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4話 虹色のバリアと遊び心

「攻撃魔法は封印したいなぁ……。驚いたときにはバリアのほうがいいよね。防御なら……被害が出なさそうだしぃ。」 レティアはそう独り言をつぶやきながら、自分を包む膜をイメージした。その瞬間、体全体が虹色に輝く膜に覆われた。淡く光る膜は、まるで大きなシャボン玉に包まれているようだった。


「なにこれー? こんなので攻撃から守ってくれるのかなぁ? シャボン玉みたいだけど……。でも、とってもきれいだなぁ……♪」 レティアは不思議そうに手を伸ばし、虹色の輝きに夢中になりながら手のひらを動かした。さらに彼女は好奇心いっぱいに、小さな球体をイメージしてみる。すると、その手の中には小さな虹色の球体がぽっと浮かび上がった。


「わぁ……可愛くて、キラキラ輝いてキレイ♪ イメージ通りに動くんだねー。すごーい♪」 彼女は嬉しそうに笑いながら、球体を操り始める。軽やかに宙を舞う球体は、レティアの思い通りに形を変え、ふわふわと浮かびながら踊るように動いた。


 彼女は巨大な岩の粉々になった残骸に腰掛け、その虹色のバリアを楽しそうに動かし始めた。最初は手のひらで転がすように動かしていたが、だんだんと楽しさが増していき、森の中で出会った可愛い動物たちをイメージして虹色の形を作り出してみた。うさぎのような耳を持つ動物や、ふっくらとした小鳥のような姿――それらはレティアのイメージで自由自在に形を変え、森の中にひそかな夢の世界を作り出していった。


 レティアのイメージ力はますます鮮明に広がり、動物たちの毛並みや表情までリアルに、まるで本物のように描かれるようになっていた。もはや生き物にしか見えないほど精巧で、虹色に輝くその動物たちはまるで魔法が生命を与えたかのようだった。


「うわぁ……すごーい♪ お友達が作れちゃったぁー! ねぇ、ねぇ……いっしょにあそぼっ!」 レティアは作り出した動物たちに話しかけると、笑顔いっぱいで駆け出した。虹色の動物たちは、まるで彼女の感情を感じ取ったかのように嬉しそうに後を追った。


 しばらく追いかけっこを楽しんでいると、森の奥から異様な気配が漂ってきた。レティアが作り出した小動物たちを、小動物と間違えた狼型の魔物の群れが鋭い目で狙っていたのだ。そして、静けさを突き破るように、森に潜んでいた魔物たちが一斉に襲いかかる。


『ガルルゥゥゥ……ガオッ!!』 後方から複数の獣の咆哮が響き渡った。レティアが振り返ると、虹色の小動物たちが魔物の群れに囲まれていた。狼型の魔物は6体の群れを成し、小動物たちに牙を向けて襲いかかる。


「きゃぁっ!? だめっ! わたしのお友達をイジメないで!」 レティアは青ざめた顔で大声を張り上げる。しかし狼型の魔物たちはレティアの叫びを無視し、群れ全員で一斉に攻撃を仕掛けた。その一瞬、恐怖で彼女は立ち尽くしてしまう。


 しかし驚くことに、狙われた虹色の小動物たちは微動だにしない。攻撃を受けてもかすり傷一つ負うことなく、その場にじっと佇み続けていた。


「あ、あれ? あれれ……?」 レティアは困惑した表情を浮かべて動物たちを見つめる。「あはは……うさぎさん、つよーい♪ うふふ……反撃してみようっ!」 レティアが反撃のイメージを強く思い描くと、虹色のうさぎが怒った表情を浮かべ、狼たちに跳びかかる。一撃ごとに爆発的な力が加わり、狼たちは次々と吹き飛ばされた。空中には虹色の鳥たちが旋回し、鋭い動きで群れの視界を混乱させた。猛禽類の形をした小動物は鋭い爪で、狼たちの注意を散らしながら攻撃を続けた。


 オオカミたちは最初こそ猛攻を仕掛けたが、次第に圧倒されていった。肉体的な力を持つ群れが、まるでオモチャのように扱われる状況に恐怖を感じ始める。激しい戦闘の末、群れは完全に怯え、ついには小動物たちに囲まれる形となった。


 レティアはその光景を見つめ、オオカミたちの無力感に同情を覚えるようになる。「あなた達も、いっしょにあそぼ? ね?」 彼女は怯えるオオカミたちに優しく近づき、話しかけた。リーダーと思われる狼は困惑したような眼差しでレティアを見つめ、ついに腹を見せて仰向けに倒れ込み、服従のポーズを取った。他の狼たちも次々とその動きに従い、完全に戦意を失った。


 怯えるオオカミたちに近づき、レティアは優しく話しかけた。その声に、オオカミたちは困惑した眼差しでレティアを見上げた。彼らの瞳には、もはや敵意の欠片も残っていなかった。群れのリーダーと見えるオオカミが腹を見せて仰向けに倒れ込み、服従のポーズを取ると、他のオオカミたちもそれに続き、彼女の前で静かに従った。


「ちょっとやりすぎちゃったかなぁ……オオカミさん、ケガさせちゃったね。こっちきてぇー」 レティアが手招きすると、怯えながらも指示に従い、オオカミたちはおそるおそる近づいてきた。そして彼女の前で大人しく座り込んだ。


 レティアは、ケガをしている彼らの痛々しい姿を見ると心を痛め、優しい魔法で彼らのケガを治療してあげた。すると、オオカミたちは驚いた表情を浮かべ、目を輝かせながら彼女を見つめた。「くぅーん」と甘えるような声をあげ、レティアに顔をなすりつけてきた。


「オオカミさん、甘えん坊さんなんだぁ……可愛い……♪ ……でも、ちょっとくさーいっ!!」


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