番外編・愛のお返しを贈る獣とそれを拒む女ぱーとワン②
さて、中途半端ではありますがそろそろ本編書かないといけないので一句切りを…。(無駄な言い訳・だって風邪ひいたし…)
お待たせしました!どうぞお楽しみ下さい!
夕方、明日香の自室にて。
「ギョウマンボロン、オンソワカ、オンソワカ、オンソワカ、ヤシャコク、ウン、ウン、ウン」
ろうそくに灯る火に向かって呪い(まじない)言葉をぶつぶつと呟く明日香の姿がある。
それを見つけ、恐怖で人形のように固まっている雅鬼。
作・段々切羽詰まって来て最早正気じゃない明日香さんは『イワシの頭も信心から』に習ったようですが考えがとんでもない所に帰結したようです。
「いや、この場合『溺れる者は藁をも掴む』じゃねえのか?」
作者の言葉にツッコミを入れ、正気に戻る雅鬼。
「あー…おい、んなの効かねぇと思うんだけどな…」
雅鬼の言葉に気づき、振り向き返事をする。
「そうよね…。こんなんじゃあ駄目だよね…。もっと本格的な奴じゃなきゃね…」
「そうそ…は…?」
雅鬼がうんうんと頷くがおかしな単語が混ざっているのに気づくが遅かった。
「ヘイカァス ヘイカァス エスティ ビィ ベロイ。ベールゼブブ ルキフェル アディコン ソエモ セロイアメク ルロセクラ エルプラント カメロルアル アトリサルム マルチロル チモン。ザーザース ザーザース ナーサタナーダーザーザース。エコエコアザラク エコエコザメラク エコエコケルノノス エコエコアラディーア」
作・ホラーマンガの巨匠、古賀●一大先生の代表作『エコ●コア●ラク』を参考にしました。…知ってる人いるかな?
「だからやめろ!!呪文を呟く度にお前の周りの空気が重苦しくなってる!心なしか空気が黒く染まってる気がするし!!」
初登場からは考えられない事に雅鬼が叱り飛ばす。
「だって、…これくらいやらないと効かないと思うし…」
ぶー…、と文句を言う明日香さん。
「だってもへちまもへったくれもねぇの!!なにか!?あれか!!悪魔でも召還するつもりだったのかよ!!」
「じゃあ、生贄役は雅鬼ね」
アッサリ答える。
「やるのかよ!!しかも生贄は俺かよ!!そんで嫌だよ!!俺はやらねーぞ!?」
「…チッ、…ヘタレが…それでも昔話に出てくる野蛮な鬼かよ…」
悪態をつきながら舌打ちをする明日香さん。
「鬼関係ねぇよ!!そんでもって俺はヘタレじゃねー!!」
「大丈夫だって。緋牙は一回死んでるから『生』贄じゃないからやらせるなら贄だし、もし悪魔呼んだとしても殴りまくったり脅しまくったりして従えさせばいいのよ」
にっこりと笑いながらサラッととんでもない事を口にした明日香さん。笑ってはいるが目がマジだ。
「旦那も候補だったのかよ!?つか、ここに悪魔より極悪非道な女がいるぞ!!」
怒涛のツッコミを入れる雅鬼君。
「…ッ…ククッ…プッ、アハハハハ!…はあ…さて…、雅鬼のツッコミ芸で大分楽になった所でどうしようかな~…。まあ後もうちょっとツッコミにウィットを富ませた方が面白いよ?うん。あ、あとゴメンね?あんたのツッコミ予想以上に面白いし楽しいからつい弄り過ぎちゃった」
突然笑ったかと思ったら平時のテンションに戻り雅鬼に謝罪する。
「テメッ、騙しやがったな!?」
騙されて顔を真っ赤にしながら怒る。
「本当は黒井●サネタもやりたかったんだけどね~。もういいや十分楽しんだし」
うーん、と言いながら背筋を伸ばして笑う。
「古賀新●先生に謝れ!!」
「やっだー。ちょっとやめて下さいませんかー?番外編とはいえ一応この作品の世界観壊れちゃうかも知れないじゃなーいー?」
「お前が言うな!!作者の諸事情とか混ぜんなよ…。後、そのしゃべり方やめれ!」
そこまで話した所で不意に笑顔を消し、はあ、ため息をつき憂鬱な顔で黄昏始める明日香さん。
「まあ、ふざけてみたけど…やっぱり無理でしたわ…。アイツが何やらかすか怖い…」
うだうだと愚痴りながらいじける。
「急にマジになんなよ…。こっちだって二次災害被るかもしれねえのによ…」
「家主(私)の心配をしてよ…」
「あー…、そっちの心配出来る程、心の余裕ねぇし…、それにいちいち他人の心配するのってめんどいしなー…」
頭をぽりぽり掻きながらドライな事を言う。
そこまで会話した辺りで玄関の鍵を開ける音が聞こえ、ドアを開ける音が響く。
カチャ…キィ…バタン。
「おかえりー…」
げんなりしながら迎えてやる。
予想通り奴はダンボール箱(正体不明の何か)を抱えていた。
「ただいま帰りましたー!!あ、外にまだ荷物があるので取りに行ってきますね!!」
やけに満足げでにこやかに笑いながら抱えてる荷物を玄関に下ろす。
ドサドサドサッ。
ダンボール4箱も下ろすと意気揚々と鼻歌を歌いながらもう一回外に出て行く。
(怖い…。中身が何か知るのが怖い…)
(まだダンボール持って来るのか…。次位で俺が駆り出されそうだな…。はは…)
キィ、バタン。
ダンボール5箱を玄関の前に置く。この時点でダンボール箱が山のように積まれている。
「はい、準備段階その1完了っと…。雅鬼、次持ってくる奴を手伝ってくれ」
「はいよっと!!…やっぱドンピシャ(大正解)ですか…」
「何か言ったか?」
「いえ、独り言ですよ」
きょとんとしながら聞いてくるがごまかす。
さて憂鬱の元凶が用意を始めますよ…。
明日香side
40分後、
そんなこんなありまして自室にて目隠しされて待たされております。
(…もう、なんなんでしょうね?…私の人生って…)
子犬拾ったら子鬼が襲撃してきて仲間になって、子犬は男になってさ…。
(癒やしのもふもふが…失恋の傷をペットで癒やす筈が…。…もう考えることすらどうでもよくなってくるな~…)
ふと耳を澄ませば聞こえる…
ガサガサ、ドサドサドザザザー…。
何かを出してる音。
ビー、ベリリベリ。
ダンボール箱に付いてたガムテープを剥がす音。
不穏な音しか聞こえないんですけどね。
そして風呂場から香るチョコ臭…、その前から漂っている色んな花の匂い…。
カチャカチャ、ガチンガチン!!
