犬・鬼VS白面金毛九尾の悪狐!!…汚い手を使ってしまいました…
さて、間に合ったかな?今回はタイトルにあるようにきちゃない表現がありますので、お食事中の方は読まない事をお勧めします。
それではどうぞお楽しみ下さい!!
時は少し戻って、外の様子、
「うあー…、あづい…、汗が…止まらない」
おんぶされている犬耳を生やした男が汗だくになりながらだれている。
そこの状況はさながら熱地獄、と言ったところだろうか。
地面に落ちる前に汗は乾き、目や口を開ければ焼けるような熱風、遠目からでは誰が居るのか判らない程の陽炎が立ち上り、そこに居るだけで炭になるどころか灰になりそうな程の熱が渦巻き、夜空を赤々と染めながら未だに冷める様子が見れない赤く焼けた地面。
ただし、これは常人という人のカテゴリーに入った者がなりうる事であり、今現在そこに立っている二人は当てはまらないが…。
「いや、なんで旦那の方がだれてんですか?」
「暑い…、というか熱い…。後、お前から預かってた服と靴…、溶けたから捨てたぞ…」
「ちょっ!?あれ結構気に入ってたのに!!」
「石油製品ってのは熱に弱いからなー…。半妖に戻ったらあれの鼻を突く匂いが物凄く嫌で捨てたんだが、地面に着いたと同時に燃えるわ溶けるわ異臭を放つわ…。気持ち悪くなって吐きそうだった…」
青い顔をして雅鬼に裸足でおぶさっている緋牙は犬耳とフサフサな尻尾を生やし、甚平を着ている。目は赤く、両手足の爪が伸びて鋭く尖っている。ただし、雅鬼の背中でだれている。
一方、平気そうに焼ける地面を裸足で立つ雅鬼の身体中には炎をかたどった刺青が満遍なく入っている。
服装も変わり、上半身はほぼ裸で腹にサラシを巻いてある程度、上着に袈裟を着ており、下半身は袴を履いている。全体的に生臭坊主に見える。そして、髪が伸び、角が生えた。髪は肩に掛かるかどうかな長さで、角は牛のようなもので二本生えている。
「ぜってぇ吐くなっ!!服汚れるし!!何より今此処で吐いたら、吐いたやつまで蒸発しますよ!!えもいわれぬ匂いが俺らを襲いますよ!?」
吐かれたくないからか、上下関係を忘れている。
「うっ…。想像したら気持ち悪く…」
片手で口を塞ぎながら汗をかいている。
「想像すんなよ!!」
「お前ら…、いつまで私を無視してんのよぉぉぉ!!つか何?その格好?私の事ぉ言えないじゃない!!」
術を使ってからまるで相手にされていない玉藻さん。
「ああもう、お前は黙っとけ!!こっちは今、手一杯なんだよ!!」
「なによそれぇ!私を最優先にしなさ「知るかっ!!」…いよ…。くうぅぅぅ…!!!いいわよ、分かったわよ。あんた達は他の奴らに比べて顔がいいし、せめて私に這いつくばって許しを乞うなら、生かしても良かったけど…。もういい。あんたらがごちゃごちゃしてる間に、備長炭みたいに真っ黒焦げにしてやるわよぉ!!」
ゴオオオオ!!
色々な場所から火柱が上る。
「そんな程度の火力なら俺には効かねえよ!!…てか、さっきから焦げた匂いとくすぶっている音が後ろから聞こえてんだけど…」
シュボッ!メラメラ…。
「うぅ…なんとか収まった~…。また煙が…、ん?あれ?…なんで…尻尾が熱いんだろうなぁ~…?」
嫌な予感がして、チラッと自分の尻尾を見えるように上げる。
そんな予想が当たったようで、毛の先端が地面に着いたのか、出火していた。
「ギャーー!!!燃えてるー!!」
ブンブンと尻尾を振って火を消そうとしている。
「…俺が言うのもなんだけど…、俺ら思ったよりも緊張感ねえな…」
「私もぉ言わせて貰うけどぉ、なんでこんな場を白けさせるのが上手いのよ…」
「うう…、消えたけど尻尾の毛がチリチリになったぁ…」
シリアスムード満載なこの状況でシリアスからどんどん遠ざかっていくというこの現状。
「もうとりあえず炭になって?」
火の玉を遠慮なく投げつける。
「なっ!?あぶねっ!!」
雅鬼が避ける。
「うっ…」
「あら、避けるなんて酷いですねぇ」
「てめっ…。白けたんじゃねえのかよ…」
「確かに白けましたけど私のプライドに傷を付けた代償には到底及びませんよぉ。人をほいほいと振るような奴に屈辱を味わって…。だから…、だからあんた達をぶっ殺す事には変わりないんですよぉぉぉ!!?」
ふよふよと玉藻の周りに火の玉が集まり、その一つを投げる。
「そんだけかよ!自己中おん…」
それを難なく避けたが、
「爆ぜちゃってぇ?」
パチンと指を鳴らす。
バンッ!!
