第二話⑤
俺と一樹の話を一通り聞き終えた洸太は、冷静に話を分析していく。
「隼が怒ってる理由はよくわかった。で、一樹はトイレから出た後何の話をしたんだ?ゲーム?」
「いや、ちげーよ。トイレから出た後、すぐ横の壁で問い詰めたんだ。"何か他に楽しいことはねーのか"って」
"他に楽しいことはねーのか"。
一樹らしい聞き方だと思った。
「で、敷島はなんて?」
「俺の聞いた意味がわかったかどうかは知らねーけど、そっからはもう、プレ●テの話よ!久しぶりに熱く語っちまった〜!」
「あーはいはい、わかった」
まだまだ続きそうな熱弁に、洸太が水をかけて消火した。
この流れ、絶対"他に楽しいこと"の意味わかってねーじゃん。
「だから!俺は友達のために頑張ったんだよ!なのに隼くんったらさ〜〜〜!」
「その話し方ウゼェ!!」
ギリギリと火花を散らす俺の頭に、洸太が優しく手を置いた。
「いい友達をもったな」
フン。ムカつく。ムカつくけど………
結果はどうあれ、俺のために一樹が動いてくれたことには変わりない。自分でもよくわかってる。
あの時嫌な想像をして動揺した気持ちも本物だ。
今怒っているのは、一樹に対してじゃない。
自分が先に行動できなかったこと、そして友達を危険な目に合わせてしまったかもしれないことが、どうしようもなく悔しい。
だから、自分に怒ってる。
それを一樹に八つ当たりしてるだけだ。
「な?隼」
洸太の柔らかい一言で、一気に心が軽くなった。
幼馴染だからだろうか。それとも洸太だからだろうか。
ううん、どっちもかも。
「ありがと」
一樹はニヤッとピースして笑った。




