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尋問開始…じっくり聞かせて貰おうか…

雅鬼を連行して表で待っていると緋牙が走って来た。


「ご……葛之葉先輩~~!!」


キラキラと輝く笑顔で走って来るが……。

今、『ご』って言ったよね?


もしかしてご主人と言いたかったの?


…いつか私が会社の誰かに鶯谷うぐいすだにの女王様と呼ばれる日が来ない事をせつに祈る。



「それじゃあ、行きましょうか」


「はい…」


「はい!」


両者のテンションが温度差有りすぎですね。

うん、前者の雅鬼が正しい判断だ。






はい、場面変わってファミリーレストランにいます。


私たちが座っているのは、4人位座れるテーブル席で、お通夜のような暗い雰囲気の雅鬼、緋牙を前に見えるよう私は向かいに座っています。





ここのメニューの品揃えは豊富でお子さまランチからサムゲタン、ビシソワーズやら色々ある。



「まあ、メニューの品を選ぶ位の時間はあげるから覚悟決めなさい」


「「はい…」」




ペラペラとメニューから選ぶ。



彼らも選んでいるが時間を伸ばそうと足掻あがく。


「わ…わー!ここ色んな種類あるんですね?そうでしょ!旦那!?」


「そ…そうだな!迷うな~?」


「これなんてどうでしょう!?」


「うーん、こ…これはちょっと?」


「旦那ったら、舌が肥えますね~!?」白々しい会話がこの後、十分位続くがネタが尽きて来る。

「えっと…メロンソーダと言っても色々種類がありまして…」


「(めろんそーだってなんだ!?)へ、へぇ~…。お前は中々博識だな!?」


冷や汗だらだら流してます。


さて、お気づきの方もいるのではないでしょうか?



実はもうお仕置きは始まってます。


こいつら見てれば分かるでしょうが、じわじわと精神を削るんですよ。


時間を伸ばしたくてなんとか会話でごまかすけど、そういう時に限って言葉が出て来なくなり、最終的には言葉が出なくなり、そして気づくんです…。ああ、決めなきゃお説教が終わらないってね。

時間? 昼休み終わってもやりますよ?


相手の目の前で携帯を取り出しワザと相手に聞こえるように、「すみません、後3時間くらい時間を取らせて下さい」

と電話する。まあ、その分残業をするハメになるが…。


これ、結構きくよ~。

三枝にも使ったがあいつは人が混んでくる6時あたりで根を上げた。



「さっさと決めないと自分の首を絞める結果になるだけよー?」


ここら辺で突っついてやると、


「ぐっ…」


「ううっ…」


案の定、こいつらの言葉が詰まる。


「決め…たぞ…」


「俺もです…」


「そう」ピンポーン


店員さんを呼んで注文する。



私はサラダうどん。


雅鬼は特大ハンバーグのご飯大盛り。


緋牙はカツ丼定食のご飯大盛り。



こいつら遠慮しねえな。 何気に高いもん選びやがった。


注文を聞きに来た店員は可愛い女の子のウエイトレスさんでこいつらの事を気になっていたらしいがこいつらが纏うオーラに負け厨房に入っていった。


まあ、通夜みたいだしね…。




「さて、なんで会社に来たのかしら?」


ビクゥゥ!


「いいいい、いや!こここ、これは旦那が言い出した事で!」


「それ…は…当たってますけど、あの違うんです!!ご主人に迷惑掛けるつもりじゃなくて!」


「すでに迷惑掛けられてる!!…で、スーツや戸籍はどうした?」



「妖怪の間では人間社会に溶け込む為にそういう機関があんだよ」


「コミュニティー(地域共同体)の一種ね」


「そこで戸籍を作りまして、俺はめんどくさくて作ってなかったんですけど旦那が…」


「家でご主人を待つのがつまらないし、辛いので俺が雅鬼に頼んだんです」


「馬鹿野郎が…、ったく、はぁぁぁ…」


うなだれるしかない。


待つのが嫌で戸籍作ってまで会いに来るか!?


