……気楽な言い草して。緊張感の無い奴!」
「任務でガチガチに固まってちゃ恰好の獲物になるだけだって。世の中フワフワきましょうや!」
「何がフワフワよ! さっさと弾けて頂戴っ、この風船バカメガネがっ!」
こうやって、やり取りをしていると、いつも目的地にはあっという間につく。
それどころか、ちょっと通り過ぎていた。
「ありゃ、会議室スルーしちゃってたねぇ。えへへ」
「もー! あんたが要らない事ばかり言うから……ブツブツ」
2人の腐れ縁は、今日も好調(?)であった。