いきなり実戦ダダンダン!②
やっぱり出だしはテキトーなラクガキの挿し絵でスタート!
よそのサイトのコンテストに応募してみたのでがんばって更新していきたいです(^o^)
Episode‐file‐09
ピンチだった――。
見ず知らずのおじさんが。
その時、目の前で警察のおじさん、お巡りさんが乾いた悲鳴を発したのは確かに聞こえていたはずだ。だが慄然としたきりまるで動けないオタクは、その身を硬くこわばらせるばかり……!
日頃の運動不足でぶくぶくに太っただらしのない身体がただ小刻みに震える。大事な部分を押さえるはず左手までがガチガチに硬直していた。凍りつくような静寂の中、かすかに鳴った背後からの舌打ちがきっかけでようやくこの声が出せたか。
完全にひっくり返った情けのない裏声をだ。喉が干上がる。
「わあっ、わあああ!! 食べられちゃった! 食べられちゃったよ、おじさんが!? おまわりさんがよくわかんないヤツに飲み込まれちゃった!! うわっ、グロすぎっ、待って、うわわっ、た、たすけないとっ!! とにかくあのおじさんをっ!!」
もはや完全に顔面蒼白! でぶった上体をむりくり背後にねじ曲げるオタクのパイロットのひどく泡食ったさまに、これをまずは高くからジロリと見下ろすだけのおじさんである。また舌打ちがしたか? かくして教官よろしくしたぬしが腕組みしたままで冷静に返す。
「ぬしと呼べ! おじさんじゃねえだろう、おじさんだけど。とにかく落ち着け、あんなものはあの手のタイプの常套手段だろうさ。ああやって接近した対象を無理矢理にでも取り込んで捕獲、ないしみずからに同化吸収するってのは? おまえもオタクならその手の漫画やゲームを見たりしたことないのか? ありがちっちゃあ、いかにもありがちだろ!」
「ま、マンガって、だって現実じゃん! 紛れもなくした!! これってバカでっかいモニターにゲームの画面がただ映されてるってワケじゃ無いんだよねっ!? 冗談やめてよっ、ちっとも笑えない! それにあのお巡りさんが襲われてるアレ、一体なんなの!? あの全身がネチョネチョでやたらにぐちゃぐちゃしたヤツ!!」
そのやけに冷静なさまに少なからず当惑しながらも下段の操縦席から必死に抗議するモブだ。口から泡を飛ばして文句をがなる。クレーマーさながら。言われてる当のおじさんはただ面倒くさそうだったが。
「ほんとにありえないよっ、たとえゾンビにしたってもうちょっとマシなカタチしてるよね? ねろねろのドロドロで気持ちが悪いったらありゃしないっ、マジで真っ赤なゲロじゃんっっ!!?」
「ふん、そうやってはっきり言語化されると気が滅入るな? まあ、タイプ的に分類するならスプラッタとかヘドロ型でいいんじゃないのか。スライムは有名過ぎてちとアレだろ? だからってこうも露骨な擬音にしちまうと、いざ受け取る側によって思い描くものがやっぱりまちまちだから、むしろ混乱するってもんでな? で、どうするんだ?」
片手で耳をほじほじしながら冷めた調子で最後にはそう聞いてくる教官。まさかの質問返しにひたすらたじろぐ新人くんだ。真顔の不意打ちに思わずぎょっとして、その視線をあちこちにさまよわせる。果ては額に大粒の汗を浮かべて声色を苦しげうわずらせた。
「どっ、どうって! わかんないよっ、あのおじさんがピンチなのはわかるけど、あ、ほとんど身体が飲み込まれちゃってるよ! もう全身真っ赤っかだっ!! わああっ、どうしようっ、どうすればいいの? このロボ、戦えるんでしょ!? わっわっわ!」
いざ戦うにしても操作の仕方がさっぱりなどシロウトのオタクごときでは、いかんともしがたいものがあっただろう。やり場のない利き手がいまだ宙をさまようばかりで一向にらちがあかない。まさしくお手上げ状態だった。
それを一方でつまらなそうに眺める後部座席のロボの主人。よって、下らない文句ばかりのクセにわりかしやる気はあるんだな?と色かたちのはっきりした眉をひそめるおやじは、何食わぬさまでまた聞いてくれる。
「もちろん。そのためのこのロボ、ジュゲムだからな? で、おまえ、ちゃんとやることやってるのか? さっきから少しずつ機体が傾いてるが、コイツを操縦するための操縦桿、すっかりお留守になってやしねえだろうな?」
「えっ、操縦桿? このちんちん? いやでもだって……!」
不覚にもしばらく触れていなかったみずからのイチモツは、太いお股の間ですっかりと小さくなっているのが今さらながら意識される。
ダメだ。完全に萎えている……!
