半分こ、しようか(同棲百合)
「う、うぐぅ……」
「大丈夫?」
「だいじょば、ない……」
「だよね」
ソファーを占領している、ブランケットにくるまった塊。
そこから、絶えず聞こえて来る呻き声。
月に一度の例のアレ。
私はそこまできつくはないけど、どうにも彼女のはヤバいレベルできついらしい。
一度無理くり病院に連れて行ったが、原因は不明。
そういう人も割といますよってお医者さんは言ってたけど、だから何だって話だ。
彼女の痛みは今もなお続いているのだから。
薬も副作用がキツくて飲めないらしく、あとはもう、ひたすら耐えるのみ。
「半分だけでも、私が背負ってあげられたらいいんだけどねぇ」
私は、ブランケットからちょこっと出ている頭を撫でながら言った。
ため息を吐いて。
けれど。
「それは、だめ」
ブランケットの中から、弱々しい声が否定を返して来た。
「こんな苦しいの、味わって欲しくないもの」
「だから、半分だよ?」
「半分でも、イヤ……」
私は、自分の眉が八の字を描くのを感じた。口元が緩む。
こんなに痛がってるときまで、私の心配をしてくれる。
まったく。
君って奴は。
「……あったかい葛湯を入れようね」
「うん……」
「湯たんぽも持ってくるから、しばらく待っててね」
「うん、ありがと……」
優しい彼女のために、私は少しでもその痛みが和らぐよう尽力しよう。
よし、と気合を入れて立ち上がる。
彼女がちょっとでも安らげますように。
そんな祈りを込めた、動きをしよう。
END.