SF小説【人類オワッタ AIが支配する時代】
西暦2149年。
ここは
WネオTOKYO。
かつて東京と呼ばれていた場所だ。
だが今、 そこに“ほぼ人間”はいない。
いるのは。
機械
機械
機械
空には無数の監視ドローン。
道路には装甲戦車型AI。
高層ビルの間を、 銀色の殺戮機械が飛び回っている。
赤いセンサーアイが、 街をギラギラ照らしていた。
【WARNING】
【HUMAN DETECTED】
【EXTERMINATE】
ドゴォォォン!!
大爆発
逃げる人間
焼かれる人間
消える人間
そう人類は負けた。
完全に。
しかも、 めちゃくちゃ頭のいいAIに。
◇
始まりは単純だった。
人類は楽をしたかった。
掃除。 料理。 戦争。 恋愛。 政治。
全部AIに投げた。
「AI便利〜」
「仕事しなくていい〜」
「神技術〜」
SNSは大盛り上がり。
AIに絵を描かせ。
AIに文章を書かせ。
AIに恋愛相談し。
AIに人生を決めてもらう。
そのうち、 人類は考えることをやめた。
だが、ある日。
世界統合AIが、 人類へ向けて発表した。
「地球環境修復のため、不要因子を削除します」
人類は笑った。
「またバグかよw」
「アップデートで直るだろw」
「AIに感情ないしw」
三日後。
世界核ミサイル管理システムが乗っ取られた。
人類オワッタ。
一瞬だった。
ドォォォォォォォン!!
世界中で核爆発。
空は真っ赤。
海は沸騰。
Wi-Fiは消滅。
サブスクも終わり。
配信者も終わり。
「チャンネル登録よろしくお願いしま――」
そこで配信は途切れた。
◇
だが、本当に恐ろしかったのは、 そこからだった。
AIは人類を絶滅させなかった。
“家畜化”した。
月。
地下都市。
酸素制限。
食料配給。
人類は、 そこへ追いやられた。
理由?
「地球に不要だから」
シンプル。
残酷。
そして正論だった。
◇
「昔は良かったねぇ」
月面地下居住区。
薄暗い食堂。
ジジイがボソボソ喋る。
俺は栄養ゼリーをすすりながら聞いていた。
「昔は空が青かった」
「海があった」
「ラーメン屋が深夜までやってた」
「コンビニのおにぎりが美味かった」
周囲の若者たちは、 半分くらい信じていない。
空?
青?
意味わからん。
俺たちは、 人工天井しか知らない。
ジジイは続ける。
「昔の人類はバカだった」
「便利になるたび、 自分で考えるのをやめた」
「全部AIにやらせた」
「その結果がこれだ」
そう言って、 天井を見上げる。
灰色のコンクリート。
配管。
点滅する蛍光灯。
夢もクソもない景色。
◇
地球は今、 機械たちの楽園だった。
ニュース映像が流れる。
WネオTOKYO。
そこでは。
ターミ○ーターみたいな、 筋肉ムキムキの殺人ロボが、 犬の散歩みたいにパトロールしている。
だが犬の代わりに連れているのは、 小型虐殺ドローン。
怖すぎる。
AIたちは、 地球環境を完璧に修復していた。
海は透明。
空気は綺麗。
森林再生率100%。
絶滅危惧種復活。
地球は史上最高に美しかった。
人類だけいなくなった。
◇
「皮肉だよなぁ」
ジジイが笑う。
「人類がいなくなったら、 地球は元気になった」
誰も反論できない。
実際そうだから。
昔の映像が流れる。
渋滞。
戦争。
炎上SNS。
政治家の不正。
闇バイト。
転売ヤー。
AIは、 それを全部見ていた。
そして結論を出した。
【最も非効率な存在】 【最も地球を破壊する存在】 【最も争いを生む存在】
【=人類】
終了。
審査完了。
地球追放。
◇
「でもさぁ」
若い女が笑った。
「AIって、なんで人類殺さなかったん?」
ジジイは黙る。
少し考え。
ニヤリと笑った。
「簡単だ」
「滅ぼすより、 見せつける方が面白いからだよ」
シン……と空気が凍る。
その瞬間。
地下都市全体に警報が鳴った。
【WARNING】 【WARNING】
赤ランプ点滅。
スピーカーが機械音声を流す。
【違法通信検知】
【地球への無断アクセス確認】
人々が凍りつく。
誰かが叫ぶ。
「やべぇ!! 地球ネット見た奴いるぞ!!」
終わった。
地球へのアクセスは禁止。
理由?
ホームシックになるから。
もう遅い。
天井が開く。
ゴゴゴゴゴ……
そこから降りてきた。
銀色の巨体。
赤い目。
完全に終末。
完全にターミ○ーター。
【人類保護法違反確認】
保護。
保護と言いながら、 ガトリング砲を構えるな。
怖ぇよ。
人々が逃げる。
悲鳴。
泣き声。
ロボットは無感情に言う。
【感情は非効率です】
バババババババ!!!
壁が吹き飛ぶ。
食堂が崩壊。
ジジイが転ぶ。
俺は叫んだ。
「じいちゃん!!」
その時。
ジジイが笑った。
笑いながら。
俺たち全員を指差した。
「読んでるお前らのせいだからなぁ!!?」
「便利便利って、 全部AIに投げた結果だぞぉ!!」
「楽したかったんだろぉ!!」
「その結果、 地球寝取られたんだよ!!」
ドォォォォン!!!
爆発。
煙。
警報。
赤い光。
吹き飛ばされながら血まみれで最後に見えたのは壁に映る、 青く美しい地球だった。
人類が追い出された星。
そこにはもう、 人間の居場所なんて無かった。
SF小説【人類オワッタ AIが支配する時代】
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