リビングで何かを組み立てる音(金属音)。
キリキリキリ…、シャーダン!!
パカッ、ごろんごろん。
「おー、よく切れるなー。お試し用に買ったスイカが綺麗に真っ二つだな~…」
何かを試し感嘆を漏らす緋牙さん。
「ちょっ!?なんでギロチンなんか買ってるんですか旦那!?」
風呂場から戻って雅鬼が慄く声を上げる。
「ん?マジック用だから安心だぞ?ご主人に楽しんで貰おうとな~♪」
明日香と雅鬼の不安要素の一つにヒットしてるなんて気づかないで楽しげに言う。
(ああ…、どうか予想が外れますように。じゃないと私の首と胴体がサヨナラしちゃうぅぅ!!)
「えっと…、それ…成功例あるんですか?」
「マジック用なんだからあると思うぞ?あ、そうだ!雅鬼、ちょっと試して見るからお前の首を台にセットしてくれないか?」
『あ、そこにあるテレビのリモコンとって?』位の感覚で戦慄の言葉が緋牙の口から出た。
雅鬼の不安がまた一つ当たりました。
(ああ雅鬼よ…。心配してくれないかなんて事言ってごめんね…。そしてさようなら…)
作・助けようとしない辺り、あなたも酷いわよ?
(あなたと過ごした日々は忘れないわ…)
作・無視ですか…。
「嫌ですよ!!全力で拒否します!!」
「大丈夫大丈夫。ほらつべこべ言わないでさっさと乗れ」
命令形になってますよ?
「ちょっ…!」
ギィ、ガチン!
キリキリキリ…。
あっという間にセッティング完了したようです。
「助けてくれー!!明日香ー!!首抜けねー!!」
ガタガタと機材が音を鳴らし、精一杯の抵抗をしている。
「そんなに暴れたら…あ…」
シャー、サクッ♪
何かに刺さる音がし、
「いっでえぇぇぇぇ!!!!!」
雅鬼の絶叫がこだまする。
「あ、良かった。硬化してたから首の皮をちょっと切った程度で済んだな」
ほっとしたように話す緋牙さん。
「早く出してください!!まだ刃が首に当たってるんですよ!!」
なんとか一命を取り留めた雅鬼は暴れてます。
そんなこんなありながら30分後、
ふすまを開ける音がする。
「準備出来ましたよー!!ご主人!」
(ああ、こんな眩しい笑顔で死刑宣告をするなんて…、私、明日香は男を知らず天へ旅立ちます)
さて、この先の話はまた今度。楽しみにしてて下さいね?
小ネタ劇場【緋牙、甘えてみる(失敗例)】
~♪~♪
カチャカチャ…カチャ、カチャカチャカチャカチャカチャカチャ!
リビングのソファーに寝ころびながら音ゲーをする明日香さん。
ひ・ご主人~!!また頭撫でてくれませんか~?
あ・…………
~♪~♪
カチャカチャカチャカチャ…
ゲームに真剣で返事をしない明日香さん。
ひ・ねぇ、ご主人~。頭撫で…、ギャイン!!
ドゲシッ!!
あ・うっさいから黙って?
頭を顔に近づけるもエルボーされる。
ひ・う…はい…。
スタスタ、ずーん。…いじいじ。
リビングの隅っこに行き三角座りしていじける。
ひ・酷い…、俺、頑張って甘えて見たのに肘打ちされて終わった…。前みたいにして欲しかったのに~…。
チラッと明日香さんの方を恨めしげに見るが、
~♪~♪
カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ!
完・全・無・視!
我、関せずを貫く明日香さん。
ひ・…うっ…く、な泣いて、ないんでずがらね…。
この後、緋牙がギャン泣きして明日香にうるさいと言われ拳骨をくらうが、むしろ抱き付いて泣くという、なんとも情けない有り様になる。
その時のセリフ集、
ひ・やだやだ、構って下さいー!!構ってくれるまで絶対離しませんー!!
ひ・俺より機械を取るなんて、ご主人のバカー!…でも、好きです…。
ひ・大好きです。だからキスします!!え?決定事項ですよ?…俺を疎かにしたご主人に拒否権は有りません!
ひ・愛してます!!ご主人なら俺の尻尾を好きに撫で回しても笑って寛容出来ます!むしろ撫でて下さい!
ご主人には絶対服従、だけど強引な甘えたさんな緋牙君でした。
作・糖分多めにしたんですけど…ぬるいかな?