うつむいたきり硬直する主務操縦士に、やれやれと肩をすくめる副操縦士兼教官のぬしは大きくかぶりを振った。
「まったくこのトーシロめ、いいからとっとと復旧させろ! 目の前の標的をしっかりと見ながらだな? 目ぇ離してたら見失っちまうだろ、ついでにあのおまわりもまんまと手遅れになる! さっさとシゴいて大事なモノをおっ勃たせろ!」
「ええっ? いや、あんな気持ち悪いの見ながらじゃさすがにムリ! うわ、ほんとに気持ち悪いっ、最悪だよ、あのおじさんどうなっちゃうの? 痛いのかな? まだ意識あるかな? そもそもあんなのどうやって助けるの? あとおれあんなの見ながらはやっぱりムリだよ、あれをオカズにシコれるようなのは人間性が破綻してるし、むしろ犯罪者だよ、そいつ自身が? おれはムリ……」
一層に青い顔色で見上げてくる新米のどこかズレてるセリフに、またしても舌打ちしてこれを見下ろす教官どのだ。苦いツラで苦々しげに苦言を呈してくれる。だがこれにまた深刻な表情でみずからの声音を震わせるでぶちんだった。
「おまえな、事態のヤバさがまだわかってねえんじゃねえのか? 早くしないとマッポが手遅れになるぞ! おい、今この時だけでも性癖をねじ曲げてあれをオカズに励むくらいの柔軟性は持ってても損はしねえだろう、人助けにもなるし? モブ、マジで人命がかかってるんだぞ?」
「ムリだよ。おれ、あのおじさんじゃシコれない……!」
「誰が警官をオカズにシコれと言った!! そっちのほうがよっぽど人格破綻者だろうがっっ!!?」
すかさずした頭上からの鋭いツッコミに、まあるいなで肩をすくめさせるモブはしぶしぶとまた前に向き直る。やっぱりムリだよな~~~!とブチブチ言ってる肥満のオタクに、手前の操作盤の小型画面で困り顔して固まる自衛官たちだ。
この主務操縦士の背後にいる第二操縦士のおやじの姿や声が認識できないだけになおさら状況の把握がおぼつかないのだろう。
それを高い座席から見下ろしていた当の教官はまた舌打ちして声を荒げる。通信回線の向こう側には聞こえないながらに。
「わかった、わかった! ちゃんとサポートしてやるからしっかりとナニに専念しろ! でないとコイツが姿勢を崩してその場に倒れかねない。地面やら建物やらにめり込んじまったら、いざそこから立たせるのは至極困難で厄介だぞ? こんな重たいデカブツくんを……!」
「え、サポートってなに? まさかおじさんがこのおまたに直に手を伸ばして、力ずくでムリヤリにだなんて言わないよね? ますますムリだよ、おれそんな趣味ないし? 何よりそれって立派なセクハラだし??」
「風俗じゃねえんだぞ、このばかちんが! 何がかなしくってこの俺がおまえのちんこなんぞ……はあ、こんなやり取り前のヤツらに聞かせられたもんじゃないな? この姿が見えなくて良かった。おほんっ、まあ、そっち向けの救済措置だって当然に装備している。コイツは! ただし今回のはおまえ自身のヤツでだな?」
「え、おれ? でもおれは何にも……」
きょとんとしてみずからの身体を見下ろす抜け作のでぶちん。すると背後のおじさんは呆れた顔でますますこの語気が荒い。
「いいから黙ってろ、おまえのそのガチガチのパイロットスーツ! そいつはタダの見かけ倒しじゃねえんだ。それじゃ、ちょっとブシュッ!てなるから、慌てずにゆっくりと深呼吸しろよ? 口からでも鼻からでもしっかりと肺に取り込め……おらっ!」