火の玉が大きく膨れ上がり、爆発する。
「なぁぁぁっ!?って、爆発するなんて聞いてねえぞ!!おい!」
爆風に煽られ、吹っ飛ばれるも、無理な体勢でなんとか着地する。
「うぅ…。も…やめ…激…し…」
「まあ、さっきは激情に駆られてましたしぃ、単純な動きしか出来ませんでしたけどぉ本当はこれくらいは出来るんですよぉ?」コロコロと鈴の音色のように笑うが、顔が歪んで見える。
「さあ、鬼ごっこでもしましょうかぁ?勿論、鬼は雅鬼さんですけどぉ、追いかけてくれないだろうから私が特別に鬼になってあげますねぇ?うふふ♪」
「うわ、この状況でさらにムカつく事言っちゃってくれて、まあ、遊廓だったら即刻、追い出されて客の付かねえ夜鷹にでもなってそうだな。この女」
※夜鷹とは最低位置にいる遊女の事。雨宿り出来たらいいねって位低い位置です。
「あらあらぁ、とりあえず侮辱した事だけ分かりましたんでじわじわ痛めつけるのは辞めましたぁ。速攻死ね。口が減らない男は嬲るよりあっさり殺した方がいいと思いますしぃ?」「もう…駄目…」
さっきから蚊の鳴くような声で苦痛の言葉を発している緋牙は二人に無視されていた。
「さて、良い声で鳴いて下さ…」
「う…、おええええええ…」
我慢出来ずに吐いた。
作・お食事中の方すみません。
「「…………」」
「うぅうう…うげえええぇ…」
ダンっ!!!
雅鬼は無言で緋牙を抱えたまま脱兎の如く全速力で玉藻から逃げた。いや、正確にはそこにある----、
緋牙が吐いてしまったモノから逃げたのだ。
ジュワワーー!!
地面に触れたそれは良い音を立てて蒸発し…、
ズモモモモ。
臭いが立ち込める。
作・お食事中の方に重ねてすみません。
「うっ!!!」
喋っている間に吐かれ、しばし呆然としていた玉藻だが匂いに気づき、鼻を押さえる。
(喋れない!目にクる!早く逃げないと…!!)
最早喋れない。
もがきながらそこから逃げる。
一方逃げた雅鬼達は、
「うええええ…」
まだ吐いていた。
一応雅鬼に掛からないように首の向き変えて吐いている。
「だからあんなに吐くなって言ったでしょうがあああ!!」
そして雅鬼は止まる事無く走っている。
そして彼らを追うように蒸発する音が後ろから付いて来る。
「だあああ!!身内の体調不良でこんな目に遭うなんてツイてねえにもほどがあるわぁぁぁ!!」
「うげ…。…もう終わった…」
吐き終わった緋牙が、ぐったりとしながら返事をするもまだ雅鬼は走る。
匂いがしないところまでただひたすらに走る。
その時、
パキイイイイン!!
ガラスが粉々に割れたような音が鳴り響いた。
そして赤々と染まっていた地面が元の色に戻って、熱を発していた地がどんどんと冷めていく。
何より--、
「結界が、消えた…?」
「え、マジですか!?だったらビルの方に行きますか!!」
方向転換をしてビルの方面に走っていった。
そして玉藻はビルの屋上にいた。
「なんで…!!嘘…、力が出ない…!?」
九つの尻尾は消え失せ、頭の耳も消えた。
彼女の髪には青い紐が巻かれていた。
それはかつて黒也を追い詰めた【魔妖封じの紐】。
それなのに彼女は妖術を使っていた。
それは【何か】による供給を絶たれた為。
ただ言えるのは舞台は本番に移った。
後は演じる役者を待つばかり。演じるのは喜劇か悲劇か。結末はハッピーエンド(大団円)かカタストロフィー(破局)か。さてカーテンオープン(開幕)はまだだろうか?
【小ネタ劇場・意外と敏感。その②】
ひ・あうあうぅぅ…。ご主人酷いですよぉ…。
顔を真っ赤にし、目が潤み、肩で息をしている。
そのため明日香からぶっちゃけエロいと言われた緋牙。
あ・いや、さっき気づいたからね?意地悪でやったわけじゃないんだよ?
ひ・ほんとですか…?
ジト目で見ている。
あ・ほんとほんと!!というかなんでそんなになるのに触らせたの?
ひ・ご主人ならいいと思ったんです…。俺にとって尻尾と耳はかなり敏感で本来なら触られる事自体が嫌なんです。例えば雅鬼の角だってそうだと思いますよ?昔、他の奴に触られた事が有りましたけど噛みましたもん。
あ・じゃあなんで触らせたの?
ひ・さっきご主人に無遠慮に触られた時にそんなに嫌じゃ無かったんです。むしろ心が満たされている感じがして嬉しかったんですよ。
あ・私はどこぞの女王様か…。
ひ・俺はご主人に尽くしたいと思いますよ?
あ・マゾかよ…。
ひ・やだなあー。俺がもしご主人と一緒に蜜月を過ごせたら俺、暴走する自信がありますよ!!昼夜問わずに性的な意味で抱き潰しますよ?ご主人がお風呂上がりで髪拭いてる時に見たうなじに噛み痕付けてみたいって思った事もありましたし…。
とんでもない事をさらりと言ってのける。
あ・やだ変態。
嫌そうな顔で引いている。
ひ・えー…。これでもマシな方を選んで言いましたよ?
あ・…ちなみに他のは?
ひ・ご主人の体の色んな所を舐め回したいとかですね。
あ・…聞かなかったことにする。
ひ・とりあえずご主人が見逃せばつけあがりますし、ご主人が構ってくれるならそれはそれでいいし、一番嫌なのが無視される事ですね。
あ・基本的にMなんだ。
ひ・俺がこんなんなのはご主人限定ですよ?俺を見て欲しいし、嫌われたくないし。でもご主人はなんだかんだ言って甘いですしそれも好きです。飴と鞭の使い分けが上手いですし。
あ・あんたそんな恥ずかしい事よく言えるわね…。
ひ・そうですか?ご主人は甘えさせてくれる時は心安らぐまで甘えさせてくれますし、行き過ぎたら止めてくれますし、しかも大体が拳骨一回で終わりますからそんなに精神的にも肉体的にも負担が掛からないんですよ?
あ・まあ、過ぎた事グチグチするよりかは、一回で終わらせた方が後腐れ無くていいでしょ?
ひ・(その男らしさが玉に傷なんですけどねー…)
終わり?