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絶望の中で足掻く先に…決意が決まれば女は度胸!

いや~、焦らすのって難しいですよね?遅れましたがどうぞお楽しみ下さい!!

外の様子、


「もう!!さっさと炭になりなさいよぉぉぉ!!!」


ボボボボボッ!ボオオオ!


めちゃくちゃな数の火の玉を発生させ、逃げる二人に飛ばす。


「誰がっ!!好き好んでっ!!炭になりたがるかよ!!このっ、ドアホ女ぁ!!」


十字路を蹴り進みながら逃げる雅鬼を追う無数の火の玉は次第に一つ一つが大きく、熱くなっていく。


「さすがに段々熱くなってくるな」


緋牙は追いかけてくる火の玉と差を広げながら撒いていく。


「ウガアアアアッ!!!邪魔!!ホント邪魔!!ウザ…」


そこまで言いかけて突然言葉を吐くのを止める。


「愛の…神様?え?『そんなに消し炭にしたいならいい方法がある』…ホントですかぁ!?」


彼女の傍らには誰も居ないと言うのに親しげな親子のような一人言を喋る。


ひとしきり話し終えた彼女の顔はまるで嗜虐を含んだ暗い笑みを浮かべていた。


「うふ、ふふふ…、こんなに楽しそうな方法が有ったんですね」



「旦那!!あの女、なんかやらかすつもりですよ!!」


「あいつは結界の中に居るから手出しは無理だ!!とにかく逃げるぞ!」


「あらあらぁ、無駄ですよぉ」


バキンッ!!


「っ!?」

「マジかよ!?」


二人が玉藻の様子がおかしい事に気づき距離を取ろうとするが結界の中に閉じ込められる。


『立ち上る油煙は高々と、炭の弾ける音は声無き嘆きすら掻き消し、吹き上がる炎は銅の柱を赤く染め上げ、銅の柱を渡れず焼け死ぬ者を、我、その滑稽な様を腹を抱えて笑い転げよう。この地を銅の柱の代わりとし、地を焼き、生ける者を死へ誘わん。


【妖狐化生妲己・炮烙刑】(ようこけせいだっき・ほうらくけい)!』


地獄のような情景が頭に浮かび上がりそうな言葉をすらすらとそらんじる。


それは昔、悪女を楽しませるために彼女の虜になった傀儡の王、紂王が作り出した残虐な処刑。



地が赤々と染まる。


熱を伴い、陽炎を起こしながらコンクリートの地面を焼く。街路樹は煙を上げて焼き焦げ、街路灯や電線、果てはビルのガラスは熱膨張で割れ、地面に落ちて破片までドロドロとチョコレートのように溶け出し、ビルの壁の塗装料は耐え難い悪臭を放ち始め、吹き荒ぶ熱風が肌を焼く。