「へ? うわっ、はっ!? ごはっ、なにっ、今の! なんかブシュワッてこの顔にかかってきた、どこから!? ゴホッ、ゴホッ! あ、胸のこれ? ポケットじゃないんだ? うわ、なんか臭いな、えっ、なんなのこれっ!」
「ただの景気づけだ。すぐに効果が出るから、さっさと操縦桿をしっかりと起ち上げろ! もうイケんだろ?」
不意のタイミングにいささか面食らう。
どこからかいきなりこの顔面に白い蒸気みたいなものを吹きかけられて、目を白黒させて激しく咳き込むモブだった。もだえながらに涙目で背後を見上げるのだが、またすぐにもこのみずからの股間へと視線を落とすことになる。ある種の違和感を確かに感じていた。触って確かめるまでもなし、股のあいだですっかり萎縮していたはずアレが、見る間にカチコチに熱く大きくなっていく。手品みたいに。おまけこれに応じてみずからの気持ちも高まってこの息が荒くなるのを意識する青年だ。いっそ魔法にでもかけられたみたいに……!
「え、なに、コレ? なんか触れてもいないのに勝手に大きくなってるよ、アレが? あとなんか、それになんか、ムラムラしてきちゃってるよ、おれ? なんだろう、あ、すごい、身体が熱くなってきた! あれ、凄い、痛いくらいに元気になってきちゃったよ、どうしちゃったの、おれ? あとこのちんちん! 爆発しそうだっ……!」
「ふん、そいつは良かったな? 動力源補助装置のスマッシャーだ。世間一般で言う滋養強壮剤、エナジードリンクの強化版ってところか? 性欲増進とちんちん増大にのみ特化した! 言うなれば特殊なガス状の興奮剤で、おまえの胸にあるのはポケットに見せかけた特殊気体の噴射装置なんだ。まさしく効果覿面だろ? わかったらさっさとこのジュゲムにパワーを送れ。若い野郎のちんちんみなぎるエロのパワーを!!」
「え、エロって、うわ、なんかヘンな気分。身体中がほてって、グロいの前にしてもぜんぜん気持ちが高ぶってる! ふわぁ、頭の中がすっきりしておまけ高揚感がたまんないよ、おなかの底からムラムラしちゃう! おれ性癖ねじ曲がってるの? ああ、たまんない、たまんない、はあっ、やばいよ、おれ、今ならあのおじさんでぜんぜん抜けちゃう!! おまわりさんが大好きだよ! いっそのこと抱かれたいくらいに!!」
「シャラップ! そこまではいかんでいい! おい、正気はちゃんと保てよ? 若いヤツはすぐに調子こいてぶっ飛びやがるが、ヤバいクスリじゃないんだぞ! その目的からしてまったくに違う!!」
一気に盛り上がる若造に後ろから冷や水浴びせる年長者だ。
ぬしはいささか渋いツラでまじめな注意喚起するが、伝わっているかはかなりビミョーである。
「いいか、そいつはいわゆる強力な色欲激増効果による自慰昇天剤なんだが、もっと言っちまえばいわゆる誘惑剤、とどのつまりで媚薬ってヤツだ。覚醒剤のそれとはまるで効果が違う劇薬だな! なんたって強制的にエロい気持ちにさせて、ついでにエロいこともガンガンやらせちまうってほどの? ひとたび吸えば確実に自慰行為にまで持って行けるぞ。そいつが坊主だろうが警官だろうが、まさしく今のおまえみたいにな! なんなら性奴隷も可能だろう……!!」
およそ自衛官には不適格な発言と不謹慎な単語の連発だが、顔を赤らめて股間の熱い誘惑に鼻の穴がふがふがしだすでぶちんは上の空で聞いていた。今しも頭の中一杯にピンク色した甘い妄想と肉感あふれる欲情が広がるのを心臓バクバクで実感しながら、口から熱い吐息とツバがあふれ出るのをもはや止められない。
