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モノローグ
夢を見る、小さい頃の…。夜の森に、月の明かりを頼りに生い茂る木々の間を私は走っていた。周りに広がる枝先で切り傷を、木にぶつかった拍子に尖った樹皮で刺し傷を、転んでしまって擦り傷を、何度も繰り返しながら走り続けていた。
気が付くと、いつの間にか森を抜けており、辺り一帯に鮮やかな花が咲き誇る平原が広がっていた。遮られる物がないこの平原で月の明かりで照らされ輝いている花は、つい見惚れてしまう程で、強張っていた体が解れ、仰向けに倒れ込んでしまい、私は意識を失ってしまった。その後の事は…わからない。目を覚ました時には、『10年間』、御世話になった孤児院に預けられていたから…。




