体力ジリ貧です…共にテンパりました…
テスト終わりましたー!!お待たせしました!!更新します!こんな私の文章を待ってくれるユーザー様達のために早めに書きました。後、作者のユーザーページの活動報告にやっちまったの小ネタを載せていますのでよろしかったら覗いて下さいね?それではどうぞお楽しみください!!
社内・四階踊場にて、
4階の入り口に入ろうとして拒まれている男と男に姫抱きにされて、頭から血を流してグッタリしている女の姿があった。
端から見れば見えない壁に阻まれて前に進めないパントマイムを披露しているように見えるが、
バチィ!バチバチィ!
男が進もうと足を一歩前に出すと電流のようなものが走る。
「ぐっ!!(結界を解く時間が無いからこうして体当たりで結界をワザと発動させて妖力の貯蔵をすり減らしているんだが…!!後、少し…。後少しで結界が壊れそうなんだ!)」
男--、黒也の身体はボロボロだった。電流で服は若干焦げ、結界に触れた皮膚は焼け爛れている。
「うあああ…」
後ろの階段からリビングデッド状態の社員が足音を立てながら迫ってくる。
ジ…ジジッ!バチ!パチッ!
オフィスの入り口が波紋状に歪み、切れかけの蛍光灯のように弱い電流が時折、走る。
(どちらもギリギリだが、間に合うか…!?)
はぁはぁと肩で息をしながら結界を見据え、彼女--、明日香を抱きかかえ、走る。彼は彼女を離そうとはしなかった。
それは加護欲か、愛護欲か、それともこの期に及ぶまでの強い独占欲か。
「ウガアアアアッ!!!」
獣のような咆哮を上げ、体当たりする。
パキィィィ!!
「なっ!?っとおおおお!!」
ダンッ!!
体当たりしたと同時に割れ、体勢を崩したが足を前に出して持ち堪える。
「割れたか!?」
入り口を見やり、確認する。
「大丈夫か!?おい!返事をしろ!明日香!!」
彼が抱きかかえている女に揺さぶりながら声を掛ける。
この時、明日香は気を失い、とある夢を見ていた。
(これは昔、金曜ロー●ショーでやってた…嘘!やだ!!絶対やだ!!嫌々嫌々!!マジで嫌!!これのオチって核爆弾落とされてお終いのやつじゃない!!)
その内容は当時、人気を博していたコメディホラー映画【バタ●アン】。そして明日香はその中の登場人物のひとりになっていた。
(イヤァァァッ!!!走って追いかけてくるっ!!脳みそくれとか言いながら追いかけてくるっ!!)
「うーん…。…うーん…」
黒也が体当たりしている時はうなされていた。
(ハーゲンタフがっ!!タールマンがっ!!オバンバがっ!!なに!?「俺をホントに愛してるなら、脳みそチョッピリかじらせて?」ギィャァァァッ!!こんなことになるなら恋人なんか作らない!!私、惚れたら尽くすタイプだけど、ここまで献身的になれる自信がない!!)
「うう…。…うえぇぇん…」
夢の中でパニックを起こして泣いていました。
そして現在、揺さぶられている状態では、
(ああ…、全てが眩しい…。目に映る人や物が光に還って行く…。熱い、と叫ぶ暇すらなく…私は跡形も無く消えていくのかなあ?せめて、建物の壁に影が写ってるといいなあ…)
※ちなみに建物に影が写ると言っているのは核爆弾が爆発した時、壁の残骸に人の影が写っていたというのを知っていたから。
ついにラストシーンに突入。
やたら詩的な最期を迎えようとしています。
(なんだろう?やけに耳に響く声が聞こえてくる…。爆発音?叫び声?よく聞こえない…)
「…きろ!目を覚ませ!明日香!!」
(ふふっ。何を言ってるんだろうこの人。もう灰すら残すこと無く消えるというのに…。あぁ、段々意識が遠のいていく…)
「目を覚ませ…!!死ぬなっ!!…私はまだ、お前に言っていないのに…っ!!」
「う~ん…んんっ?」
パチッ。
目を覚ました。
「ん?えっ!?うえぇぇぇっ!?黒也君なんで泣いてんの!?誰に泣かされたの!?まさか…、あの時目を閉じたのが失敗したんだ…。ゴメンね!?ああっ!!こんな酷い火傷を負って…。どうしたの!?」
おたおたと慌てている。
「あ、いや…大丈夫、ですよ…?」
顔の涙を拭い、頬を赤らめてしどろもどろになっている。
「えっと…、今、何階?」
とりあえず状況を把握しようとする。
「…四階です」
「あ、ありがとう!私はさっき寝て大丈夫だから黒也君は休んでて?私はちょっと下見てくるから」
もちろん空元気だ。顔が…血に濡れて顔色が判らないが、足元がふらふらになっている。
「危ないですよ!?」
勿論止めるが、
「大丈夫よ!!さっきから足音聞こえないし…。それに…」
スカートの裾を持ち上げ、中に手を突っ込んで漁る。
すると、
ドサッ!!ガチャガチャッ!!
