緊急事態
石刀名中尉は、(自分勝手に)早速戦場を飛びまわりMAMYをドンドン倒してゆく。
「もうっ……あのメガネザルは連携と言うものを知らないんだから!」
一方、ヒルダ中佐の、桃色のオーラングゼーブIDSも順調に敵を倒していた。彼女もまた、石刀名中尉に全く引けを取らない、否、それ以上の天才型パイロットなのだ。口を言いながらでも余裕で高速移動し敵を撃墜させる。
「……77っ! この程度のぬるい弾幕なら余裕よ!」
「サイトー中佐!」
「カダル隊長?」
通信が入ったので、ヒルダは一旦的と距離を置く。
「どうかしましたか?」
「ああ、B基地とT基地から救援が来たんだが……」
「それは、助かりましたね!」
「いや、それがな……」
「えっ?」
「途中で謎の生態機体と交戦、大半の戦力を失ったそうだ」
「なんですって!? じゃあ、その兵器は今どこにいるんです?」
「戦艦に向かっているとのことだ」
「そんな! じゃあ、はやく阻止に向わないと!」
「ああ、ただ、こいつらは放っておけない。石刀名中尉とべック、ササラギにはここに残ってもらって、残りのメンバーであちらに向おう」
「はっ!」
カダル大佐との通信を終えると、ヒルダ中佐はすぐに通信を石刀名中尉に回す。
「つぼみ!」
「……はーい? なんスか?」
「緊急事態よ! 戦艦の方に謎の敵が進行してるみたい! 私と隊長はそっちに向うから、あんたはここに残ってMAMYを喰いとめて! 」
「えー、無茶言うなぁ」
「そんな事言ってる場合じゃないの。あんたとその機体だったら何とかなるでしょ?」
「まあね。私ってば一騎当千的存在だし」
石刀名中尉はいたって平然としていた。
こういう大変な状況ほど逆に燃えてくるのが、ロボットアニメが大好きな彼女なのだった。
通信が消えると愛機「神撫」は加速を再開し、かの名馬赤兎の様に乗り手を暴れさせる。
「さあさあ、孤軍奮闘だ! ここからは一機たりとも逃さないからね!」
機体を回転させながら発射した6つのホーミングミサイルは、一気に3体のM3を撃破した。




