先行権
いよいよMAMYとの戦いが開始される!
包帯のようなものが巻かれたその生物兵器たちは、敵の存在に気が付くと、今まで規則正しく隊列をなしていたものがふわふわと乱れだし、乱れ飛び始めた。所謂、彼らの戦闘態勢だった。しかし、毎度の事ではあるが、その態勢に入るまでに若干時間を要するため、ホルスウィンド隊はそれを利用して先に攻撃を仕掛けることができた。
小型のM1の破壊は容易い。機関砲を数発打ち込めば撃ち落とすことができた。石刀名中尉は、早速前方の敵に的確に射撃を加え56体を難なく撃墜した。ヒルダ中佐も負けじと54体を撃破し、残りのメンバーもそれに続く。
赤い光線があちこちに飛び交って、太平洋は赤い光に染まる。
このMAMYの放つ赤い光線たちは、強力なものだと戦闘機の翼を打ち抜くほどの破壊力を持つ。オーラングゼーブ型の新型機は走行が厚いが、おいそれと当たれるものではなかった。
「うんうん、単調な攻撃だ!」
「こらっ! 油断しない!」
「わかってるて!」
石刀名中尉は自信ありげに暗い海を見回す。
海の中からも赤い点が見えていた。敵は空だけではない、海の中にもM2がいるのだ。
「下からにも注意しないと……けど、まずは上から倒そう! ヒルダ、こっちは向こうのM3に向かって飛ばすよ? ここは、まかせた!」
「ちょ、ちょっと!?」
ヒルダが、勝手に動くなという前に、石刀名中尉は行ってしまった。
敵陣深く、大型生物兵器が屯すところへ。
「これ以上、増援は出させないよ! さっさと墜ちちゃいなっ!」
全速力で戦艦くらいはありそうな浮遊物体に近づくと、機体両翼のメーザーカノンを放つ。
その威力は、山に穴を開けるほどで、M3の脇腹に大穴を開けた。大きな包帯を巻かれた生物兵器は煙を上げて夜の海に落ちてゆく。
「楽勝楽勝! どんどん倒す!」
オーラングゼーブ「神撫」は今日も絶好調といった感じで、空をすいすいと飛び舞った。