大柄な拳銃やら、鞘付ナイフがスカートの中から落ちてくる。
ガチンッ!!
銃(S&WM500)を携え、ナイフ(ソードブレイカー)を構える。
「相手の五体を考えられるほど余裕が無くてね?…なりふり構ってられないの…」
月明かりに照らされ銃は鈍く、ナイフは鋭く光る。
「…………」
言葉を失う黒也。
先程まで自分に優しい微笑みを向けていた彼女とは違い、狩人のような冷徹な眼差しに変わっている。
ヒロイン性が皆無であるどころか、ぶち壊しである。
「それじゃあ見てくるね?」
にっこりと笑い掛けるが黒也は恐怖に慄いていた。
明日香side
階段を降りているが誰一人として立っていない。
「あれ?全員気絶してんのかな?さっき頭蹴ったけど無反応だったし、そんなにヒールも高くないし踏んでみるか…」
近くに寝転がっている一人の背中を踏む。
ぎゅむ~。
「んー…?かかとでぐりぐりしてみるか」
ぐりぐり。ぐりぐり。
端から見たらSMチックな光景である。
「無反応か…。よし、じゃあこっちも踏んで無反応なら納得しとくか…」
ぎゅむ~。ぐりぐり。
どこを踏んでいるかは言わないが相手が男である事と踏んだ場所が急所である事だけは追記しておく。
2階まで降りた結果、誰一人として立っていない上に気を失っているということが判明しました。
四階に戻り、給湯室に入る。
「黒也君。火傷大丈夫?一応冷やしてるけど、痛かったら言ってね?」
調べに行く前、明日香は火傷を負った黒也を給湯室に連れて行き、水道を通っている事を確認して黒也の火傷を冷やしていた。
「すみません…」
「黒也君が謝る事なんて無いのよ…。むしろ守ってあげられなくてごめんね?薬塗るから上着脱いでくれるかな?」
黒也を椅子に座らせ、テーブルの上に置いてある塗り薬(スカートの中から取り出した)の蓋を開け、人差し指で掬う。
「はい…。分かりました…(まさか傷の手当てを受けるとは…不甲斐ないな…。)」
上着を脱ぎ、椅子に掛ける。窓から差す月明かりが白いYシャツを柔らかく輝かせていた。
「ちょっと腕捲るね?」
黒也のYシャツの袖をたくし上げると痛々しい火傷の後が残っていた。
「……っ!」
たくし上げた時に肌に当たっていた布が擦れて痛みが走り、顔を歪める。
「痛かったら言ってね?」
火傷を負った右腕に塗り薬を付けた人差し指が優しく触れる。
ヒリヒリと痛みを感じていた腕に外気に晒され、冷えたクリーム状の薬が塗り広げられる。
(…そういえばお前と最初に出会った時も、私は怪我を負っていたな…。
最初扉を閉められた時は絶望するより諦めの方が大きかったよ…。
だから…、だからもう一度扉が開かれた時お前が居た事が不思議で仕方なかったんだ。
まあ、その直後、アホガラス呼ばわりされた挙げ句、かばんに突っ込まれて、あのやたら舐めるような視線で見てくるオカマ獣医の元に連れられたが…。それでもお前が手当てしてくれたとき、私の心はひどく満たされたんだ。アホと怒鳴ったとは思えない優しい手つきで包帯を巻いてるお前の顔を見た時、とても真剣な表情で私の手当てをしているお前はとても…、とても綺麗で美しかったよ…)
「酷い…、右肩まで火傷してるなんて、…しょうがないな…。黒也君。Yシャツ脱いで上半身裸になってくれないかな?」
