急速回避、そして作戦は……
プラズマ維持収束砲が遂に放たれる。
新型生物兵器の装甲を貫く事が出来るのか!?
石刀名中尉の生死は如何に!?
「ちゃんと、よけてくれよ……」
チョウウジョウ中将は願った。
光の一撃が放たれる前のほんの一瞬に。
石刀名中尉には、その一瞬がものすごく遅く感じた。
パイロットとして類稀なる才能を持つ彼女の脳は、高速で撃ち出された光の束をスローに映し出す。
今だ!
トリガーを引き機体を急速上昇させる。
オーラングゼーブ改は、山なりを描いて夜空に勢いよく駆け上がった。
そのすぐ後に、眩い光と轟音が巻き起こる。
回避は無事成功した。あとは、巨大な怪物兵器が眼下で破壊されていれば今回の作戦はすべて達成される。
「ふー! 助かったぁ。 さあて、敵さんはどうなったかな?」
石刀名中尉は機体を旋回させる。
すると、黒焦げになった巨大生物兵器の残骸があった。
残骸は沈黙。
海の中にずぶずぶと沈んでいった。
「よし、さすが中将! 見事命中させてくれたね!」
「つぼみ!」
ヒルダ中佐から、通信が入った。
「やったね。 一時はどうなることかと思ったけど、国の技術が追い付いててよかったわ」
「にひひ! 今回は私が良いとこ全部もらっちゃったね!」
「ふん、偉そうに……あれくらいの事なら私でも出来たわよ! たまたま、あんたの機体が軽かったから任せただけ」
「ほー、それはまたスゴイ自信ですなぁ。同じ状況に出くわした後にそんなことが言ってられるかどうかどうだか~」
「ふん! このバカメガネザル! モテない歴××年!」
「それをここで言うかね!? さすがに聞き捨てならないねんけど~」
こうして、戦艦を守る戦いは終わった。
石刀名中尉とヒルダ中佐の言い合いは全て、戦艦のクルーたちの耳に入っていた。
「本当の事じゃない! 腐れオタクのド変態の二次元妄想メガネザル!」
「ああ、ええと…… ヒルダ、回線全部開いてるよ?」
次回が最終回です~