「で、スーツは?」


「俺が服屋に連れてって仕立てて貰ったんだよ」


「うう…、甚平より動きにくいです」


「まあ、緋牙は解ったが、雅鬼は何故来た?」

「旦那は人間社会の一般教養があんま無いからそれのお守りというか、サポート役になる為だ」



「そう、ありがとね」



そこまで話していたらウエイトレスの女の子がワゴンを押しながら料理を持って来た。



「お待たせしました」


テーブルに料理を置いていく。


そして女の子がワゴンを押しながら去っていくと雅鬼がポツリと呟く。


「へぇ、美味そうだな」


「うわぁ!食べていいですか!?ご主人!」


「いいけど」





そういやこいつらの食生活知らないな。


「あんたら、前まで食べてたの、何?」


「ああ、旦那は一回死んでるから食べなくて良いはずなんだ」




「一人の間はただ、ぼーっとしながら1日を過ごしてました」


カツ丼を食うのいったん止めて言う。


「その点、俺は食べなくちゃ生きてけないしな、まあ聞いても気分悪くなるだけだぞ」


ハンバーグを口に頬張りながら言う。


「ふーん」


聞かなくていいのだから聞かない。


こいつの昔は知らないが出会った時の対応から見てかなり残虐だったんだろうな。


昨日の今日で随分丸くなったが、多分こいつは人を食ってるだろう。生きたまま内臓を食い散らかしたり、牛を丸々一品喰ったりしたんだろ。


それくらい出会った時の対応がこいつの残虐性をにじませたのだから。



ファミレスの大きい窓から青く晴れた空を眺めながら厄介な事になったなと思った。


明日香side終わり





???side


明日香が勤めている会社の4階の女子トイレにて、


ジャー


洗面所の水を流しながら一人の女性が鏡を睨み付けている。


「あの、クソ女!胸くそワリィ!」


なんで私直々に誘ったのになびかねえんだよ!あいつら!!?


「あー、もう!!!!」


ガン!!!


足下にあるゴミ箱を蹴飛ばす。


ガラッ


ゴミが散らばる。


「何、これ?」


その中から綺麗な、青い紐を拾う。


とりあえずその紐を洗って絞り、髪に結ぶ。



「はあ、もっとモテたいな~…」


鏡を見ながら呟く。


「じゃあ叶えてあげようか?」


決して大きく無いがトイレの中に声が響く。


「っ!誰!」


ギィィィ…。


入り口から数えて一番始めのトイレのドアが開く。


(なんで!?さっき確認した時、ドアは全部開いてたし誰も入って無かったのに!?)



しかし数分経っても誰も出て来ない。


トイレの中をおそるおそる見るが誰も入っていない。


「今の、幻聴?」


見るのを止め、鏡を振り返ると鏡の中に黒いスーツを来た少年が彼女の後ろに立っていた。


「ひっ!」


後ろを振り向くといつの間にか少年が立っていた。


「あはは、そんな驚かなくても…。僕はただ君の願いを叶えに来た、魔法使いだよ」


少年は楽しそうに言う。

だが、本性は憎み、恨んでいる。


それに気づかない彼女は、


「魔法、使い…?」


黒いスーツを来た彼の言葉を復唱する。


「そう!魔法使いさ。君の健気な願いを聞いて飛んできたのさ」


嘘八百である。


心の中では見下し、嫌悪し、下らない願いだとせせら笑っている。


「わあ!シンデレラみたい…」


そんなことに気づかない彼女は警戒せず、頬を赤く染めている。


「さあ、君の願いを叶えてくれる首飾りだよ」


少年は彼女にその首飾りを投げ渡す。


彼女はそれを受け取りとそれをじっくりと見る。


(綺麗…。これくらいなら付けてもいいわね)



そして彼女は少年がいた場所を見るがそこには誰もいなかった。




さあ、始まるよ。


彼女の持っている首飾りは妖狐の物だ。


中国の九尾の妖狐は貪欲で残酷だ。




彼女は酒の池を作り、肉を積み上げた山を作るよう王に頼み、王はそれを叶えた。



そしてそこには裸の美男や美女が走り回り鬼ごっこ。彼女や王はそれを見て肉の山から肉をとり、酒の池から酒を酌んで楽しく観賞。


そしてその様子は酒池肉林と呼ばれた。


王は美しい彼女を寵愛していたのだ。


やがて彼女の願いはだんだん過激になり、王に刃向かい捕まった罪人を焼けた銅の上に乗せて焼け死ぬ様子を笑って見ていた。やがて、一人の男が仙人より貰い受けた鏡に彼女を写すと、尾が九つもある狐が写ったそうだ。


男は妖狐と王を殺した。横暴な政治を働いた暴君が死んだと民衆は喜んだ。


だが、巡り巡って彼女は日本に流れ着いた。


彼女は日本でも懲りずにやるのだがそれはまた今度。


ああ、そうだ!

彼女の名前を言っていないね。


彼女の名前は中国では、だっき。



日本では、









玉藻ノたまものまえ



さって、こっからどう盛り上げたものか?

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