表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/60

第18話:未来の種を、この手で掴め。知られざる良血馬の反逆

1976年(昭和51年)5月15日(土)

東京競馬場は、今日も多くのファンで賑わっていた。


【現在のクエスト】

● JRA馬主資格を5年以内に取得せよ(残り:4年11ヶ月と0日)

● 所持金:221,850円(生活費等差引後)

● 今週の馬券予算:60,000円


蓮はいつものように出馬表を広げながら、図鑑の一ページをじっと見つめていた。



【ヤマトシュネル】

牡3歳・未勝利

父:トピオ(欧州系) 母父:ソロナウェー

【因子:スピード◎/パワー〇/精神△】

【将来構想:黄金配合候補・種牡馬ルート“起点”】

【現在評価:脚部不安から大幅人気下落中】


(……間違いない。こいつが“未来の起点”になり得る)


父トピオは欧州血統の異端児。スピードと底力を併せ持つが、

日本では繁殖実績が乏しく、後継候補が少ない。


その血を受け継ぎながらも、ヤマトシュネルはデビュー2戦とも凡走。

脚部不安と調教不安が重なり、すでに“見限られた存在”として扱われていた。


(でも、図鑑は言ってる――“今走が鍵”だと)



東京第4R・芝1600m(未勝利)


馬場状態は良。風も弱く、絶好の差し馬日和。


蓮は、覚悟を決めて馬券を打ち込んだ。


● 単勝 10,000円 (ヤマトシュネル)

● 馬連 30,000円(ヤマトシュネル → 相手4頭 各7,500円)

● ワイド 20,000円(ヤマトシュネル → 相手3頭 各6,666円)


総投資:60,000円

残資金:161,850円



パドックで見たヤマトシュネルは――決して良く見えなかった。


毛ヅヤはやや鈍く、歩様にも若干の不安がある。

だが、その目には、妙な“気迫”が宿っていた。


(今日は、走る)


根拠のない自信。だが、図鑑が示した“精神:好転兆候”という言葉が、

蓮の背を強く押していた。



スタートはまずまず。ヤマトシュネルは後方3番手。

だが向こう正面、徐々にポジションを押し上げていく。


3コーナー、やや外に膨れるも、折り合いは悪くない。

そして――直線。


前を行く馬群の外から、グンと脚を伸ばす!


実況も驚きを含んで叫ぶ。


「外から来た! ヤマトシュネル! 完全に見限られていた馬が一気に伸びる!」


蓮は拳を握った。


「……行け!」


残り200m――一気に並び、交わし、突き放す!


1着:ヤマトシュネル(牡3)

タイム:1:35.1(良)/3馬身差圧勝



単勝:13.1倍 × 10,000円 = 131,000円

馬連(3-9):28.5倍 × 7,500円 = 213,750円

ワイド(3-7):7.4倍 × 6,666円 ≒ 49,328円

ワイド(3-5):8.1倍 × 6,666円 ≒ 54,000円

ワイド(3-11):12.5倍 × 6,666円 ≒ 83,325円

【合計回収】:531,403円

【所持金】:693,253円(差引+471,403円)



レース後、図鑑が更新される。


【ヤマトシュネル:評価更新】

■未勝利戦勝利→将来の種牡馬候補として“保存”

■トピオ系配合軸として“確定因子化”

■特定牝系と交差することで“スピード×爆発力配合”候補入り


(……繋いだ)


震える手で図鑑を閉じながら、蓮は静かに息を吐いた。



その日の帰り道、柏木から一通の手紙が届いていた。

中には、手書きの一文と、馬の血統表のコピー。


「“種”は見つけたか?」


短い一文だった。


蓮はにやりと笑い、ペンを取った。


「はい。“掴みました”」


ご都合主義? 当たり前でしょうよ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