「はあっ、びっ、びやくっ!? ほ、惚れ薬ってこと? はぶっ、そ、それって、しゅごくない? んんっ、すごいよっ、だってこんなに効果あるんなら、すごいことに使えそうっ! ジュルッ、ああ、ヨダレが出ちゃうっ、おれ、うふっ、メロメロだもんっ! わわわっ、ダメダメっ、めちゃめちゃ硬いっ、たた、たしゅけてっっ!! おれもうダメ人間になっちゃうよぉっっ!!!」
「今だけだ。素直に墜とされちまえ! だからって不埒なことは考えるなよ? ガスが届く範囲なら確かに他人にも吹きかけることはできるが、効果は個人差あるし、それにつきおかしな副作用もありえるんだ。あと、女に使うとむしろ嫌われる可能性があるぞ? あくまでも男の子がファイト一発!元気にシコるために開発された薬剤成分だから、基本同性にしか効き目がない。ま、いかんせんこの材料にしてるのが、おまえのアレだからな……」
「は、は? ああっ、もうなんでもいいっ、なんでもいいよ! とってもいい気分! はやくこの勢いでおじさんたすけなきゃ! アソコがカチンコチンのビッグバンみたいだもん! バンバンのバン! ああ、おれ、ちょっとおかしいよっ、あっちのおじさん、今助けるからね! じゃ、こっちのおじさん、どうするの?」
「だからぬしと呼べ。口から舌がはみ出てるぞ? おかしなアヘ顔さらすならモザイクかけてもらえ。まあ、このロボの調子を見るためにもこの場はちょっと荒療治をさせてもらおうか。あのおまわりにはいささか気の毒だが? 幸いにもひと目はないんだから、ちょっとくらいの恥はさらしてかまわないだろう。ヤツらにスマッシャーを使用する。ただし今度はおまえのじゃなくて、このジュゲム本体のヤツだな!」
「あっ、はははは! ふううっ、なんか、ムズカシイこと言ってない? じゅ、じゅげっ、このロボにもあるの? こんなっ、すごいのっ、ああっ!! へへっ……」
厳しい顔つきで指揮する教官に、聞かされる新人はまったくの上の空だ。ぼんやりした表情でこの焦点がまるきり定まっていない。麻薬でラリったジャンキーと変わらなかった。頭上からの舌打ちでビクンと肩がはねる。頭を振ってかろうじて意識を取り戻したか。
「お、おまわさんを、助けるんだよねっ? そうだ、はやくやんなきゃっ、はやくっ、ああ、でも、その前におれがイッちゃうかも……!」
ピンチもピンチの光景にどうにか昇天――。
もとい焦点を合わせて歯を食いしばるモブだ。
だがこの直後、背後の教官の指示のもとにさらなるピンチへと警察のおじさんを突き落とすことになるとは思いも寄らないのだった。
そう、それは公僕にあるまじき痴態を、よもや街中で――。
すべてが爆散するのだ。破壊力抜群に。
ある意味、良かったのかもしれないが……!
容赦ないおやじの号令が響き渡る。
空前絶後の破廉恥な戦いがはじまるのだった。
オタクのでぶちんが飛んだ災難だった。
絶叫と白濁した飛沫が実弾さながら飛び交う戦場。
悪夢のはじまりだった。
AVじゃん。かなりとち狂った企画ものの。
後の青年の正直な回想である。
かくして、たった今――。
男たちの戦いがはじまった……!
……たぶん次回に続くよ! みんな応援してね♥ by モブ
ちなみにやり方としては、まず自前のブログでドラフトの下書き、これをこちらで修正して挿し絵ものっけて、最後にカクヨムで最終調整……となりますので、挿し絵とかなくてもいいとい場合はある意味完成版のあちらのもおすすめですw