「さあ、焼ける銅の上で醜悪に踊って下さいな?イケメンの痛みに泣き叫ぶ声とか絶望に歪む顔とか想像するだけでゾクゾクッて来ますぅ」


最早、感性が狂っている。巷で言う所のドSの方が万倍…、いや、比較する事自体間違っている。何故なら、


「頭踏みにじって焼き殺してあげます♪私の思い通りにならないなら生きる価値ありませんしねぇ?アッハハハ、アハハハハハハ!!」


人がむごたらしく死ぬのを狂喜するような人間と比べたくない。



「…はあ、旦那…俺の上着と靴、持っといて下さい…。あ、後旦那は俺がおぶりますから乗って下さい」


バサリと脱いだ上着を緋牙に放り、脱いだランニングシューズを渡す。


「お前はどうするんだ!?焼け死ぬぞ!!」


流石に焦って止めに入るが、


「俺の生まれは地獄っつてんでしょ?旦那ー…。業火とか釜茹での熱湯とか針の山とかで身体を鍛え上げたんですよ?まあ、ちょっと本性出しますがね」


けろっと大した事でもないだろう、といった感じに答える。


「そうか…、すまないな。それじゃあ、乗るぞ」


雅鬼がおんぶの体勢になり緋牙が乗っかる。


「ほい来た!つか、成長しきってゴツゴツとした筋肉ついてる野郎を抱えるなんて夢にも思いませんでしたよ…」

「言うな…。俺だってこんなだなんて情けなくて悲しくなる…」


どうにもならない状況の中、女っ気の無さを愚痴る妖怪二人…。


「…ふふふ、べらべらと二人で喋って楽しそうですねぇ?…私を無視してんじゃないわよぉぉ!!!喉が枯れるまで悲鳴を上げて、惨めに炭になって死ねよぉぉ!!」


どこまでも行っても自分が中心でなければ満たされないのだろう…。


彼女の欲望の所為でどれほどの涙が、苦しみが、嘆きが、憎悪が、恋や愛が終わったのだろうか…。現に彼女によって男を寝取られた女が居るではないか。


ビルの中に…。



中の様子。



「えっと…、つまり黒也君は日本にいる陰陽師?で妖怪退治組織の構成員の一員で?ウチの社員である玉藻が怪しい事してて?黒也君は原因を解明と阻止をするのよね?」


明らかな嘘であるそれを信じる彼女は未だにテンパっているのだろう。疑問符が沢山付いている。


「はい、そうなんです。だからこんな事態の中に葛之葉先輩が居るのが危なく感じたので助けようと思ってあのような行動を…(適当に喋ってたらなんとかなったな…。)」



回想~、


「…ごめんね‥おかげですっきりしたわ…」


目元は赤く、声も若干涙声ではあるが先程よりかは大分マシになっている。


「いえ、別にいいんですよ。(…む、胸が当たっている!!)それより怪我が…」


本人は気づいていないが胸が当たっている。ちなみに明日香さんはCだそうです。


「ああ、これ?さっき4階に居た時、ブックスタンドの角で頭殴られたの。避けたんだけど当たっちゃってね~。痛かったのなんの!」

サラッと事も無げに言ってのけるが一歩間違えてれば死んでいたのだ。


「はっ!?えっ!?今…なん…、え?ええ!?(頭を殴られたと聞こえたが…、まさか怪我を負いながら4階から来たのか!?普通なら逃げ惑ってパニックに陥ってもおかしくはないぞ!?)」


妖怪の予想を斜め上で裏切る女、明日香。


「あはは~…、一応傷口を冷やしたんだけど、流石に頭やられちゃキツくてねー…。今は…、黒也君の顔がぼやけて見える。後はちょっと声が頭に響くぐらいかな?」

苦笑いしながらも安堵した表情である。


「た…、大変でしたね…(…そんなお前に惚れた私は、間違えては無いよな?というか…男勝りが過ぎるぞ…)」


こちらも苦笑いを浮かべてはいるもヒクヒクと口元が引き攣っている。


「それで、黒也君はなんで居るの?私は定時まで仕事してただけなんだけど、ほとんど人居ないし」

「いや、その~…、えー、あー…そのですね(来てしまったな…。どうしたものか…)」


「なんか、さっきから獣臭いっていうか…、なんか動物でも侵入したの?ここ来るまでに毛束踏んで滑って転んだしさー…」

「(…そうだ!それを逆手に取って…)えっと、今から言うことは信じられないかも知れませんがよく聞いて下さいね?」


一旦距離を取り、明日香の目を見る。


「え、ええ…。うん…」

戸惑いながらも頷く。


「実は僕は陰陽師なんです」



こっからは先はご想像通り、今に繋がる。


回想終わり~


「じゃあ、今、会社は危なくて?玉藻がなんかして男性社員は意識がなくて操ってて、今は記憶が無いのよね?」


「あ、はい。とりあえずここから出たいのですが、一階は全て封鎖されていて、出れなくて困ってたんですよ(術を使ってどかす事も出来るが…、本性がバレるし、術を使って記憶を操作しようと思っても明日香は掛かりにくいし、何より骨が折れる…)」


黒也の言葉で何かを閃いたように急に周りを見渡し、扉を見て呟く。


「非常階段…。でも2、3階も駄目だし…、となると4階か…、非常扉には鍵掛かってるけど…、壊せる…!!問題は音で気付かれないかどうかだけど…」


そこで言葉を切り、黒也を見る。


(ここで見捨てたら先輩失格だし…、何より…、この子はなんとかして助けたい!まあ、…それに少し前から、ほんの…、ちょっと…気になってはいたし…。振られたばっかの私に、まだ若くて社会に馴染めなくて余裕無いはずなのに(ほんとは貴方より随分お年を召していますよ?)気を遣って優しくしてたのが…。…もう少し経ったらアプローチも考えてたんだけどな~。こんな事があったのが残念だな…)


少し寂しそうな慈愛顔をして黒也を見た後、すぐに決意を湛えた表情になる。


「黒也君…。4階まで歩ける?」

「え?ああ…!はい。歩けますよ?」


彼にしては珍しくどこか上の空な返事をするがこの時、緋牙から接触があり会話をしていた。


「逃げ道があったの!4階の非常階段から外に出ようと思うの。鍵は私がなんとかするけど…。嫌なら他の方法も考えるけど…」

「……っ!!(今、外に出れば明日香が焼け死んでしまう!)駄目です!!」

彼女の為に否定するが、


「え?やっぱり駄目かな?じゃあ、時間掛かるけど、バリケードどかして逃げようか?」

逆に困惑させ、最悪の手段を取ろうとする。


「~~~~っ!!ああ~…。いえ、あのー…。(…しょうがない、前者の方がまだ可能性がある)4階から逃げましょう…」

諦めたようにうなだれ了承する。


「???。わ、解ったわ…。じゃあ………っ!!」


訳が分からず少しうろたえるがとりあえずほっとした表情を浮かべるがすぐに表情が強張る。


「黒也君…動かないで…」


バリケードを崩していた時にどかしてそこら辺に置いていたパイプ椅子を片手で掴んで持ち上げる。


「葛之葉、先輩…?なにを…!!」

「うらあああっ!」


パイプ椅子を振りかぶって黒也の方に投げる。


ガンっ!!!