「…はい、…ん?(今、返事をしたが【脱げ】と言われたか?)」
「………………うわああっ!!まだ早い!!早いんだっ!!時期尚早というやつだろう!!…まあ、それでも明日香が脱げと言うならやぶさかではないが…。しかし……いや?善は急げと言うし…こんなチャンスはまた巡ってくるだろうか?」
「あの…、黒也君?」
いきなり叫ばれたうえマシンガントークよろしくな独り言を喋り出した黒也に若干怯えている。
「…よし、解った。脱ごう。だ、だが…、お願いだから…、少し、後ろを向いて貰えるか…?」
明日香の肩を掴み、ぐりんと後ろに向かす。
「あ、いや、黒也君あのね?」
カチャカチャ。
「ちょっ!!待って!!なんで金属が触れ合う音って、ズボンは脱がないで!!」
顔を赤らめてんだか青ざめてんのか分からないほど慌てている。
「なな、なるほど…、ズボンのファスナーを下ろすだけでいいのか?」
こちらもかなりテンパっている。
「黒也君!?違うの!!私が言った意味とは違うのよ!!とんでもない勘違いしてるよ!?」
「だだだだ、大丈夫だ!!私は責任はちゃんと取る男だ!!ああ明日はご両親に挨拶に行こう!!」
「黒也君!?落ち着いて!!お願いだから少し落ち着いて!!だからズボン脱がないで!?ファスナー下げないで!?」
えー…、空気がなんだか怪しくなってきましたので省きます。
数分後。
黒也は上半身裸になり、右肩に包帯が巻かれていた。
そして、羞恥で顔を赤らめて明日香と背中合わせになるように正座している。
「あ…、えっと、なんかごめんなさい…ね?」
こちらは一旦顔をタオルで拭いたもののどうしても頭から血が流れてくるため頭の殴られた箇所をタオルで抑えながら、顔を赤くしている明日香。体力を使った所為か、ぐったりしている。
「いえ!僕の方こそ、勘違いをして取り乱してすみません…」
なんとも居心地の悪い空気が漂っている。
「服…着ますね?」
「あ、うん私は、後ろ向いとくから着れたら言ってね?」
「はい」
布の擦れる音が静かな空間に聞こえてくる。
(後は非常階段に繋がる扉の鍵を壊して外に出て、階段を降りれば終わりだからもう少しよね…。今帰るから待っててね)
死亡フラグ的なものをぶっ立てた人が居ます。
「着終わりました。もうこっち向いても大丈夫ですよ」
「あ、うん。じゃあ非常階だ……」
安堵した表情で帰りの手段を言おうとした瞬間、
ジリリリリリリリリリッ!!
「うわっ!!今度は何ですか!?」
「火災報知器が鳴ってるんだと思う!!もうすぐ鳴り終わってスプリンクラーが作動すると思うから早く外に逃げ…」
バゴンッ!!ガララッ!!
報知器で聞こえにくい為、大声で喋っていると五階に繋がる階段からコンクリートの砕ける音とひしゃげた鉄製の扉がデスクに飛んできてぶち当たる。
「なんで言い終わる前に次から次へと来るの…よ…」
彼女は給湯室から出て、五階に繋がる階段を銃を構えながら見据えるが、その人物を見て言葉に詰まり、驚愕して目を見開いていた。
プシュー!!
スプリンクラーが作動し始めた。
砕けたコンクリートの砂煙がスプリンクラーの雨で晴れ、そこに居た人物がはっきりと見える。その人物は、
「うそ…。はる…と…?」
「……………………」
彼女の元彼である八雷 遥人であった。