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第二話①



バレンタインデーからちょうど2週間が経った。

元々そんなに引きずる方じゃないし、アイツらに話を聞いてもらったことで、悲しみはすぐに消え去った。


でも、心の奥には深い傷が残った。


同じ校舎にいるんだもんな。いやでも先輩の姿を見かけることもある。

この前は、恐らくあの日告白に成功した奴と一緒に歩いているところを見かけて…。



自分で言うのも変だけど、俺も割とモテる方だと思う。高校に入ってもうすぐ2年。告白は5.6回された。


中学時代にも何度か言われたことがあって、可愛い子だったら返事は即OKしてたけど、1週間後くらいには必ず、"思ってたのと違った"と言ってフられた。


だから、高校でもまずは1週間程お試しで行動を共にして、それからと決めている。でもまあ、想像通りの結果で。

みんな人を見かけで判断しやがって…。どうしてもこの見た目じゃ、おとなしい柔らかい雰囲気をもたれやすいんだと思う。色も白いし、筋肉も脂肪もなかなかつかねーし。

俺の中身を見てくれる人なんて誰もいないんだよな。



阿倉みたいな性格だったら、幻滅されずに済んだのかな。



「おーい、三舟くん?」



声のする方を向くと、一樹がチリトリを持ちながら手招きしていた。



「早くそのゴミ入れてくれんかね。つーか俺の前でその名前は出すな」

「え、俺口に出てた?」

「ああ、小さい声だがよく聞こえましたよ三舟くん。なんてったって俺の"アクラセンサー"が働きましたからネッ!」



そう言いながら、かけてもいない眼鏡をクイッと上げる動きをして見せた。そのキャラやめろ。どこのザマス婦人だよ……。


一樹は、阿倉にものすごいライバル心があるらしい。いつも何かにつけて二番手で及ばないらしく、日頃からよく会話に名前が出てくる。俺もそのおかげで覚えたし。顔はよく知らなかったけど。



「まあ、コミュ力ならおめーのが上だよ」

「マジですかッ!嬉しいザマス!」



そう言ってザマス婦人はエアーでかけているメガネを取った。



「そういやあいつ、敷島…だっけか?あいつまだお前のこと見てんな」

「マジ?」

「いろんな場所で見掛けるけど、にこやかな感じでずっとお前を目で追ってる」

「オエッ…」

「吐くな吐くな。まあ、前みたいに教室来なくなったのはいいけど……なんかさ、ここまで来るとちょっとストーカー臭すんな」



マジでそう……。

何も言わずジロジロ人のこと見てきて、本気で吐き気がする。意味がわからん。何かあるならハッキリ言え!男だろーが!



「もっとガツンと言ってやったら?」

「どうやって?」

「胸ぐら掴んでとかさあ〜。この際手出してもいいんじゃねーの?先生に頼るのは…」

「絶対いや」

「だろ?じゃあもういいじゃん。この受け入れ幅の広い、神様のようなイツキくんでもさすがにちょっと…。まあ、にこやかに見てるってのが唯一の救いというかなんというか…」



天井を見ながら一樹がボリボリと頬をかいた。

救いも何も普通にキモい。気色悪い。

どういう意図かしんねーけど、俺だったら絶対そんなことしねー。正面からぶつかりにいって思ったことを言う!でも、先輩に対してはできなかったな。姿見つけるのが精一杯で、そんな時間も楽しくて……って、あれ?

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