ガシャッ!

バタッ…。


投げられたパイプ椅子は黒也を通り過ぎて後ろの何かに当たり、パイプ椅子の地面に激突した音と、黒也の後ろにいた何かが倒れた音がする。


黒也が振り向くと玉藻に付き従っていた男性社員が倒れていた。


「…え?(いつの間に後ろを取られていたんだ…!?)」


明日香は男性社員に当て、地面に落ちたパイプ椅子を拾いに行く。


「記憶が無いなら手加減しなくても大丈夫ね。よし、反撃開始をしようかな?出会ったら即座に攻撃して黙らせるから黒也君は後ろにいて!」

ばばんと仁王立ちして構える。


「えっと…さっきまで、逃げてたんですよね?(なんで今、攻撃したんだ?)」


「ん?ああ、怪我させて、訴えられたら最悪会社を解雇されて社会的に抹殺されるかもーって思ってたから、手をこまねいていたんだけど、黒也君の話聞いたらもうその心配は要らないわね」


にこりと笑っているが物凄い理由である。


「は、ははは…。(そんなお前に惚れた私は大丈夫なのか?)」





???side



4階のオフィスにて、


窓から見える風景はまるで地獄を想像させた。


地面はまるで溶岩が流れているように真っ赤に染まり、あちらこちらから煙が上り、火の粉が舞っている。


だが、何故か明日香達が居る此処の周辺だけは難を逃れている。


そして、オフィスの床に落ちている明日香のストラップである水晶で出来た杭がヒビだらけになっている。


ピキッ!



事態が急変するまで後、3分。

【小ネタ劇場・意外と敏感。その①】


注・チョイエロ。


明日香の家のリビングにて。


ピコピコ。

あ「……」

フリフリ。

ひ「へへへ~♪」

ブンブン!


犬耳を立て、尻尾をちぎれんばかりに振る緋牙はソファーでくつろぐ明日香にべったりと引っ付いている。


あ「……」


なんとなしに振られている尻尾を目で追う。


むぎゅっ!


尻尾を掴んでみた。


ひ「ヒャインっ!!!?」

緋牙が驚いて飛び上がる。


あ「わっ!?びっくりしたー…」


こちらも驚いて掴んでいた尻尾を離す。


ひ「ごっ…、ご主人っ!!触るなら触るって言って下さいよ!?」


明日香に絶対服従な彼にしては珍しく、やや顔が紅潮しながら狼狽えながらで喚き、恥ずかしげに彼女を睨む。


あ「ご…、ごめん…。なんか気になって…。触り心地良さそうだなーって思ってつい…」


ひ「うえっ!?そ…、そうですか?な、ならじっくり触っていいですよ…?」


もじもじといじらしく顔を赤らめながら明日香を見る。


あ「あ、そう?触っていいなら、遠慮なく触るけど」


なんかおかしいと思いながらわくわくしている。


ひ「じゃあ触り易いようにしますね?」


そう言って明日香に背を向け、尻尾を向ける。フリンフリンと先程と違い、何かを期待するような尻尾の動きである。


あ「おー、ふさふさしてるー!しかも毛並みが凄い柔らかーい!」


なでなで、


ビクッ!


ひ「…んっ!」


緋牙の体がビクビクと小刻みに震えている。


あ「でも、尻尾の皮膚の部分も堅いけど柔らかいねー?」


クイクイ、


ひ「はぁ、ぁ…ふっ…。ひゃいんっ!?あっ…」


ガタガタと震えが大きくなり、思わず声が出てしまい、慌てて口を塞ぐ。


あ「あ…。ごめん…痛かった?」


気遣うように聞いてくるが、


ひ「だっ、大丈夫ですよ!?気にしないで続けて下さい!」


あ「そう?無理しないで限界だったら言ってね?」

さわさわ、


「……っ!ふーっ…、ふーっ…(ご主人が触ってくれてる!嬉しい!嬉しい!でも、触られる度、身体がゾワゾワ来るよぅ…)」

口を手で塞ぎながら抑えている。


ふと、撫でる手が止まる。


ひ「はぁ…っ?」


不審に思い、後ろを向くと恥ずかしそうにしている明日香が手を止めていた。


あ「えっと?その…言いにくいけどね?…なんか…えっちいよ?」


カアアアッ!


ひ「~~~っ!」

緋牙の顔が真っ赤に染まる。


続くかな!?

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